リソース不足のリソースとは何か?を考える
よく耳にもし、また自分自身もよく使っている「リソース不足」。
今回はこの足りないリソースとは何なのか?について考えてみました。
「リソース不足」のリソースとは何か?—制約の中で見出す可能性
人材不足、時間不足、予算不足、技術・知識不足、設備・環境不足、あらゆる場面で「足りない」ことが問題として挙げられます。しかし、そもそも「リソース」とは一体何なのか、そしてそれが不足することで生まれる影響とは何なのでしょうか。この問いを深掘りすると、ただの「不足問題」ではない、新たな視点が見えてくるような気がします。
リソースとは何か?
一般的にリソースは、何かを生み出すための資源や要素を指します。天然資源、労働力、技術、知識、時間など、人類が活用できるものはすべてリソースの一部です。例えば、企業が事業を運営するためには、人材、資金、設備といったリソースが必要ですし、家庭でも食料や水、エネルギーといったリソースなしでは生活が成り立ちません。
しかし、リソースは単なる「物理的な資源」だけではありません。アイデア、創造性、ネットワークといった目に見えない要素も、重要なリソースといえます。例えば、スタートアップ企業は資金が限られていても、革新的なアイデアと強いネットワークを活用することで成功を収めることがあります。このように考えると、「リソース不足」と言われる状況でも、何かしらの代替リソースが存在する可能性があります。
リソース不足が生む創造性
面白いことに、人はリソースが豊富なときよりも、不足しているときにより創造的になることが多いです。歴史を振り返ると、多くの画期的な技術や発明は、「何かが足りない」状況から生まれています。
例えば、第二次世界大戦中のイギリスでは、食料不足が深刻でした。しかし、その状況が逆に創意工夫を生み、戦時中の食事を工夫することで「イギリス料理の進化」が促されました。日本でも、戦後の資源不足の中で、企業は限られた材料を使って製品を改良し、高品質なものづくりを確立しました。つまり、リソース不足は「問題」であると同時に、創造力を刺激する「機会」でもあるのです。
また、IT業界では、技術の発展によって「リソースの定義」そのものが変化しています。クラウド技術の登場により、かつて物理サーバーが必要だったデータ管理が、インターネット上の仮想リソースへと移行しました。このように、リソースが不足すると新しい解決策が求められ、それが結果的に技術革新を促進することもあります。
足りないからこそ価値が生まれる
もしリソースが無限にあるとしたら、それは本当に価値のあるものなのでしょうか。面白いことに、多くの人が「希少なもの」に価値を見出す傾向があります。金やダイヤモンドやプラチナなどが高い価値を持つのは、それが限られている貴重な資源だからです。
この考え方を広げてみると、時間やアイデアも「希少なリソース」として捉えることができます。時間が無限にあれば、人は効率的に過ごそうとは思いません。しかし、時間が限られているからこそ、何に使うべきかを真剣に考え、最も価値のあることに集中するようになります。アイデアも同様で、無限に新しい発想が湧くわけではないからこそ、貴重なものとして評価されるのです。
基本的なリソース不足の対応
一般的に、リソース不足を解消するためには以下のような対策が考えられます。必要とされるリソースの明確な計画と見積、リソースの効果的な配分と活用、リソースの代替手段の検討(外部パートナーの活用など)、リソース不足を回避するための予防策の策定などです。
リソース不足は本当に問題なのか?
「リソース不足」と聞くと、つい「不便」「問題」というネガティブな印象を持ちがちです。しかし、視点を変えれば、それは創造性を刺激し、新たな価値を生み出す機会でもあります。
資源や労働力が不足すれば、工夫して効率化を図ります。時間が限られれば、優先順位をつけて最も大切なことに集中します。リソース不足は、確かに課題を生みますが、そこから得られるものも大きいです。
大切なのは、「何が不足しているか」ではなく、「不足している状況の中で何ができるか」という視点です。そう考えると、リソース不足は単なる「問題」ではなく、新たな可能性を開く「チャレンジ」なのかもしれません。
何事もチャンスととらえるポジティブさが必要でしょう。個人的には過去に私自身が不足と感じたリソースのほとんどは時間でした。基本的な能力量に関してはいかんともし難いのですが、アイデアと工夫でなんとか解決してきたつもりです。幸いなことに優秀な外部パートナーにも恵まれてきました。
リソースが足りないと感じたときこそ、今まで見えていなかった価値を見つけられるタイミングなのかもしれません。是非そんな機会をチャンスととらまえて新たな価値を創造していきましょう。

JECCICA客員講師 和田 務
株式会社シーズファクト代表取締役社長 クライアントサイドに立ったITコンサルティングを経営、業務改善、物流といった幅広い視点から行い、企画から運用・保守まで全てのフェーズでのプロジェクト支援が可能。複数のITベンチャー企業の設立・経営に参画し、幅広い人脈を生かしての新規ビジネスの企画、アライアンス提案も行う。