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通販サイトにおける新たな方程式の必要性

これまで通販サイトにおいては、「集客数 × 転換率 × 客単価」の方程式が繁盛の鍵とされてきました。しかし、時代の変化に伴い、新たな方程式が求められる時代に突入しています。これから数か月にわたり、その新方程式についてお話ししていきます。今回は、なぜこの新方程式が必要とされるのか、その背景についてご説明します。

1.社会構造の変化
日本の社会構造はここ数十年で大きな転換点を迎えました。それは、長年続いてきた人口増加の時代が終わりを告げ、2015年の国勢調査を境に減少期へと突入したことです。この人口減少は、日常生活だけではなく、ビジネスのあり方にも多大な影響を及ぼし、特にEC業界ではこれまで当たり前とされていた「集客中心」の戦略の継続が難しくなってきています。

かつて、多くの顧客を集めて売上を狙う手法は、増加する人口と少ない競争環境の中で有効に機能しました。しかし、現在ではその前提条件が崩れています。人口の減少により消費者そのものの数が減り、競争が激化しました。さらに、情報が溢れる現代では、消費者の注意を引くことがますます難しくなり、集客コストが年々上昇しています。広告を活用した集客は短期的な売上にはつながるものの、増加するコストが利益を圧迫し、「一度きりの顧客」ではビジネスの持続が困難になる現実に直面しています。

また、消費者が減少するだけでなく、企業側でも労働力不足が顕著です。それに対応する為、ここ数年で急速に発展したAIの活用による効率化が進む一方で、通販サイトの「ファンづくり」においては人的なアプローチが求められる場面が多く、注力すべきコア業務と外注で良いノンコア業務の見直しが不可欠となっています。

2.アナログ回帰の流れ
加えて、スマートフォンの普及によって、現代の消費者は日々膨大な情報にさらされています。スマートフォンを通じた情報量の増加により、選択肢が多すぎて混乱を招き、「情報の希薄化」が進行しています。

このような中で注目されているのが、「アナログ回帰」という現象です。デジタルネイティブと呼ばれる若い世代を中心に、効率性や合理性ではなく、「体験や感情に価値を感じる消費」や「親しみや温かさを感じる人肌感覚」が重視されるようになりました。この傾向は、オンラインだけで完結する便利さを超え、EC業界にも新たな視点を求めています。消費者との「感情的なつながり」を構築し、心に残る体験を提供することが重要となってきたのです。

たとえば、通販サイトでも、単なる商品の販売ではなく、ストーリー性を感じさせる商品説明や、購入者への丁寧なフォローアップがリピートを促す鍵となるでしょう。

3.新方程式
こうした社会的背景を踏まえ、EC業界に求められるのは、「顧客数 × 来店回数」という新たな方程式です。この方程式では、「多くの新規顧客を獲得する」ことではなく、「既存顧客に何度も足を運んでもらう」ことが重視されます。

既存顧客との関係性を深め、来店頻度を上げることで、長期的に安定した収益が見込めます。また、このアプローチは人口減少や情報過多といった現代の課題にも対応可能です。良質な顧客との関係を築き、それを維持するための工夫こそが、これからの通販ビジネスを成功に導く鍵となるでしょう。

また、情報の発展で誰でも同じようなことが簡単にできるようになったことで、モノゴトが余る(似た同じようなモノや店が世の中に増えた)ようになり、同時に原料や資材不足、輸送問題などで、手に入りにくいというシーンも増えました。これは商品ではなく、お店のファンを付けられる自社ECにとっては追い風であり、この方程式を活かすことができる環境なのです。

次回は、この新方程式を具体的にどのように活用していくのか、その中身について詳しくお話しします。顧客数と一概に言ってもただ増やせば良いのではなく、誰と向き合うのか、、などポイントをお話しさせていただきます!

JECCICA理事・講師 豊島 恵太

EC得意分野/食品通販支援
大学卒業後、照明メーカーを起業。2013年、株式会社Eストアー入社。サポート、セールス、コンサルタントを経験し、現在は企画設計室のマネージャーとしてECの未来を作る活動
を行う。


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