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宅配BOXの意外な使い道が2024年問題の解決策に

再配達を防ぐ上で一味違った視点
こういう視点があるんだなと思いました。昨今、2024年問題が社会的な関心事になって以降、多くは、荷主側や配送業者を中心に様々な対策を練っています。ただNice Ezeという会社の「スマロビ」というサービスの話を聞いて、一味違っていたので関心を抱きました。

彼らは受け取る側の環境を変えることで、その解決を図ろうというのです。

そこで機能するのがデータであり、AIだというのです。ただ、それを活かすにもデータを集めるインフラがなければなりません。そこで、この会社が着目したのが宅配ボックスです。僕らが宅配ボックスというと、大抵は設置して、そこで完結していて、再配達を防ぐ。そういうイメージが定着していて、それは間違いではありません。

ただ、彼らの場合、宅配ボックスは目的を果たす一手段に過ぎず、それを使ってデータ収集をしていくことのほうに、重きを置いています。それゆえ、宅配ボックスの形状も他とは違っているのが特徴です。

宅配ボックスに陳列?
簡単に言えば「棚」です。ラック式になっていて、扉が存在しません。奥に詰め込むようにして、商品を陳列するような感覚。それで配達が完了するのは、棚の下部にセンサーがついており、手前には番号札がついているからです。

つまり、番号とセンサーが連動していますから、荷物を置いた時点でどの番号をまたいで置かれているかをクラウド上で把握するわけです。456、457の上の荷物という具合に。

だから、宅配業者と受け取るお客様の間で、共通の情報を持つことになります。これを前提として、宅配ボックスについているモニター画面にスマホをかざせば、QRコードひとつで「預ける行為」と「受け取る行為」の両方が行われます。預ける時も、受け取る時も、この数字をもとに、行うのですから。

ただ、大事なのはここからです。
この宅配ボックスの棚の高さは、ねじによって変えられます。そもそも棚ですから横には仕切りがなく、その上、高さは自由に付け替えられるということは、あらゆるサイズに対応した宅配ボックスを作り上げることが可能になります。

この組み合わせの仕方に、宅配ボックスとしての個性が現れます。

集合住宅であるからこそ活きるその仕様
大きな荷物が多い宅配ボックス、あるいはその逆も然り。また、この宅配ボックスを集合住宅に設置することで、その個性が最大化されます。

というのも、語弊を恐れず言えば、集合住宅は家族の世帯年収を色濃く反映するからです。年収に伴って購入される商品は違ってくるはずです。だから、その集合住宅単位で、どういう荷物が届くかを、宅配ボックスで検証することで、共通化できるわけです。

使えば使うほど、宅配ボックスの形状と集合住宅の相性における精度は増して、そこにフィットしていきます。だから、宅配業者が宅配ボックスに合うサイズがなくて持ち帰ることはなくなり、再配達が各地で減少することになります。

こうやって、配送業者、受け取る側の双方の利便性の高さで利用を促します。これが浸透すれば、Nice Ezeはいよいよ個々の集合住宅に対して、各々一番最適な形は何かを、数多くの宅配ボックスのデータによって提示することができるようになります。
近い特徴を持っている集合住宅にそこに見合った宅配ボックスのデータを持っていけば、採用される率も高くなるはずです。それが歓迎される理由は、管理会社にとって、集合住宅の共有スペースを有効活用することにつながるからです。

さらに彼らは、抜かりなく、自らの仕様で、本当に配達すべきものに絞り込むのです。この宅配ボックスの横には冷蔵庫のような形状の「スマロビAIストア」も備わっています。

AIストアは商品管理もクラウド上で
「スマロビAIストア」はNice Ezeのアカウント登録をして、決済手段を決めておけば、QRコードを通すだけで、その出し入れをする度、決済が完了します。なぜ、これらが配達においてプラスに働くのでしょう。

例えば、ネットスーパーを見ればわかります。その注文者の多くが、集合住宅の住民なのに、届ける作業は、バラバラで行われていたりします。その時、ネットスーパーから「スマロビAIストア」が仕入れる形を取り、それらの商品を常時、置いておけば、適宜、お客様は取りに行けて、配達の行き来を減らせます。

要するに、荷主や配送業者には限界があるのです。セール然りですが、人が商品を購入する時は自ずとタイミングが集中しがちで、荷主や配送業者がそれらをコントロールするのは難しい。

だから、受け取る側の視点とデータとAIによる平準化と集合住宅の共有スペースの有効活用によって解決できることを示したNice Ezeの取り組みは、僕らに、新しい気づきをもたらしてくれます。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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