「Amazon、安さだけでない売り方」を考える
JECCICA特別講師 松橋 正一
「速い、安い」で人気を高めているAmazon。
「安さだけでない売れる売り方」を考えてみましょう。
amazon.co.jpで商品を販売する場合、amazon.co.jpに掲載されている商品であれば、写真や商品データなどの登録も必要なく、最小限の手間で簡単に販売が可能です。
Amazon商品ページをみると、「この商品は、Amazon.co.jpが販売、発送します。」と、販売しているのは amazon.co.jp であることがわかります。
ページ右上の「カートに入れる」の注文ボタン(ショッピングカートボックス)をクリックすると、amazon.co.jp から購入することになります。
ところが、「こちらからもご購入いただけます」と、注文ボタンが並んでいる場合があります。
これは販売価格や配送料、お届けまでの日数が異なりますが、同じ商品を複数の出品者で販売しているケースです。
商品ページが既にamazon.co.jp上にあれば、既存の商品ページの情報に出品者の販売情報(商品管理番号、販売価格、数量など)を登録するだけで出品が完了し、すぐに販売が開始できます。
これらはAmazonカタログに掲載されている商品に「ひも付け出品」するもので、型番商品のほとんどがこの出品方法です。
この「ひも付け出品」は、価格競争に陥り易く「販売利益を確保できない」、サービス向上のため「出品コストが上昇する」などデメリットがあります。
販売価格(安さ)だけではない「売れる売り方」を考える必要があります。
カートを獲得するには、 複数の出品者が、同一商品を販売する場合、購入者が支払う商品代金と配送料の合計やFBA(フルフィルメント)商品、在庫数、購入者からの評価、その他要素の実現度で評価され、どの出品者がカートを獲得するかが決定されます。
カート獲得は「商品代金と配送料の合計」「FBA(フルフィルメント)商品」が最も大きな要素であることは間違いありません。
同一商品を複数の出品者が販売している場合、その商品ページへの集客も期待されますが、カートを獲得しなければ、なかなか売れません。
しかし、カートを獲得していない出品者でも、先に示した「こちらからもご購入いただけます」の同一商品の出品者リストで、売れるケースも少なくありません。
「こちらからもご購入いただけます」の同一商品の出品者リストでは、
- 商品価格+配送料(決済方法)
- 商品のコンデション(説明文)
- 出品者(評価)
- 配送(在庫やお届けまでの日数)
などの情報が並びます。
配送料を含めた販売価格の安い順に並びますが、「少し高くても今すぐ欲しい」、「コンビニ決済で買いたい」、「出品者評価が高く安心して買えるところがいい」などと、ユーザーの思いは様々です。
特に「Amazonはお届けが速い」というイメージを持っているユーザーも少なくありませんので、速い配送は購入率を上げる重要な要素です。
商品価格+配送料
商品価格や配送料が表示されます。「コンビニ・ATM・ネットバンキング・電子マネー払いが利用できます。」など、スタンダード以外の利用できる決済方法が案内されます。利用できる決済方法がいろいろあった方が有利と言えます。
商品のコンデション
コンデションという項目は、本来、中古商品などの状態を現す説明ですが、「年中無休、即日配送します」などの商品コンデションと異なる情報を掲載している出品者も多くみられます。本来の用途であるかないかは別として購入率を上げる有効な手段です。
出品者(評価)
過去12か月での高い評価率で出品者がトラブルなく取り引きしているかの判断ができますし、出品者の通算評価数で出品販売数の実績を評価できます。こちらの評価でユーザーが安心してお買い物することになります。
配送(在庫やお届けまでの日数)
FBAを利用せず速い配送を行うには、しっかりと在庫を確保し、自社の物流システム(物流会社への業務委託含む)を備える必要があります。
Amazonカタログに掲載されている商品に「ひも付け出品」する場合、販売価格競争力があればそれに越したことはありませんが「出品者リスト」に掲載する情報を工夫することで売上げアップにつながります。
速い配送には、AmazonのFBA(フルフィルメント)の利用が最も有効です。
ユーザーから見たFBAのメリット
- 通常、全商品配送料無料
- 当日お急ぎ便、お急ぎ便の配送納期に対応
- 24時間365日受注、出荷対応 (盆・年末年始もOK)
出品者から見たFBAのメリット
- 注文処理、ピッキング、梱包、出荷を すべてAmazonが対応
- 梱包資材調達の手間とコストを削減
- ギフトラッピング・メッセージにも対応してくれる
- 配送後のカスタマーサービス、 返品受付もAmazonが対応
- 配送代行手数料は送料込みで全国一律 (地方や離島も含む)
FBAの利用は「カートの獲得率がアップ」と「短い配送納期に対応」で売上げアップにつながる他、受注、出荷対応が年中無休のメリットは大きいと考えられます。
即ち、FBA(フルフィルメント)を利用することは「Amazonでの売れる売り方」の最大の方法です。
FBAを使うデメリットもあります
- 一律配送料無料で低販売価格では 利益確保が難しい
- 大きいサイズは、納品・保管のコストがかかる
- 長期保管在庫は、廃棄もしくは出品者に 返送される
- 返品商品は、ほぼ例外なく再販できない
- 要期限管理商品は管理が厳しい
- 冷蔵、冷凍保存商品に対応しない
「販売価格で勝負」「FBAの利用」どちらも対応できないという出品者もいるはずです。そんな場合の売り方も、前述の「こちらからもご購入いただけます」の出品者リストをうまく活用することがより重要です。
Amazonで「安いだけでない売り方」は、
- FBA(フルフィルメント)の利用
- 速い配送システムを構築
- 出品者リストでの工夫
売るために、販売価格の競り合いでカートを獲得すると思わぬ赤字になります。
価格だけで売れる商品は、結局、もっと安値で販売する競合が出てきます。
出品者リストで掲載される情報の工夫で売上げアップするようにすることが重要です。
2015年は「安さだけでない売り方」でAmazon販売ビジネスを勝ち抜いてください。
JECCICA特別講師 松橋 正一
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。