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「伝える」と「伝わる」のあいだに vol.6 自己開示がもたらすもの〜「わたし」は何を届ける?

みなさんこんにちは。ECの現状について真面目に語るプロフェッショナルなコラム群の中で一人だけ「気持ち」の話ばかりしている近藤です!今回も峠の茶店の縁台でお茶でも飲む気分でのんびりとお読みください。

★まず、自分の話をする
コラムのvol.2で暗闇ボクシングに通っているという話をしましたが、今回もそこのお話です。
私の通うこのジムでは毎年レインボー月間に合わせて「DIVERSITY」というプログラムが開催されます。「DIVERSITYについて皆が考え、個性を愛で受け止め、進化してゆく」というのがその趣旨。複数の担当パフォーマー(インストラクター)がDIVERSITYのテーマに合う楽曲を持ち寄りセットリストを作りプログラムを行います。担当者はみな冒頭で「多様性を大事にしよう」「差別をなくそう」と話すのですが、テーマがあまりに広大なせいか、いずれもサラリと終わる印象でした。

その中でひとり、女性パフォーマーLさんだけは違っていました。

彼女がDIVERSITYプログラムでやり続けたこと。それは、プログラムの開始前と後に、自分と家族、友人の話をすることでした。個性的な母親のことを級友にからかわれたこと。学校でいじめられたこと。いわゆる女の子っぽい子ではないために成人してからも色々言われたこと。仲のいい友人の自殺のこと。職場の同僚からの心ない一言で兄が心の病になったこと。人と違っている人を排除することの恐ろしさ。他人の何気ない一言で人が壊れたり死んだりすることについて。

★結果、みんなに伝わる
最初はまあまあ面食らいました。我々会員が知っているのはインストラクターとしての彼女のことだけ。いきなり長年の親友に話すレベルの超プライベートで重たい話を「お客さん」の前で吐露して大丈夫なの…?と心配になりました。気楽に運動しに来てる程度の人間の前で、あまりにストレートに自分を投げ出しすぎじゃないかと。

しかし彼女は毎回愚直かつ真剣でした。「DIVERSITY」ということばを自分と地続きのものとして捉え、独自のメッセージを会員に伝え続けました。

結果、LさんのDIVERSITYプログラムは口コミで評判が広がり日に日に参加者が増え、圧倒的人気を誇るようになりました。プログラム自体の魅力も大きいですが、同一セットリストでLさんの回だけ傑出して人気というのはやはり理由があります。テーマを「自分ごと」に落とし込んで一貫したメッセージとステージを作り上げ、それが見事にお客さんの心を動かしたのだと思います。

★「自分ごと」が企画を生かす
何度か書いていますが、ECにおいて「お客さんをファン化する」という目標が掲げられるようになって久しいです。そしてファンになってもらう第一歩として必要なのが「自己開示」です。こちら(商品やサービスを売る側)がどんな人間で、何を大切にしているのか。それをきちんと開示して初めてお客さんとの関係が始まるのですから。

Lさんのプログラムに人が集まる様子を見て改めて、自己開示は大事だなと思いました。別に自分の過去を話すべきってことじゃありません。「自分の思い」「自分が取り組む理由」を、受け取って欲しい相手に正直に伝える。その方がつながりも共感度も強くなるということです。
何らかのテーマや企画を立ち上げた時、運営する自分は決してそこから切り離された存在ではないのです。各企業などで掲げられているそれこそDIVERSITYやSDGsも、発信側が単なるお題目、一般論にしていたら受け手だって「なるほど」と思うわけがない。

他ならぬ「わたし」はどうなのか。その企画やテーマでどんな「わたし」を語れるのか。そしてなぜお客さんである「あなた」にそれを届けようとしているのか。
どんなビジネスでもサービスでも、それを考え続けたいものです。

JECCICA客員講師

コピーライター 近藤あゆみ

Lamp 代表
博報堂コピーライターから(株)ネットプライス・クリエイティブディレクターを経てフリーに。企業のMMVやネーミング、サイトディレクションなど手がける。恋愛コラムやブログも人気を博す。


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