ECで商品検索「商品を探すユーザー目線で」
JECCICA特別講師 松橋 正一
インターネットのショッピングモール(以下モールと称す)内の「商品検索」で上位表示する方法は、モールに出品している多くのECショップが模索するテーマです。
モールの商品検索アルゴリズムは、それぞれモール独自のものですが、その根幹にあるのは、
- ユーザーニーズを満足させる検索精度
- モールの利益
です。
モール内検索アルゴリズムの詳細を知っているのはモールの検索エンジン開発に関わっている一部の開発者のみです。
ECショップ運営者は経験を基に推測するしかありません。
モール内検索で表示される商品は、ユーザーが検索するキーワードとマッチしていることが必須で、モールが定める〔検索対象項目〕にキーワードが入っていないといけません。
テレビCMなどで露出の高い人気商品が売れるからといって、〔商品名〕以外の〔検索対象項目〕に「購入するとテレビで人気の△△サンプルプレゼント!」などと商品に関係ないキーワードを埋め込んだ場合、検索「△△」でヒットしますが、ユーザーは「自分が探しているのはこの商品ではない!」と検索精度が悪いと評価されモールに対する信頼度が落ちます。
これら商品とマッチしない検索結果を排除するため、モールのカテゴリパス(カテゴリコード)を定め、商品にマッチしたカテゴリコードへの登録を義務づけ、「商品 ⇒ カテゴリパス ⇒ 検索キーワード」と関連づけられます。
- 楽天市場の「全商品ディレクトリID」
- Yahoo! ショッピングの「product-category」
- Amazonの「ブラウズノード」
これらのカテゴリパスが各モールでの検索アルゴリズムに関連していることは否定できません。
検索表示順位を決定づけるものとして、「ユーザーニーズを満足させる検索精度」より「モールの利益」が重要となる傾向にあります。
それは「モールにとって有利である」ことが検索表示順位に影響しているということです。
モールの収益は「広告収入」と「売上ロイヤルティ(販売手数料)」が大きなウェイトを占めています。
Yahoo! ショッピングは、2013年の無料化で「売上ロイヤルティ」はありませんが、検索上位表示される売れ筋商品にアクセス数が集まり、ユーザーも目的の商品が見つかればモール全体の評価が高まり、モールの「広告収入」につながります。
モール内検索で上位表示される要素として、商品の〔検索対象項目〕に出現させるキーワード数、出現位置などを研究することも必要ですが、売上金額、売上個数、アクセス数、レビュー数(評価数)らも忘れてはいけません。
モール内検索でユーザーが目的の商品を探し出す上で検索するキーワードは、ECショップ運営者が自分で思いついただけのキーワードではなく、ユーザーの立場になって考えられたものでないと、上位表示されても効果が得られない場合があります。
また、各モールの検索窓で表示される検索数の多い関連キーワードで対策しても商品そのものがそのキーワードに関連づいているものでなければ、購入にはつながりません。
「もしユーザーだったら、この商品どうやって探す?」とユーザーの立場になって考え対策すべきで、「この商品、このキーワードで探して欲しい!」であってはいけません。
ユーザーの立場になって「商品を探す」ことを考える上で、リアルショップで買い物をすることを想像してみましょう。
家電量販店で買い物をするとします。
商品名やメーカー名、型番などがわかっている場合は、店員さんに直接商品売り場や商品棚を聞くのがはやいと思います。
それは、ECの「検索窓」にキーワードを入れて検索するのがそれです。
しかし、不慣れな店員さん、商品に詳しくない店員さんだと正確に商品の場所を教えられないかもしれません。
LED電球を探すとします。
まず、照明器具売り場のフロアー行き、電球の売り場に向かいます。
更にLED電球の商品棚を眺め、目的の口金の大きさ(E11、E17、E26など)、目的の明るさ、色合いのものを探し出します。
これら商品の探し方がECの「カテゴリ絞り込み検索」で、多くのモールにある機能です。
リアルの売り場では、ごく普通に行っている商品の探し方ですが、多くのECショップ運営者は、「モール内検索」で上位表示させることに集中し、この「カテゴリ絞り込み検索」に注目していません。
各モールで、「LED電球」と検索すると数十万件の商品がヒットします。
この中から商品を見つけてもらうのは至難の業です。
探す商品のメーカー型番などが明確な場合は「LED電球 型番」などで検索し探すことは容易です。
ECの「カテゴリ絞り込み検索」は、前述のカテゴリパスで分類表示されます。
各カテゴリパスの属性項目で絞り込まれる仕組みです。
- 楽天市場 「全商品ディレクトリID」 タグID(属性項目)
- Yahoo!ショッピング 「product-category」 ブランド名、スペックなど(属性項目)
- Amazon 「ブラウズノード」 リファインメンツ(属性項目)
各モール、ジャンルによって「カテゴリ絞り込み検索」で使用される属性項目は異なります。
大量商品をモールに出品している場合、これら属性項目を最適化するのは面倒な作業ですが、実際にユーザーが「カテゴリ絞り込み検索」で商品を探し出していることを考えると無視できません。
「フリーワードで商品検索」も「カテゴリ絞り込み検索」も重要です。
ECで成功するために、「やれること」「やるべきこと」を実践してみてください。
JECCICA特別講師 松橋 正一
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。