楽しく誰にも分かるマーケティング：Vol㉛「心トキメク」永遠のＪＪガールたち、ＡＢＳ世代女子とは？

華やかな元祖ＪＪガールは、今どうしている？
私（鈴木）が昨年提唱したＡＢＳ世代は、「ＪＪガールとＰＯＰＥＹＥ少年その後とは？」がキャッチフレーズです。雑誌ＪＪは1975年創刊、ＰＯＰＥＹＥは1976年の創刊。それを切っ掛けに若者たちがお洒落をして、独自の若者カルチャーが形成され、やがてバブルがやってくるのです。

そんな華やかな青春時代をおくった元祖ＪＪガールであるＡＢＳ世代の「女性の今」を、株式会社ハルメクホールディングス、生きかた上手研究所、所長の梅津順江さんと対談し、インサイトを明らかにしてみました。

ハルメクは、販売部数３２万部の雑誌「ハルメク」出版をはじめ、通信販売、旅行や講座など、５０代以上の女性に「本当に価値あるもの」を提供する事業を行い、その中で、生きかた上手研究所は、インタビューや取材、ワークショップを実施しています。

若い頃に受けた影響が大きいＡＢＳ世代の価値感
梅津さんは、年代別の生活や価値観の比較を行ったところ、５０代女性のライフステージは、親の介護が始まっている方から、まだ子育てでお金がかかる方、あるいは仕事をしている方とさまざまですが、多くの方は合理的に物事を考え、時間もうまく使い、隙間時間で好きなコトに投資している「欲張りな女性」だといいます。物や時間に対する欲求も上の世代と比較して強いため、「マルチタスク」な生活を送っているそうです。

消費傾向は、「応援消費」がキーワード。少し上の世代はテレビの中の人を応援することが一般的ですが、５０代はファンミーティングに参加したり、ＳＮＳで人と繋がったり、リアルに距離を縮めて、「誰かの役に立っている、貢献している」という承認欲求を満たす消費行動があります。５０代は自分を自由に生かし、「自分から発信したい、自分で新しいことを始めたい」という自立志向が多いのが特徴です。

「配偶者に対する満足度」は2年前と比べると、男性の満足度は上がっているのに対して、女性は不満度が高まっています。同じ空間にいるだけでイライラするという人も多い中、離婚に踏みきることはせず、実際に熟年離婚率は下がっています。やはり「お金の不安」が上の世代より大きく、夫婦関係も「合理的」に考えている傾向があります。

また「ファザコン」で、父親の面倒をみたい女性が多いことも特徴。昭和一桁生まれの父親に威厳があったのに比べ、それ以降に生まれた父親は子供に甘く、高度経済成長期に愛された証がうかがい知れます。

ＡＢＳ世代女性は、「こういう人になりたい」という具体的イメージがあるのが特徴で、ハルメクでは、女子大生時代に雑誌ＪＪモデルだった黒田知永子さんを起用することもあります。当時「ワンランク上」を目指す嗜好は、都市部に限らず全国的にあり、こうした若い頃のライフスタイルで得た体験が、今でも大きな影響を与えています。

「ワクワク」を感じさせるところにビジネスチャンスあり！
梅津さんは、この世代は総じて「今はすごく楽しいが、今後が不安」という人が多いといいます。私がＡＢＳ世代は刹那的と表現した傾向と同じですが、「不の字」があるところには必ずビジネスがあります。

「不安解消」「ニーズを満たす」ことは、ライフシフト時代のビジネスチャンスです。何歳になっても得られる「ワクワク感」は、ハッピーホルモンと言われるセロトニンやオキシトシンの効果で、健康寿命が延伸することは、ジェロントロジー学でも科学的に論証されています。

「ワクワク年齢を重ねる」ためのモノ・コトの提案や、自身の強みで対価を得るワークスタイルの啓蒙発信など、ライフシフト時代には非常に大切です。感性と行動力、そして承認欲求が強い「女性」こそ、これからをリードするのではないかと私は思います。

子供の頃に少女漫画を読んだり、若い頃にめいっぱいお洒落をして遊んだ世代は、幾つになっても「トキメク女子」であり、私の周囲のＡＢＳ世代女子も、本当に明るく前向きな方が多いと感じています。

■ＡＢＳ世代　昭和３０（１９５５）年から４３（６８）年生まれで現在５１歳から６５歳の、若者時代にバブルを謳歌した世代。

えとき
ＡＢＳ世代女子のトキメキニーズが時代をリードする！