JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

楽しく分かるマーケティング:その⑫
具体的施策(4P)プロモーション戦略②

ダイレクトマーケティングはプロモーションの機能
Eコマースのビジネスは、もとはアナログの通信販売に端を発しているので、ベースはダイレクトマーケティングであることは言うまでもない。前回のコラムでもお伝えしたように、ダイレクトマーケティングとは、マーケティングマネジメントの「プロモーション」に位置づく機能であり、データベースを基軸に他の「広告・販売促進・広報・人的販売」を串刺しにする、伝える施策・売りの施策である。先ずは大前提としてこの理解をして頂きたい。
(※図①)

図

デジタルマーケティングとダイレクトマーケティング
昨今デジタルマーケティングと言うワードが一般的に使われるが、実はこの意味合いもそれぞれ解釈の違いがあり、往々にして混乱を招く。またデジタルマーケティング周囲には更に様々な専門用語が多いため更に分り難く、話し合いの中で共通理解がないと、意味合いを異なって認識することも多々あり、悩ましいことが多いと実感している。
デジタルマーケティングをわかり易く言うと「完全にデジタル化されたダイレクトマーケティング」という解釈が一番しっくりくる。アナログの通信販売は、新聞やダイレクトメールでコミュニケーションを図り、レスポンスした顧客を人が手入力してリストを構築し、データベース化を図っていたが、ECの場合はそれがインターネットを介すことで、売り場そのものがWebサイトになり、広告もインターネット広告がベースになり、入力そのものもレスポンダーである顧客が行う。そして顧客データを初めとした様々なデータの解析が行えるようになり、1対1のコミュニケーションが容易に行われる訳であるのと同時に、PDCAも容易に行われる。筆者は25年ほど前からダイレクトマーケティングに従事しているが、当時から比較するとアナログ時代には3か月程度かかるPDCAが、圧倒的に早く安価に行われるようになった。デジタルマーケティングは、夢のような時代の究極のダイレクトマーケティングと言える。

(※図②)

図

ダイレクトマーケティングのバタフライチャートとAMTUL
ダイレクトマーケティングのプロセスや仕組みを一目で表したチャートが「バタフライチャート」である。

(※図③)

図

タイトルの通り、蝶々のような形からこの名が付いた。このプロセスを行うのがダイレクトマーケティングであり、チャートの左から右に行くに従って顧客の態度、つまり「心理と行動」を変えて行く。この態度変容モデルを「AMTUL」と言う。それぞれ、
Awareness⇒消費者に認知させる
Memory⇒記憶させ見込み客とする
Trial use⇒先ずは買って頂き新規顧客とする
Usage⇒繰り返し買って頂き継続顧客とする
Loyal use⇒好きになってもらい優良顧客とする
この5つのプロセスを達成することで、STPで狙ったターゲットにレスポンスを促し、リピート育成や顧客毎への個別施策を通じて、優良顧客の育成を図って行く。
真ん中にあるデータベースを中心に、5つのプロセスの左側は、見込み客を獲得し、そして新規顧客を獲得する。このフェーズを「アクイジション:acquisition」と言う。それに対して右側は、新規顧客をリピート、つまり顧客維持し、優良顧客に育成する。このフェーズを「リテンション:retention」と言う。

アクイジション
アクイジション領域では、顧客数を多く獲得するために広告媒体施策(インターネット広告・マス広告・SP広告)を始め、販売促進施策(キャンペーンやイベント)、広報施策(パブリシティの仕掛け)で、プロモーションコストを多く投下する。
(※図④)

図

KPIとして良く使われる指標は、
■CPR(Cost per response)⇒1件あたりの見込み客獲得コスト。(リスト1件獲得コスト)⇒プロモーション総経費÷レスポンス数⇒単位\
■CPO(Cost per order)⇒1件あたりの顧客獲得コスト。(受注1件獲得コスト)⇒プロモーション総経費÷購入者数⇒単位\
レスポンスレートを高めてCPRやCPOを効率的に(安価に)出すために先ずは、「広告表現のクオリティ」を高めること。STPを踏まえた「4:4:2の法則~(誰に伝えるか?⇒40%、何を伝えるか?⇒40%、どう表現して伝えるか?⇒20%)」を熟知して、より高いレスポンスレートを獲得する。そしてもう一つは「広告媒体の費用効率化」で、より狙ったターゲットに的確に、しかも安価に媒体を購入するかの交渉を行う。
商材によってもCPRやCPOはもちろん異なるが、筆者が多く手がけたサプリメントや化粧品通販では、例えば3,000円~5,000円程の価格の商品を販売するのに、CPOが15,000円~20,000円程度掛かっていた。必然的にこの後のリテンションが事業成功のカギを握ることになるが、先ずはアクイジションで、より多くの顧客数を獲得しリスト構築をしなければスタートしない。そのために様々な「初回限定半額・期間限定セール・返品保証」など、オファー(特典)を提示することも多いが、これらは全て商品の販売を促進する手段である。こうした販売促進の原理原則は「短期的・集中的」が鉄則。行い過ぎは自らの首を絞めることになるので注意が必要である。また昨今では事前にインターネットPRやSNSを通じて、時代の空気感を醸成するコミュニケーションもポイントとなっている。

リテンション
アクイジションで顧客数獲得したら、今度はリピート施策を行い優良顧客に育成を図る。アクイジションで投下したプロモーションコストを回収して、利益を出す領域である。
(※図⑤)

図

KPIとして良く使われる指標は・・
■客単価
■リピート率
■離脱率
こうした指標を高めるために、顧客一人一人とコミュニケーションを図りながら、2つのプログラムを実施する。一つは「インセンティブ」である。買えば買うほどお得がある、まさに刺激策である。優良顧客には「貴方は特別!」と言った、シークレットなプログラムもポイント。ただしアクイジションの項目でもお伝えしたように、販売促進である過度なインセンティブは禁物。利益を吐き出すことになる。もう一つは「リレーションシップ」である。顧客との絆を深める心と心を通い合わせるプログラム。自社の理念や、商品開発に託したストーリー。更に顧客とリアルでコミュニケーションを図るイベントなどもリレーションへの貢献は大きい。更には顧客データベースから、顧客グループをセグメントし、それらに合わせたプログラムを行うこともポイント。
こうしたプログラムを通じて、「アップセル⇒より多く買ってもらう、上級グレードを買ってもらう」、そして「クロスセル⇒他の商品も併せて買ってもらう」ことを行い、客単価やリピート率を向上させる。

※次回はVol⑬は、「具体的施策(4P)プロモーション戦略③」と題して、引き続きダイレクトマーケティングのプロモーションの概要をお伝えする。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


 - JECCICA記事, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2019 All Rights Reserved.s