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変わった使い道に商機あり

街の店の考え方に変化を促す
今まで慣れ親しんできたものが、コロナ禍ということもあり、思い切って役目を変えてみようという動きも見られ、最近は「これまでとは違った使い道」が見られるようになってきている。

例えば、ガソリンを補充する「サービスステーション(SS)」。ENEOSやエニキャリなどが共同で先日、ロボ宅配に関しての記者会見を行って、SSにおける今までとは違う使い道を話していた。

最初に、この仕組みを説明しておくと、「エニキャリ」はデリバリーのインフラを構築しており、近隣のお店の商品を、欲しいと思うお客様に届ける仕組み。例えば、飲食店で作る料理などを、彼らは自転車などを使って30分で届けるわけだ。

Uber Eatsに似ているようではあるけど、彼らが意図しているのは「届ける」ことではなく、「近隣のお店に新しい価値をもたらす」というところにある。飲食店は、今までは食べにきてもらうことを前提に商売していたけど、飲食店側がお客様に働きかけて、加工品を届けたり、新しいビジネスチャンスを模索してもらうことが原点にある。

配送のインフラが進化し変わる役目
そこで大事になるのは、配送のインフラ。だから彼らにとって「配送」は今以上に飲食店にとっては生産性が高く、また利用者には利便性のあるものにならなきゃいけない。

一方で、ENEOSは、宅配ロボを開発しているZMPと提携していて、自らのサービスステーションを、宅配ロボを充電させる中継拠点として、活用しようと模索している最中。そこで、企業とお客様の情報が蓄積されている「エニキャリ」のプラットフォームがあれば、それらが結びついて、稼働するための土台ができるから、両社は必然的に引き寄せられることになる。

それゆえ、そうやって配送が人々に当然のインフラになれば、シームレスになり、本格的に店はその役目の転換を余儀なくされる。これは、「販売」「受注」「配送」のあり方を覆すだろうし、SSに止まらず、街のお店の価値観すらも変えるに違いない。

「新幹線」を物流手段にすることで違う価値を
他では、先日、ジェイアール東日本物流が「JR東日本のくらしお届けサービス」をアピールしていて、ここで提案していたのは「新幹線を使った物流」である。新幹線の売りは「速さ」であって例えば朝、仙台で取れたものを新幹線に乗せて運び、その日のうちに東京などのお店に販売できるわけである。

それでいうと、今までは痛みやすいので販売できなかったような貴重な生鮮食品なども地元という枠を超えて、更に地元以上の付加価値を持って販売できるチャンスができるわけである。

食品を扱うお店の方が話していたが、自らの商品がどこよりも速く行き渡るための圧倒的な付加価値が新幹線にあるので、それが日本中に張り巡らされていることは、人の移動以上に、地方を救う観点で意味があるのではないかと話していた。

また、ジェイアール東日本物流は「車内販売が縮小しているのを受けて、カートスペースが小さくなっているんです。その隙間が生まれたことで、この物流のための商品に当て、有効活用しようと考えています」と話していて、発想の転換の重要さを思う。

新幹線が速くなるほどに、車内販売の必要性が減り、生まれたスペースにより、物流機能が強化されて、それにより速くなったことのメリットを行かせるというわけである。

千趣会との連携、駅そばサブスク化等JRの転換
思えば、JR東日本の本体も、新たに「Beyond Stations構想」を掲げていた。2021年春以降、東京駅にOMO(Online Merges with Offline:要はオンラインとオフラインの融合)に対応したベルメゾンの新業態を出店したり、通勤定期券を持つお客様に、一部の駅でコーヒー・駅そばをサブスクリプションないしは割引でトライアルで提供することを明らかにしているのだ。

同じ区間の電車を乗り続ける「定期」に変わる発想だ。

ふと以前、ジェイアール東日本企画の駅消費研究センター松本阿礼さんに「コロナの影響で何が変わったのか」について話をしたことを思い出した。

同センターにおける最初の緊急事態宣言後の調査で、「家を軸にした働き方になって、買い物も変化したこと」を明らかにしていて、8割が「自宅周辺で買い物・消費するようになった」、7割弱が「日々の通勤動線上での買い物・消費が減った」と回答したことを挙げていた。駅もそこに備えて、転換しなければいけなくなっている。

駅という場所を消費者ではなく、企業に提供する発想
さらに印象的だったのは、松本さんが「これまでは鉄道会社がターミナル駅を軸に、商品を売るなど、BtoC向けを意識したサービスを提供していた。けれど、郊外も視野に入れてBtoBを考えるべきなのかもしれない」と話していたことだ。

遠くまで時間かけて、会社に行くくらいなら、家の近くの駅のシェアオフィスをつかえればいい。消費者に食べてもらうために駅に飲食店に入ってもらわなくても、駅は料理を作れる拠点だけ提供して、近隣の家に届けられるスペースにしたっていい。

対象を消費者ではなく、企業に向けてみては、という発想でなるほどと思った。

その意味で人の動きが変わって考え方も価値観も変わるなかで、企業はいかに柔軟に「これまでとは違った使い道」を考えられるかが問われているのではないかと思う。固定概念に邪魔されず、あなた自身がその違った使い道が考えられるか、そこにかかっている。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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