補助金の最新情報とその内容について
このコラムが掲載される12月中旬は、事務局ホームページがリニューアルした「事業再構築補助金」の第11回公募が始まり、10月から事務局が中小企業基盤整備機構になった「IT導入補助金2023」の第9次通常枠・セキュリティ対策推進枠が締め切り直前、「小規模事業者持続化補助金」の第14回公募受付が12月14日に締め切りになりました。
この3つの補助金は毎年ルールが変化します。特に2023年は大きくルールが変更になり、また、申請回ごとによってルール変更になるケースも散見されております。
今回はこれら補助金の最新情報について書いていきたいと思います。
事業再構築補助金について
相変わらずこの補助金は「採択されてからが地獄」です。
ポイントとしては交付決定が決まるまでにものすごく時間がかかることです。
特に「建築費」を計上している場合、審査に一番時間がかり、申請修正・差し戻しが非常に多いのが現状です。
申請してから30日くらい放置されるのは当たり前なのです。おそらく事業内容を精査できる人員が少ないのでしょうね。ですので、見積入手まで進められる「事前着手」の申請が絶対必要です。また、第10回公募からいくつかルールが変更になっております。以下になります。
●購入価格が50万円以上の案件は「相見積が2社以上必要」となりました。
●採択された事業者様は、事務局のオンライン説明会に参加し、動画で出された問題に解答・回答結果を送付しないと交付申請に必要なファイルをダウンロードできない仕組みに変更されております。
また、岸田内閣からの要望で補助事業実施期間の終了時点が含まれる事業年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年率平均で2%(賃上げ加点を受ける事業者は3~5%。)以上増加する計画を作成し適切に実行いただく必要があると規定されております。
応募時賃金引上げ計画の誓約書を提出し正当な理由無く上記の水準に達していなかった場合には、その事業者名を公表します。というルールが存在します。
しかし、3~5年ということが最終的に6%~10%の賃上げ計画を策定しなくてはいけません。また採択されやすい賃金加点枠は3~5%と設定されていますが、5%の5年後は賃金25%アップとなり、経営的にちょっと現実的でない気がします…。
この賃金アップノルマが採択された事業者をいずれ苦しめると思います。
【成長枠の対象事業者は?】
必須要件に加え、以下のいずれも満たすことが要件となります。
(1)取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属している
(2)事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させる
※(1)に関して、対象となる業種・業態は、事務局が指定します。
ということで給与アップを前提とした申請を行わなくてはいけません。また原則として「事業再構築補助金」事務局が指定した事業しか申請できません。要注意です。
以下が本年度の補助金枠一覧になります。本年度も物価高騰対策・回復再生支援枠に応募が集中しております。不採択になった方がリベンジしているのでしょうね。また、サプライチェーン強靭化枠はすでに公募を停止しております
IT導入補助金2023について
狙うはずばり「デジタル化基盤導入型」です。
IT導入補助金2023より「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行った事業者であることが申請要件となっております。
みらデジサイト https://www.miradigi.go.jp/
弊社は、認定支援機関としてこの経営チェックサポートを行っております。また本年度よりクラウド利用料が最大2年間補助対象費用となっております。
「デジタル化基盤導入類型」で「ITツール」のEC機能と決済機能の2機能のITツールであれば50万円~350万円の補助額となり、ECベンダーには追い風になるものと思われます。本年度は「ミラデジ」と併せて事業者様へのサポートが必要となります。
また、導入前のコンサルティングは費用に含んで良いので、ここをうまく活用しましょう。
小規模事業者持続化補助金について
本年度の持続化補助金販路開拓や業務効率化などにかかる経費のうち、補助金対象となる経費は多岐にわたります。例えば、広告宣伝だけでなく店舗改装や新メニューの導入といった用途にも活用できるようになりました。
しかしながらECサイト構築を含むウェブサイト関連費は、補助金交付申請額の1/4が上限となり、通常枠の場合は12.5万円が最大補助額となります。またウェブサイト関連費のみによる申請はできないため、その他広告費(新サービスを紹介するチラシ作成・配布、看板の設置等)と組み合わせて申請する必要があります。
ですが、公募要領をよく見ると[賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠] は200万円となるのです。50万円の4倍なのでウェブサイト関連費も50万円にアップします。賃金引上げ枠は再構築補助金より緩く、いわゆる「30円プラス」であればクリアします。そして「インボイス特別枠」のプラス50万円もあります。ここをうまく活用します。
いずれにしても「賃金アップ」がキーワードとなります。どの補助金も詳細は公募要領にありますのでよく読んでから申請してください。
以上になります。補助金申請・ご利用は計画的に
JECCICA客員講師 渡辺 太志
(株)アイズモーション経営企画部長 プロフィットシステム常務取締役 コンサルタントとして企業の経営戦略から組織開発までトータル支援が可能。 SNSを活用した集客・販促により宣伝広告費の圧縮を行い、経営改善に繋げるシステム作りのコーディネートを得意とする。