ソーシャルコマースとインフルエンサーマーケティング
Instagram、Facebook、TikTok、Pinterestなどソーシャルメディアを通じた世界におけるソーシャルコマースの売上は、グラフにあるとおり、今年には7,500億ドルを超え、今後もCAGR28.4パーセントでの増加により、2028年には3兆3,700億ドルまでに成長するだろうと予想されています。
このようなソーシャルコマースの継続的な成長は、より多くのスポンサーシップの機会を開くと考えられます。二番目のグラフは、アメリカにおけるインフルエンサーマーケティングの支出およびその変化率を示したものですが、こちらも年々増加傾向にあります。2021年は前年に比べて特に支出が大きく増加していますが、これは、パンデミック初期に多くのマーケターがインフルエンサーマーケティングキャンペーンを一時的に停止し、その一方でパンデミックがTikTokなどショートビデオやソーシャルコマースを含む多くの新しいクリエイター主導のソーシャルトレンドを加速させたことにより、マーケターがインフルエンサーマーケティングキャンペーンをすぐに再開したことによると考えられます。
ところで、ブランドのインフルエンサーマーケティングを支えるテクノロジーとして、インフルエンサーマーケティングプラットフォームがあります。これは、ブランドや代理店に、巧妙なアルゴリズムを使用した潜在的インフルエンサーの検索ツール、インフルエンサーとの関係管理、キャンペーン管理、インフルエンサーマーケットプレイス、サードパーティの分析、インフルエンサーコンテンツ支援など豊富な機能を提供しています。有名なところとして、AIを活用したインフルエンサー分析など、Eコマースブランド向けに特別に設計された唯一のインフルエンサー管理プラットフォームを提供するGrinなどがあります。Grinは、インフルエンサー管理ワークフローを、ShopifyやMagentoなどEコマースプラットフォームとシームレスに統合できるようになっています。
ところで、インフルエンサーマーケティングが一般的になるにつれて、ブランドは需要と販売目標を満たすために、より多くの小さなインフルエンサー(ナノあるいはマイクロインフルエンサー)も無視することはできません。消費者の観点では、この小さなインフルエンサーを自分に近い人々あるいは自分のような人々とみなすことが多く、レコメンデーションに基づき、信頼し、行動を起こす可能性がより高くなります。
また、2021年6月のHypeAuditorのデータによりますと、フォロワーが1,000~10,000人のインフルエンサーの70.7パーセントはInstagramの投稿ごとに最大100ドルを、フォロワーが100万人を超えるインフルエンサーの76.9パーセントは1,000ドル以上を請求していることから、ブランドにとっても小さなインフルエンサーは、費用を抑えることができより多くの利益をもたらすとも考えられます。
JECCICA客員講師 渡辺泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。