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Eコマースに感動を!「VRコマース」
最新事情と課題<前編>

■本当に来るの?「仮想世界のオンラインストア」VRコマース

「VR(仮想現実)とEコマース」・・・このコトバを耳にするだけで、忘れたはずの心の傷口に、そっと塩を塗られるような気持ちになる、そんな諸兄もいらっしゃるのではないでしょうか。
そう、2000年代後半のネットビジネス界を震撼させた、仮想世界「セカンドライフ」事件の忌まわしき想い出です。あれから数年、時代とともに技術は進化し、VR元年と謳われた2016年を経て、
何事もなかったかのように、日本の一般紙でもVRの記事が紹介されるようになりました。折しも、この記事を書いている2017年5月19日、マイクロソフト「新型ARメガネ」を発表、
というニュースが飛び込んできました。すでに世間の期待は、VR(仮想現実)だけでなく、AR(拡張現実)へと昇華され、着実に市民権を得ようとしているわけであります。

参照:https://www.youtube.com/watch?v=lN4tFV16mU8

しかし、その用途はどうでしょう。ゲームや動画、あるいは医療、工場といった現場がほとんどです。ウェブやEコマースのVR活用など、一般紙の記事ではまず見かけることはありません。
しかし、ここ数ヶ月、専門サイトや海外のテック系ニュースでは、急速にWEB系のVRの記事数が増えているのは確かです。
果たして、日本のEコマース業界にVRやAR/MRは、今後どの程度影響を及ぼすのでしょうか。また、どんな準備をしておけば良いのでしょうか。

■2016年、日本の物販EC伸び率が、ゲーム業界を凌駕した。

2017年4月に経済産業省が発表した、平成 28 年度「電子商取引に関する市場調査」によると、28年度の「物販系分野」のEC売上は 8兆43億円、伸び率は10.6% で、
オンラインゲーム系(デジタル系分野のオンラインゲーム部門)が 1兆3,090億円、伸び率は3.5% と、EC物販市場は、ゲーム市場の約6倍ほど、伸び率(EC化率)
も好調に推移しているということになります。ちなみにEC物販市場のカテゴリ別構成比は以下の通りでした。

「物販系分野内での各カテゴリーの構成比率」平成 28 年度
「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」経済産業省2017/4版より

しかしながら、VR/ARという側面で見ますと、少し冷静になる必要がありそうです。少し古いデータですが、
昨年2016年1月、ゴールドマン・サックスは、ECを主とした小売業界のVR/AR市場は2025年に16億ドルまで成長すると予測しながらも、その規模はゲーム市場の約10分の1程度と予測しています。

(Virtual & Augmented Reality: Goldman Sachs Reportより)原文に目を通してみても、2016年当時といくつか前提が違っている箇所はあります。
しかし、それらを差し引いても、VR市場では、EC物販がゲームほど期待されていない、
という専門家の見方は胸に刻んでおく必要がありそうです。なぜなら、冒頭の「昔のセカンドライフ」しかり、
よくあるVRコマース構想しかり、「技術は新しい、でも二度は使いたくない」という、ECでよくある失敗パターンに陥る可能性があるからです。

■一歩先をゆく、VRコマースの未来「BUY+」

しかしイキのいい「VRコマース」だって存在します。中国最大のEコマース、アリババグループの
「タオバオ」が2016年11月1日に公開した「BUY+」です。中国で11月といえば「セールの日(双11)」という大型商戦真っ只中。
そこでアリババグループは、「VRコマース」を販売チャネルというより、集客イベントとして位置づけ、公開したそうです。
しかし蓋を開けてみると、意外に11月11日を迎える前の10日間で、35歳以下の若いユーザを中心とした約800万人が買い物をしたとのことでした(三菱東京UFJ 銀行調べ)。

しかし、イキがいい!と私が感じたのは、こうした数字ではありません。それまでの「VRコマース」に無い「体験と感動」があったからです。それは、「BUY+」の公式動画ではなく、
ユーザがYoutubeにアップした「BUY+」体験の動画から感じたのですが、言葉で伝えると、「360度動画のGoogleストリートビューのように世界旅行しながら、その国の商品とバッタリ遭遇し、
選んで、購入できる」といった感じでしょうか。実際には、アメリカのコストコに行ったり、オーストラリアのFreedom Foodsの牧場に行ったり、日本のアキバ(らしき場所)のオタクショップに行ったり、
と、まだ旅行できるお金がない中国の若者からすると、ショッピング体験としては相当面白いだろうな、という世界がありました。

将来的には、
フィッティングルームで試着したり、グローブをはめて商品の触感を伝えるなどの構想もあるようですが、単純に、360度動画の店舗内を動いて商品購入する、
といった新技術の導入に終わらず、「体験と感動」というストーリーを練り込もうとしている点、アリババ恐るべし、です。このあたりは、Youtubeで Buy+ を検索するとヒットするので、
ぜひ一度ご覧になってみて下さい。

次回後編のメインテーマは、GoogleもプッシュするVRトレンドワードとは?です。

宮松利博プロフィール写真

JECCICA客員講師 宮松 利博

株式会社ISSUN 代表取締役 宮松利博

営業時代に開発した顧客管理システムで営業業績を伸ばし1997年にシステムを売却。
2000年、EC立上げ初年度で月商1億円に急成長するも数年後に上場失敗。新たなECを3年で年商20億円に成長させ、2006年株式上場。
同年に保有株を売却し海外視察の後、2011年「小よく”巨”を制す」を掲げ株式会社ISSUNを立上げ、WEB/ECの運営・制作・コンサルティングで、業界No.1に成長するクライアントを多数抱える。


 

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