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趣味嗜好で行動を触発し人を知る?SHIBUYA TSUTAYAの挑戦

渋谷だからこそのBtoCtoB
購買行動より、購買以外の行動をいかに生み出せるか。その大切さを、SHIBUYA TSUTAYAのプレス内覧会にいき、思いました。この拠点はスクランブル交差点の目の前の一等地。

一部、書店はありましたが、上から下までレンタルCD、DVDの棚で埋め尽くされていたわけです。それが装いも新たに、まるで作り替えられました。この内覧会に先駆けて、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の代表取締役 髙橋誉則さんは、この拠点でBtoCtoBを実現させると説明していました。

これは彼らの既存事業を発展させた考え方でもあり、実験的な取り組みだと思いました。分かりやすいのは3階と4階で既存事業である「シェアラウンジ」を展開していることです。

ご存知の方もいると思いますが、滞在時間、1時間で1650円の費用がかかるというものです。全国各地に広がっていて、場所にとらわれない働き方をサポートする。この付加価値を上げるために、書店やスターバックスを併設しているわけです。

IPに寄せた中身
ただ、このSHIBUYA TSUTAYA自体はIPに振り切っている。上下階にコンテンツの賑わいを彩るフロアを設けていて、例えば6階は「IP書店」といい、アニメなどのコンテンツに限って、書籍や雑貨を集めています。
だから、それに連動する形で、3階の「シェアラウンジ」には6階で陳列されているようなフィギュアが並んでいます。対象も社会人に限らないことを想定してか、用意されている飲食もカジュアル。チキンライスの冷凍食品もあり、もはやカフェの代替えです。カフェ難民の多い渋谷には確かに需要はあり、これまでとは違った使い道です。

また、地下2階にはアイドル・タレントを軸にしたボードや関連グッズが並んでいます。

それらのコンテンツを活用してイベント開催するために使うのが、1階のフロア。先日も休日にSHIBUYA TSUTAYA限定のフライヤーが貰えるアイドルの限定グッズが販売され、行列で埋まっていました。

時に、そこはミュージアム並みに空間ができており、ただ看板などが置かれているだけ。渋谷の一等地にしては贅沢な設計ですが、記者会見も行うなど、臨機応変に活用するといいます。

つまり、彼らが主戦場とするBtoC事業でやっていることが、そのままBtoB事業につながる。それまではできなかったことを、IPとこの渋谷という文化を持った街を使って設計しているわけです。

答えはないけど、答えを求めて踏み出さないと未来はない
とはいえ、答えはない。だから、そのコンセプトはブレることなく、定着するまで試行錯誤は続くでしょう。はたから見れば「閑散としている」など思う人もいるでしょう。断言できませんが、その考えこそが過去の固定概念にとらわれているのかもしれません。

もう坪効率などと言って、そのスペースに「売れる商品を敷き詰められるか」というリアルの常識が通用しなくなっていることを、示す事象ではないかと思います。いまや、ネット販売も消費の大動脈となり、その性質も進化しているから、リアルも業態を変えていかないと残っていけないということ。

同時に思ったのは、いかに「継続的な利用を作り出せるか」が大事だということ。それは2階に「スターバックス」が入っていて、その関係者の方に聞いて思ったのです。

スクランブル交差点の目の前に位置し、それを一望できるという設計を全面に押し出しています。ただ、その回転率の高さから、無理に席を敷き詰めていません。代わりに、シンボルカラー「グリーン」をベースに、リボンが張り巡らされ、多くの人と人とを結びつけるという考えを打ち出す独自の内装。

こうしているのも 「継続的な利用につながるから」というのです。そういうコンセプトを示しているから、関心を持った人の受け皿として、同所限定の商品も用意している、何もそれで儲けようというのではなく、その思い出の品が、次にまたこの場所を訪問してくれる販促の要因となれば、それで良い。

購買以外をいかに吸収できるかがリアルの使命なのかも
そして、このSHIBUYA TSUTAYAでは全館キャッシュレスでの対応となっています。集まるデータはデジタルを通してゆえに、回遊した情報が活かされれば、単純に購買行動だけではなく、顧客の深掘りにもつながりそうな予感もします。

思うに、リアルの拠点はそうやって、人々の行動を購買以外で触発することにあるのかもしれません。それこそが、ネットにもできない、その人となりを浮かびあがらせ、新しいマネタイズを模索できるからです。そのような未来も予感させられました。

だから、事業者においては、ただ売るだけで満足していてはいけないのでしょう。難しい時代に入るとともに、お客様とより深い関係性を築く、人と人の本来あるべき時代に入ったような気もしています。

試行錯誤は続くでしょうが、温かい目でその挑戦を見守りたいです。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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