JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

透明化法について知る(第2回)

透明化法 は、特定のECモール(amazon.co.jp、楽天市場、Yahoo!ショッピング)を利用して商品を販売する事業者(以下「事業者」といいます。)とECモール提供者(アマゾン、楽天、ヤフー)との取引関係(出店契約など)を、より透明で公正なものにするために、ECモール提供者に一定の義務を課している法律です。
本コラムでは、読者の皆さまのビジネスに関係する透明化法について、わかりやすくQ&A形式で解説させていただきます。今回は、第2回として、ECモール提供者が事業者等に対して行う情報の開示について、よくある質問を交えてご説明します。
(過去のテーマ…第1回:透明化法について知るメリット・透明化法が規律している対象)

Q 透明化法があることで、ECモール提供者(アマゾン、楽天、ヤフー)が、事業者にどのような情報を開示してくれるのですか?

A 透明化法に基づき、ECモール提供者(アマゾン、楽天、ヤフー)は、(1)「提供条件」の開示に関する義務、そして、(2)特定の行為を行う場合の通知に関する義務を負っています。今回は、(1)「提供条件」の開示についてご説明します。

Q 「提供条件」の開示に関する義務は、具体的にはどのような内容ですか?そもそも「提供条件」とは何ですか?

A 「提供条件」は、透明化法上の表現であり、ECモール提供者(アマゾン、楽天、ヤフー)が事業者にECモールを提供する場合の条件を指します。事業者から見れば、ECモールの利用条件と言った方がイメージしやすいでしょう。
①ECモール提供者は、「提供条件」を開示する場合、明確かつ平易な表現で、事業者(ECモールを利用中の者に限らず、利用開始前の者も含みます。)に開示し、いつでも容易に参照できるようにしなければなりません。
②また、ECモール提供者は、「提供条件」として、以下の事項を事業者に開示しなければなりません。これにより、事業者にとってビジネスを行う上での予見可能性が高まるとともに、ECモール提供者による優越的地位の濫用等が生じにくい環境となることが期待されています。なお、透明化法は、例えば、“事業者の商品の売上額の推移等のデータを自社の商品の販売のために使用してはならない”、“関係会社を優遇してはならない”、といった提供条件に関する禁止事項を定めてはいません。その代わりに、一定の場合には理由等を開示させるというかたちで、取引の透明化を図っています。

特定デジタルプラネットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(2021年2月1日施行)を目指します。詳細は経済産業省のウェブページ(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digitalplatform/index.html)をご参照ください。

◇取引を拒絶することがある場合は、その判断基準(例:退店事由、出品に係る審査基準、取り扱い禁止商品)
◇ECモールの提供に併せて(別の)商品・サービスを有償で受け入れるよう要請する場合は、その内容・理由
◇商品の検索順位の決定に用いられる主要な事項(金銭の支払が順位に影響を及ぼす可能性がある場合はその旨を含む)
◇ECモール提供者が事業者の商品の売上額の推移等のデータを取得・使用する場合は、そのデータの内容、取得・使用に関する条件
◇事業者が上記データを取得または他者に提供することの可否、可能な場合はそのデータの内容、取得・提供に関する方法・条件
◇事業者から苦情の申出または協議の申入れをするための方法
◇事業者の商品の提供に係る条件(例:価格、送料)について、他の提供経路における条件と同等または有利なものにするよう求める場合は、その内容・理由
◇事業者の商品の提供に係る条件(例:決済手段)が、ECモール提供者の商品の提供に係る条件と異なる場合は、その内容・理由
◇ECモール提供者の関係会社に対する提供条件が、それ以外の事業者に対する提供条件と異なる場合は、その内容・理由
◇事業者が提供した商品の返品等を事業者の負担において行う場合は、その内容・条件
◇事業者に対し、売上金の支払を留保する場合は、その内容・条件

Q 上記「提供条件」の内容に関心があります。開示情報はどこを見れば確認できますか?

A アマゾンは「Amazonサービスビジネスソリューション契約」等、楽天は「出店案内」等、ヤフーは「ショッピングストア利用約款」、「透明性向上のための取組みのご紹介」等において、提供条件を開示しています。開示状況は各社が経済産業省に提出した報告書の抜粋(※1)等でご確認いただけます。また、上記各項目に対応する情報の所在については、経済産業省が作成した資料(※2)においても整理されていますので、こちらも参考になります。

(※1)2023年度第2回 デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合 資料3-1、資料3-2、資料3-3
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_platform_monitoring/2023_002.html

(※2)2023年8月18日「第2回デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合(2023年度)事務局提出資料①【総合物販オンラインモール・アプリストア分野】」8頁・9頁
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_platform_monitoring/pdf/2023_002_01_01.pdf

JECCICA客員講師

弁護士 角田 美咲

長島・大野・常松法律事務所
2018年弁護士登録。企業のコンプライアンスや不祥事への対応を行っている。
経済産業省で透明化法の運用を担当(2021年4月~2022年12月)。


 - JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2024 All Rights Reserved.s