JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

儲かっている、儲かり続けるEC運営事業者の特徴。
「狩猟型運営」と「農耕型運営」の違いについて

まさに今、いままで経験したことがない環境、社会の変化の過程にあります。

ECの市場規模は緩やかに右肩上がりではあり、ECという概念はこの先も無くならないという現状の中、売り手となるEC事業者は、どのような変化が求められていくのでしょうか。

日々のEC運営において、時間にとらわれ目の前にある脅威や危険を認めずに、大なり小なりの判断決断を後回しにしている場合、後に起こりえる事態を鮮明にイメージできますか?

少しでもイメージできるのであれば、今まで培ってきた感性や嗅覚、そして実体験の中より、軌道修正を行い、自身の事業の軸本線に乗せていく事が求められます。

定めた節目やゴールまでのプロセスにおいては、大企業であろうと零細企業であろうと、近道だったり遠回りだったりで、千差万別であり、自身においてベストな道のりは必ずあることを認識しておく必要があります。

現状当初の予定と比べ、どのくらいのギャップが感じられますか?

今までの時代は、EC事業者数の増加に伴う市場規模の拡大によって、EC事業に参画することでのメリットや、恩恵は少なからず得られていたことと思います。

それがいつの間にか煙に巻かれたように、今までと同じやり方なのだけど、売り上げが停滞している、下がり続けている等の要因が発生してきました。

現況を認め、自身の戦略と向き合うとき
自身のEC事業も売り上げの停滞や、売り上げ減が現実となっていき、それを自覚するスピードが速いか遅いかで、EC事業の存続そのものや、先の展開における展望そのものが見いだせなくなってきているEC事業者が増加しているように思います。

環境の変化を認め、それに順応できないと上記のような状態に陥ります。そして、コロナ渦であったり、増税問題、労基の法律改正等々、外的要因であったり、内的要因に関係なく社会そのものが変化していくと今までのやり方が通用しなくなってきて来るのは当たり前の事であると強く認識せざるを得ません。

思い込みと焦り
そのような中でも、競合は実際に頑張り続けている、または頑張り続けているように見えてしまいます。

競合先に対しての勝手な思い込みから生まれる焦りから、運営パフォーマンスは低下しがちであり、自身に適合しない戦術の導入等、本来の能力が活かせていない状況を自ら作っているのです。競合が粘るとコストがかかるという言葉がありますが、最悪の事態となる、モール出店の際に多く見受けられるレッドオーシャンの中でのパワーゲームに巻き込まれぬよう最新の注意を払う必要があります。

まさに経験したことのない社会や環境の大変化の渦中にある今、生き残りをかけ今何をすべきか方向を見定め、周りに流されることなく自身の舵取りをしなければなりません。

EC事業者の中でも、今まで通り同じやり方が通用する事業者とそうでない事業者について、触れてみたいと思います。

農耕型戦略の例
当初からのEC運営戦略を継続し微増の売り上げ拡大をし続けている事業者の実例になりますが、こちらは地方の商店であり、EC事業参入は12年目になります。EC販売戦略としては、広告でもなく、SNSでもなく、コンテンツマーケティングでもなく、多店舗展開でもありません。

最新のテクノロジーを追いかけている訳でもありません。変わらず、メルマガ戦略です。常に質の高い顧客リストを維持拡大し、月に数本メルマガを配信することで、コンバージョンはEC業界の中でもトップクラスと肩を並べるくらい高い数値を出し続けています。

商店運営とEC事業にかかるリソースは、9:1で、ECサイト管理とバックヤード対応のリソースは2:8です。

バックヤード対応については、通常時のカートインとメルマガの売り上げ比率は2:8であり、メルマガ配信後の数日間、発送対応スタッフを増強している形です。

そもそも、このような形でEC運営ができている理由としては、その商店が創業以来培ってきた仕入れ力の強さにあります。

同じやり方を続けながら、社会や環境の変化に順応していく戦略であるため、ECでの大幅な売り上げ拡大はそもそも望んでいません。年輪拡大でよいのです。

メルマガで攻めまくり、あたかも狩猟を行っていると勘違いしてしまいますが、品質の良い種をまき、収穫の際の実は量もそれなりで質の高いものが収穫できる農耕型戦略となります。商品仕入れ、メルマガ戦略、質の高い顧客維持、リピート率、購入単価向上の5点セットで年輪拡大ができているという事例です。

狩猟型戦略の例
逆に安定したEC運営の継続が非常に困難であるケースをいくつか挙げてみます。

気が付いたら、EC販売におけるテクニックやチャネルやツール活用をほぼ網羅しており、完全にリソースがない中で運営をせざるを得ない環境下である現状。

これはいわゆる獲物がいる場所を求めて、生活や住居そのものを移動し、獲物がいなくなったら次の狩猟エリアに移動する、「狩猟型戦略」のEC運営事業者の例です。

多店舗展開や、最新のテクノロジーの即導入、今から使える売り方テクニック、フル稼働でアクションを起こしていないと売り上げ拡大維持が難しいケースとなり、事業者や従事者にはかなり負担が強いられるケースとなります。

現場は常にバタバタしており従事者もマルチタスクが日常化し、結果としてPDCAもうまく回せず、それぞれの業務の質が向上しにくい環境化下となります。

大きな成果が生まれる機会にも遭遇しますが、それがはたして継続し続ける販売方法であるかは正直疑問です。

これは先に紹介した、同じやり方が続けられる「農耕型戦略」のEC事業者とは相反する戦略であり、行き先を変更できず途中下車ができない列車に乗り続けているようなイメージになります。

目指すは農耕型と狩猟型のハイブリッド戦略
とはいえ、「農耕型」、「狩猟型」それぞれどちらかに依存した戦略はやはりリスクが大きいので、日々の売り上げは「農耕型」で。

用意周到に仕掛けを行い、実行して生み出す売り上げは「狩猟型」で。

それぞれの要素をその事業者にとって最良なバランスで運営を行う「農耕型と狩猟型のハイブリッド戦略」に加え、実店舗とEC運営のリソースバランス、売り上げ構成比を的確に定められることが、これから先において、少々のことでは揺らがないOMO戦略体質の運営スタイルになっていくものと感じます。

儲かっている、儲かり続けるEC運営事業者の特徴としては、このハイブリッド戦略を理解し実践導入している事業者、または意識せずとも過去より当たり前のように展開してきた事業者であるように思います。

小林厚士プロフィール写真

理事【小林厚士のプロフィール】

地方型Eコマース経営・運営総合的アドバイザー
主な経歴
1996年:建設業にてCADとの出会いによりPCへの可能性に目覚め転職を決意
1997〜99年11月:自作PC制作、販売、環境構築、法人向けトレーナー
サービスを展開
1999〜05年3月:ネット販売会社設立 2箇所の海外支店をハブに、最大7店舗のネットショップ運営展開を行う
2005年4月〜:アイズモーションウェブコンサルティング設立
2007年6月:株式会社アイズモーション設立
2013年:WEB・EC及び経営コンサルティング支援を行い現在に至る

・99年より楽天市場出店を期に、最大7チャネルのECサイトを運営
楽天店舗では02年楽天ショップオブザイヤースーパーオークション賞受賞
・長野県・新潟県・富山県・山梨県登録専門家(IT部門)
長野商工会議所経営革新支援アドバイザーセンター 登録専門家
経済産業省中小企業支援ネットワーク強化事業 認定専門家

物販で培ったマーケティングノウハウを活かし、経営視点かつ現場最優先の実践的なコンサルティングを得意とする。

 - Eコマース情報, JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2024 All Rights Reserved.s