【ECコンサルタントによる「勝手にECサイト分析」】48 ジャパンEコマースコンサルタント協会 笹本克特別講師〈水野商品館「Handle」〉/「買ったけど使わない」を避ける工夫
「Handle」は福井市の水野商品館が運営している。ネットショップは08年からスタート。
現在の販売商品の主体はヨーロッパを中心としたアンティーク家具と、照明や雑貨類であり、売り上げにおけるネットの比率も非常に高い。
ここだけを見れば先端を行くEC企業のように見えるが、家具屋としての創業は1903年。長い歴史を持つ企業でもある。
同社は「アンティークといえども、使ってこそ家具」というコンセプトを打ち出しており、これが多くのお客さまの支持を得ている。
一見、安易に見えるコンセプトだが、実際に具現化するとなると、大変な知識と経験、そして相当の経営努力が必要となる。
アンティーク家具のほとんどは代替品のない「一点もの」であり、材質や形状は多岐に渡る。
また当然ながら、長い年月が経っている品物である。同社はこれを「使える」状態でお客さまに提供するために、全ての商品に対してクリーニングやメンテナンスをした状態で販売している。
例えばQ&Aには、「特に木製の細い線の椅子は乾燥によるぐらつきが出やすいので、最近のマンションや高気密断熱住宅などでお使いいただく場合は、極度の乾燥にお気を付け下さい。
なおぐらつきが出た場合には、再度組み直しを行いますのでご連絡下さい」という旨の記載がある。
「使ってこそ家具」という言葉の重みと、長年にわたって蓄積した知識と経験をうかがい知ることができる。
お客さまのコーディネート事例集や、同一の家具をさまざまなテイストの空間に置いた場合の事例集など、お客さまの部屋のイメージ作りのためのコンテンツを充実させている。これも、買ったけど部屋には合わず結局使われないということを避けるためだ。
簡単に見えるが、同社は「使っていただく」コンテンツのために、事務所スペースの数倍にも及ぶ「さまざまなテイスト」の空間を自社ビル内に所持しているのである。言うは易し、行うは難し。リアルの経験とコンセプトはネットでも輝く。
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JECCICA特別講師 笹本 克
自治体・関連団体にもEC関連の講演や講師を務め、DeNA、Yahoo!Japanショッピング事業部へのレクチャー、ドリームゲート起業講座の他、コンサルサイトの累計約600社、多業種でのコンサル実績も豊富。