ECの配送料をかしこく設定
JECCICA特別講師 松橋 正一
インターネットで買い物をする場合、送料は購入を決定させる大きな要素です。
「どうしてもこの商品が今すぐ必要」などの事情がない限り、送料を含めた商品の購入コストを考えてしまいます。
やはり送料は購入を後押しする重要な要素のひとつなのです。
少額な商品を送料無料でお届けすることで売上げを伸ばしている店舗が利用している配送方法のひとつにクロネコヤマトメール便がありました。
通常82円/1件以下という低料金で利用でき、送料無料にしても利益を出すことができるありがたいサービスでした。
しかし、ヤマト運輸はこのクロネコヤマトメール便を廃止し2015年4月1日より、
小さな荷物を専用BOXで送る「宅急便コンパクト」
料金:通常594円(税込)+専用BOX代65円(税込)~
小さな荷物をポストにお届け「ネコポス」
料金:発送数に応じて決定
カタログやパンフレットを送る「クロネコDM便」
料金:発送数に応じてだが、上限は164円
という新しいサービスを開始します。
メール便で送ることが許されていない「信書を送ってしまうリスク回避」を理由に廃止されるものですが、3つの新しいサービスからみて、明らかにEC運営店舗向けサービス料金の値上げを意図したものです。
メール便を利用していた店舗にとっては、新しいサービスの料金では利益を減少させる大きな問題です。
解決策として郵政(ゆうメール、ゆうパケット)など他の代替配送サービスを検討するのもひとつの方法ですが、配送料設定を見直すのが適策と思います。
楽天市場、Yahoo!ショピング、Amazonなどでヤマト運輸の新サービスを含めた複数の配送方法を用意したとしても、商品毎に利用する配送方法を指定することはできません。
従来の「メール便」で配送する場合は、商品そのものを送料無料とし、店舗側で配送方法を決定するのであればいいのですが、新しい「小さな荷物」の配送サービスを利用する場合で送料を有料とする場合は注意が必要です。
楽天市場、Yahoo!ショピング、Amazonそれぞれの配送料設定方法について具体的な方法を説明します。配送方法設定を理解し、かしこく店舗運営に役立ててください。
楽天市場
複数の配送方法を設定しそれぞれに送料を設定できますが、商品毎に配送方法を指定することができません。商品毎に配送方法を店舗で指定するには以下の方法で設定します。
- 「基本情報設定」−「配送方法」で「その他配送方法1」を編集
- 「その他配送方法1」−「送料設定」−「送料区分1」を登録編集 (例)宅配便、クール便、宅急便コンパクト
- 「料金入力」で送料区分1それぞれの送料を登録編集
- 商品基本情報の送料区分1に「宅急便コンパクト」を設定
※複数の配送方法は設定しません。
※「宅急便コンパクト」を設定した商品を注文すると「料金入力」で登録した送料が適用になります。
Yahoo!ショピング
- 「ストア構築」−「基本設定」−「配送方法、送料設定」で設定
- 「複合条件合算モード」で設定 ⑴都道府県別[送料表]で通常の送料を設定 ⑵都道府県×サイズ/重さ別[送料表]で送料減額、送料加算を設定 例)重量0~0円、重量1~-300円、重量100~+300円
- 「商品ページ編集」−「販売用情報」−「送料、その他」−「重量」を設定 例)通常送料500円で重量1を設定するとその商品の送料は200円となる
※複数の配送方法は設定しません。
Amazon
- 「設定」−「配送設定」−「購入金額制で設定した配送料」で送料設定
- 商品別に配送地域(13地域)毎の配送料を設定する配送料上書きファイルを作成
- 「在庫」−「アップロードによる一括商品登録」で配送料上書きファイルをアップロード
購入者が配送方法を選択指定するのではなく、商品毎に送料を設定しておくことで、ヤマト運輸の「小さな荷物」配達を対象とした複数の新サービスをかしこく利用できるものと思います。
JECCICA特別講師 松橋 正一
楽天、ヤフー、amazon、自社サイトなどECサイトの運営経験を基に、数々のショップを構築サポート。大規模ECサイトの効率的な構築、データ処理システム構築を得意とする。