JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

ダイナミックな価格設定

世界で7,000店舗以上展開しているファーストフードハンバーガーチェーンのウェンディーズが、時間帯により価格が変わる”ダイナミックプライシング”を2025年から導入テストすることを発表したことが話題になっています。飲食業界では、価格はメニューに記載されており、そのメニュー変更にスタッフの多大なる手間がかかるうえに、変動価格への顧客のネガティブな反応も考えられることから、ダイナミックプライシングの普及は進んでいませんでした。

ウェンディーズでは、注文の精度向上、スタッフのエクスペリエンス向上、アップセルと一貫したマーチャンダイジングの実行などを通じた売上成長の促進を目指し、2,000万ドルを投資し、2025年末までに全米のすべての自社店舗に新たなデジタルメニューボードを導入する予定でおり、そこではAIを活用したメニュー変更や提案販売などに加えて、価格もその場で簡単に更新できるダイナミックプライシングの導入も機能のひとつとなるようです。

ダイナミックプライシングとは、販売者が利益を最大化できるように、リアルタイムの需要と供給に関するデータをもとに価格を変動させる戦略で、身近なところでは、スポーツやコンサートのチケット、航空運賃やホテルの宿泊費、ライドシェアアプリのUberなどで採用されています。

このウェンディーズのダイナミックプライシング導入の発表は、消費者にはピーク時間での値上げととられ、ソーシャルメディア上で多くの反感の声があがったが、それに対するウェンディーズの説明によると、ダイナミック価格は顧客が最も多く来店する時間帯に値上げするのではなく、一日のうち閑散時間帯の割引として提供するものとしています。これが成功すると、ダイナミックプライシングは飲食業界の転換点となる可能性がありますが、果たして来年から実際に導入された場合、どのような反響があるのでしょうか。

ところで、今日のEコマースでも変動の頻度に違いはありますが、価格を変更する企業は多いです。特にAmazonでは、購入客に最も競争力のある価格を提供するために、独自のダイナミック価格アルゴリズムにより価格が1日の間でも頻繁に変わることで有名です。ある調査によりますと、Amazonでは10分に1回、1日に全体で約250万回もの価格変動があるようです。

下のグラフは、ある商品の1日の価格変化を表したものですが、1日の平均価格がおおよそ143ドルに対し、最高と最低の価格差は7ドルほどあります。


(SemrushのWebページより抜粋)

競争が激化しているEコマース業界において、ダイナミックプライシングは、需要と供給の変化、業界や競合他社の価格動向などに柔軟に対応した最適価格の提供により、価格競争力を維持しながら利益の最大化が期待でき、さらにブランド価値の保護にもつながります。ここでもキーとなるのは、価格変動の決定を行うデータ収集と分析および予測で、それらを効果的に実施、管理できる適切なソフトウェアの使用も必須です。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

JECCICA客員講師 渡辺泰宏

カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。


 - JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2024 All Rights Reserved.s