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令和7年度 新設された補助金情報

今回は令和7年度に新設され、すでに公募要領が公開された補助金の情報です。

中小企業省力化投資補助金について
中小企業省力化投資補助事業は、IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する事業です。これは昨年度までのスタイルです。

しかし、従来のカタログ注文型には、いくつかの課題がありました。
例えば、カタログに登録されている製品数が限られているため、業種や事業内容によっては、最適な設備を選択できないケースがありました。飲食店がよく導入している、券売機を新札対応させるために、お札の検知システムだけを入れ替えたいが、カタログ型は機械本体がカタログ登録されており、機械本体を入れ替えるしか対応できないという状態でした。

つまり、「カタログ注文型」では、個別の業務プロセスに合わせたカスタマイズが必要な設備導入には、融通が利かず対応が困難という課題がありました。

そこで、令和7年度はこれに加え「一般型」が追加設定されました。
つまり、本年度は同じ補助金なのに2つのバージョンがあるのです。

従来の「カタログ注文型」とは異なり、「一般型」は業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)等、中小企業等の個別の現場の設備や事業内容等に合わせた設備導入、システム構築等の多様な省力化投資を促進する事業です。補助上限金額が最大1億円と大きく、大規模プロジェクトや業務効率改善といった設備・システム投資が可能な補助金となりました。

本年度も大きな予算が確保されていることから注目を集めています。いずれにしても中小企業の省力化投資を支援し、従業員の賃金アップを促進し、経済活動を活発化する事が目的です。

活用イメージですが、「EC事業において、ネットショップの顧客増加と購買量の拡大に対応するため、省力化投資補助金を活用し、自動梱包機および倉庫管理システムをオーダーメイドで開発・導入する」といった、EC事業者のバックヤードの設備投資には十分利用可能です。

「一般型」の基本要件について

基本要件
①労働生産性の年平均成長率が+4.0%以上増加
② 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上又は給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
③事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)の基本要件を全て満たす3~5 年の事業計画 に取り組むこと。

※最低賃金引上げ特例が適用される事業者は、③の要件は適用されません。

「一般型」を活用する場合、3~5年の事業計画を策定し、毎年、効果報告を提出する必要があります。設定した基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還義務が発生するため、精度の高い計画と計画達成に向けた継続的な取り組みが重要になります。

補助金返還条件
補助金を受けた事業者は、設定された基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還が求められます。

■基本要件②を達成できなかった場合、未達成率に応じて補助金の一部を返還
■基本要件③を達成できなかった場合、「補助金額 ÷ 計画年数」に相当する金額を返還する

ただし、以下のいずれかの条件を満たす場合、補助金の返還が免除されます。

(1) 付加価値額が増加していないこと
(2) 企業全体の営業利益が赤字であること
  基本要件②の場合:事業計画期間の過半数が営業赤字
  基本要件③の場合:当該事業年度が営業赤字
(3) 天災など、事業者の責任によらない不可抗力の理由がある場合

会社としては営業年度が赤字なのに賃金アップは出来ません。この辺は臨機応変に対応できるような仕様の補助金であると思われます。

事業計画策定のポイント
「一般型」はものづくり補助金と同様に、事業計画の内容が重要な審査基準となります。この補助金の事業計画の重要点は以下となります。ここを事業計画で明確に表現できないといけません。

●補助事業者の業務領域・導入環境において、当該事業計画により業務量が削減される割合を示す省力化効果が見込まれる事業計画を策定する。これがどれくらい効果あるかを出来るだけ明確に表現する。
●事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出する
(投資しても回収できない計画は絶対採択されません)
●3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定する。
●人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画を策定する。(ここがポイント!)

人手不足に関しては客観的に示す証憑を提示するか、人手不足が経営課題となっている旨をうまく説明し、設備導入の必要性をうまく訴求してください。

また、付加価値額に関しては、事業終了後で従業員1人あたり、年平均3%以上の増加が見込める事業計画を策定する必要があります。付加価値額とは「営業利益+人件費+減価償却費」によって算出されるものを指します。

中小企業省力化投資補助金は、省力化投資を促進して中小企業の付加価値額や生産性向上を図る制度です。カタログに掲載されている製品については、原則カタログ注文型で申請を行う必要がありますが、カタログに掲載されている製品をそのまま導入するのではなく事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることで、より高い省力化効果や付加価値を生み出す場合には、一般型の対象となりますのでそちらでの申請が良いと思います。

この補助金は第1回の公募締め切りが令和7年3月31日でした。
(第1回公募要領)https://shoryokuka.smrj.go.jp/ippan/

応募を検討されている方は、第2回に向けて準備が早急に必要です。
最近は公募要領が公開されてから締め切りまで1か月以内の案件も多いので事業計画は次回公募が発表になる前に検討しておくべきだと思います。

以上になります。補助金申請・ご利用は計画的に!

JECCICA客員講師 渡辺 太志

(株)アイズモーション経営企画部長 プロフィットシステム常務取締役 コンサルタントとして企業の経営戦略から組織開発までトータル支援が可能。 SNSを活用した集客・販促により宣伝広告費の圧縮を行い、経営改善に繋げるシステム作りのコーディネートを得意とする。


 

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