【ECコンサルタントによる「勝手にECサイト分析」】76 ジャパンEコマースコンサルタント協会 笹本克一特別講師〈西村金属「西村金属」〉/リアルもネットも変わらない”実践力”
チタンやマグネシウムなど「難削材」と呼ばれる軽金属の精密部品を製造する福井県鯖江市の西村金属。地場産業のメガネ部品が海外勢に押されて厳しい経営環境にあった中、現常務の西村昭宏氏が主任だった03年にホームページ(HP)を立ち上げた。
本屋でHP制作の参考書を買い、全て独学で立ち上げたHPである。社長からは「PCで遊んでいないで仕事をしろ」と言われ、人目を忍んで1人でHPを制作していた。そして西村氏は筆者のネット「通販」の講座に参加してきた。
同社は製造業であり、いわば他業種の通販の講座であるにもかかわらず、「ネットで売るとはどういうことか」を吸収すべく、ここに潜り込んできたのである。
HPのレイアウトやデザインなどはお世辞にも良いとは言えないレベルであり、独学のため当然ながら知識も十分ではなかったが、彼はネットで売るための判断力と実践力を持っていたと思う。
筆者が「『作ってくれるから』見積依頼が来るのではなく『作ってくれそうだから』依頼がくるのです」と言うと、彼はすぐに同社の各生産設備のスペック詳細を掲載した。
今考えれば典型的な「見える化」であるが、製造業において生産設備の開示はかなりのリスクを伴う。競合他社に生産能力を教えることにもつながり、また、商談で足元を見られる可能性もある。それを承知の上で、独断で開示を行ったのだ。
(続きは日本ネット経済新聞 2月25日号で)
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