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2025年、問われるSNSの意義

SNSに関する規制
相変わらずSNSでの誹謗中傷が後を絶たず、社会問題化していることは既知の通りでしょう。そんな言葉を何故発信するの?と思わず目を疑いたくなるような投稿が対象者を傷つけている事例はたくさんあります。それらが表面化しているのは氷山の一角であり、水面下では膨大な誹謗中傷がSNSに書き込まれていることでしょう。尚、海外ではオーストラリアにおいて16歳未満の子供のSNS利用が禁止されることになっています。それ以外の国でも、SNSの利用に際し一定年齢以下の子供が利用する場合は親の同意が必要といったように、何らかの規制が実施されている国は多いようです。SNSの利用に関するマイナス面の懸念は世界的なトレンドとなっているようですが、日本ではSNSの規制は遅れを取っているように感じます。

2024年は選挙でSNSの意義が問われた年
2024年を振り返ると、象徴的な出来事の一つに日本を含む世界的なイベントとして選挙が挙げられると思います。その選挙の中でも、日本では東京都知事選、兵庫県知事選、米国では大統領選挙に関し、SNSが選挙結果に何らかの影響をもたらしたと言われています。SNSによって同様の意見や考えを持つネタに多く触れることで、他の意見に触れる機会が減ってしまう「エコチェンバー」があるでしょうか。またエコチェンバーではありませんが似た概念として「フィルターバブル」「確証バイアス」といったものもあります。選挙でのSNSの利用のされ方に関する既存メディアの反応を見ていると、SNSが「好ましくない存在」のように取り扱われている印象を受けることもあります。

本コラムでは政治ネタを扱うつもりはないので誤解しないでいただきたいのですが、誹謗中傷の問題などもあり、私はシンプルに広い範囲でSNSの存在意義が問われている気がしてなりません。

年代別/SNS別の利用率
次のグラフは年代別/SNS別利用率についての統計データです。LINEはもはや国民的ツールでありSNSというよりも通話や連絡手段として完璧にインフラ化しています。X(旧Twitter)とInstagramは比較的似通った傾向です。若者世代から中年世代にかけて利用率は高めですが高齢さになると急落します。その傾向がさらに強まっているのがTik Tokでしょうか。それでも60代で13.0%というのは、それはそれですごいとは思います。注目はYouTubeです。公民的ツールLINEを除けば全ての年代でトップです。60代66.3%、70代でも39.9%ととても高い利用率です。高齢者が選挙の候補者の動画をYouTubeで見たという話をよく聞きましたが、まさにそれを裏付ける利用率ではないでしょうか。このように、SNS毎に特徴や利用率に差はあますが、いずれにせよSNSの利用度は不可逆的に今後も高まるでしょう。

ECにおいてUGCで起こっていること
ECにおいてSNSは切っても切り離せない存在になっていることは疑う余地がありません。しかしながら、選挙や誹謗中傷を通じてSNSの存在自体を悪とみなす向きが日に日に大きくなってきている点が気になります。そのような流れが悪い意味でECビジネスに影響しなければよいのにと、個人的にやや危惧しております。しかしながら、ECの世界においてもSNSではありませんが、ECモールのレビュー欄にライバル企業がわざと悪いコメントを書き込んで相手を陥れようとする事例が多いと聞きます。ECの世界でもUGC(User Generated Content)がそのような事態になっていることをとても悲しく思います。つまり、既に似たようなことがECの世界でも起こっているということです。ECモールを回避して自社ECに注力する企業も多いと聞きます。データのハンドリング面が大きな理由かもしれませんが、それ以外にレビューの点もあるのではないでしょうか。

2025年はSNSの転換期?
2025年は参議院選挙という大きなイベントがあります。これに向けて選挙におけるSNSの法規制が議論されることとなりそうです。私は、2025年はSNSの負の面が法規制面でもマーケティング面でも大きくクローズアップされる年になるのではと予想しています。EC業界の立ち位置から見て、それらの動きを別世界の話として捉えず「自分ゴト」として捉える必要があるのではと思っています。健全なEC市場の形成には懸念事項を一つひとつ排除しなくてはいけません。UGCやSNSとECとの関係性を引き続きウォッチし、必要に応じてメッセージを発信したいと思っています。

年代別/SNS別の利用率


出所:「令和5年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(総務省)

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 本谷 知彦

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役


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