ぜったい分かる、人工知能「ディープ・ラーニング」再入門(1)
■まだまだ不気味な人工知能「ディープ・ラーニング」
最近のセミナーでご要望が多いのが「事業に役立てるための人工知能セミナー」です。なんといっても皆さんのご興味関心は「ディープ・ラーニング」。IQ200を超える天才囲碁棋士が打ち負かされたり、タクシーを無人で運転したり、と、一般的なニュースでも耳にすることが多くなったディープ・ラーニングですが「どんなスキルの人材が必要なのか」「社内チームづくりはどこから手を付ければ良いのか」などのご質問が多いのですが、つきつめると「人工知能のしくみを知りたいけど、なんだかよく分からない」という事のようです。
■数式は一切ナシ!人工知能を徹底理解してみる!
理解の大きなハードルとなっているのは微分などの「数式」のようです。特に、機械学習やディープ・ラーニングのしくみを理解するには、こうした「数式」は欠かせません。詳しい解説書ともなると微分や確率などの数式のオンパレードです。セミナー前の事前アンケートでも「数学は苦手ですが参加しても大丈夫ですか?」というご相談をいただく事もあります。でも、大丈夫!そこで今回、一切の数学的な用語や数式を使わずに、ディープ・ラーニングの構造をご理解いただけるチャレンジを本稿でトライしてみます。
■人工知能の一種「ディープ・ラーニング」のしくみ
例えば、世間で人工知能と呼ばれているしくみは、弱い人工知能と強い人工知能に分類されます。そのうち、ニュースでとりあげられるのは、「機械学習」とか「ディープ・ラーニング」という、強い人工知能に分類されているタイプです。特にディープ・ラーニングというしくみは、ロジカル思考というよりも、画像や直感、ひらめきに近い(ように見える)処理を得意としています。この時に使われているのが、人間の「脳の神経細胞」を模倣した、いわば「人口脳細胞」、つまり、ディープ・ラーニングのベースとなる「ニューラル・ネットワーク」です。
※図は、構造をわかりやすくするために、多少デフォルメしています。
例えば、画像を入力すると、それが何かという答えを出力します。
でも人間の脳なら、このような処理をしていることは納得できるけど、どうして「0」と「1」しか分からないパソコンが、これがイヌの画像だと分かるのですか?というご質問を頂いた事があります。答えとしては、「パソコン上の画像は『数値の固まり』だからです。」こちらの図をご覧下さい。
古典的な画像データでは、図の様に1x1ピクセル毎に256種類の数値が割り当てられています。つまり、あたかも人間には一枚の写真のように見えていても、実はパソコンが1x1ピクセル毎に割り当てられた数値を色データに変換している、というしくみです。なので、ディープ・ラーニングは、画像を入力しても「これは犬の写真」とは全く理解しておらず、「画像の数値データ」としか理解していません。こうした数値データを、いったんバラバラに分類しては組み合わせながら過去に「学習」した正解パターンから「これは、ロン毛のゴールデンレトリバー、だと思います」というあいまいながらも予測結果を出しているわけです。
このため、「この数値の固まりは、イヌの眼だ」と判断できるだけの「経験」を積ませる必要があります。できるだけたくさんの失敗と成功をさせて、正解したら「ごほうび」を与える。そうした「学習」をディープ・ラーニングは行っているわけです。
つまり、人間のニューロン(神経回路)とシナプス(結合部位)が集合した「ニューラルネットワーク(神経回路網)」に似た構造を、深く(ディープ)何層にも重ねて、多くの学習(ラーニング)から、自分で正解を導く力を身につけてゆくので、「ディープ・ラーニング」と呼ばれています。
株式会社ISSUN 代表取締役 宮松利博
1993年、独自に開発した顧客管理システムで営業業績を伸ばし、1997年システム売却。1998年、インターネットに公開したフリーウェアがヒット。そのヒット要因を解析するツールを開発(現在のGoogleアナリティクスの簡易版)し、2000年からECで活用。EC立上げ初年度で月商1億円に急成長するも数年後に上場失敗。2003年、学校前のパン屋を拠点とした新たなECを3年で年商20億円に成長させ(現ライザップ)、2006年株式上場と同時に保有株を売却、海外視察の後、2011年「小よく”巨”を制す」を掲げ、株式会社ISSUN立上げ。WEB/ECの運営・制作・コンサルティングで、業界No.1に成長するクライアントを多数抱える。2017年には、EC業界と大学との連携強化を目指した JASEC 日本イーコマース学会を数名で立ち上げ奮闘中。