サイトやショップの認知・理解・納得そしてそのあとは?
JECCICA客員講師 和田 務
今回はまず顧客の購買行動に関してのお話を始めたいと思います。
サイトやショップを運営する際にお客様の購買行動を考えることがよくあります。
いわゆる『AIDMA』や『AISAS』といった購買行動プロセスの話です。
現在はソーシャルマーケティングなどもとても盛んで『AIDMA』や『AISAS』のプロセスの考え方は少し古く感じられるかもしれませんが基本的な考え方を振り返ることはとても大切だと思います。
しかし私の考える購買行動プロセスはもっとシンプルです。
それは認知・理解・納得です。
▪︎認知(Recognition)
存在を認識しているレベルで、あることはわかってもらえています。
▪︎理解(Understanding)
内容を理解し受け入れてもらってはいますが、まだ購入には至りません。
▪︎納得(Consent)
商品・サービスの内容を受け入れ了承・合意している状態です。
この状態でやっと購入に至ります。
では、認知・理解・納得の次に来るのは何でしょうか。
私は感動と位置づけています。
認知・理解・納得、そして感動です。
ここでいう感動はExcitementやDeep emotionではなくDelightです。
喜びとか歓喜の状態です。
この状態でお客様はリピート購入をし、ファン化し、場合によっては情報発信が期待できるようになります。
商品やサービスをお客様に提供するということは、単に利用していただくということだけではなく、最終的にその商品やサービスを通じて喜びを感じていただくことだと思っています。
私の考えるシンプルな購買行動プロセスは、RUC&D(ラックアンドディー)です。
先に結論を書いてしまいましたが、せっかくですから過去の優秀な購買行動プロセスも復習しておきましょう。
AIDMAの法則
まずはAIDMAです。
AIDMA(アイドマ)とは1920年代にアメリカ合衆国の販売・広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールという方が著作の中で示した広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示した略語です。
AIDMAの法則では消費者がある商品を知って購入に至るまでに次のような段階があるとされています。
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動)
このうちAttentionを「認知段階」、Interest、Desire、Memoryを「感情段階」、Actionを「行動段階」と区別しています。
1920年代という今から100年近くも前にここまで研究されていたのは今さらながらに驚きです。
基本的な考え方としては現在でも何ら否定するものはないと思います。
AIDMAからAISASへ
ECなどネットでの購買行動のプロセスモデルとしてAIDMAに対比されるものとして日本の広告代理店の電通等によりAISAS(アイサス)というモデルが提唱されました。
電通が2005年6月に商標として登録されています。(商標登録番号第4874525号)
AISASのプロセスは以下のとおりです。
- Attention(注意)
- Interest(関心)
- Search(検索)
- Action(行動、購入)
- Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)
検索や共有というネット特有のキーワードが入ってきていますね。
こちらも今から10年以上も前に商標登録されているわけです。
内容としてはいまでも充分通用する考え方だと思います。
なぜ購買行動のプロセスを把握する必要があるのか
当たり前のことなのですが、お客様がいまどのプロセスにいるのかを把握しそれに合った施策をうつためです。
または、なかなか次のプロセスに行かない理由を分析し商品・売り方・サービスレベルを見直したり、広告も含めたコミュニケーション戦略を見直す必要があるのかもしれません。
そこでよりシンプルに施策を考えるために、認知・理解・納得、そして感動となるわけです。
認知していただくためには知っていただく努力をしなくてはなりません。
理解していただくためには説明したり競合比較したり試しに使っていただいたり…。
納得していただかないと買っていただけませんからそのためには…。
そして最終的には感動していただくというわけです。
しかし大切なことは施策をうつことが目的ではありません。
目的とは実現する事柄、または実現された姿です。
目的を達成するために目標があります。
目標は目的を達成するためのプロセスまたはステップであり、目的を達成するための道筋や行動の指針です。
そしてその目標を達成するために行う具体的な行動・アクションが施策です。
目的はある程度は概念的なものである場合もありますが、目標、施策となるにつれより具体的である必要があります。
今回のひとこと
今、みなさんの提供している商品やサービスがどのプロセスにいるのか。
それを把握し分析し施策をうちましょう。
いきなり計画書を書いてはいけません。
計画は施策を実行するためのスケジュール、アクションプランです。
まずは目的を設定し、それを達成するための目標、施策を作りましょう。
そしてその次が実行計画書の作成です。
『私たちが商品やサービスを提供するのは最終的にお客様に喜んでいたくためなのです。』
JESSICA NEWS Vol.34 掲載
JECCICA客員講師 和田 務
株式会社シーズファクト代表取締役社長。クライアントサイドに立ったITコンサルティングをECに限らず幅広い視点から行い、企画から運用まで全てのフェーズでのプロジェクト支援が可能。