カートに商品を入れたのに購入完了しないお客様のキモチ
ミューズコー株式会社
サービス企画本部 プロモーショングループ部長 小野 雅之
カートに商品を入れたのに購入完了しないお客様のEコマースサイトで、カートに商品を入れたのに、購入完了にいたらずサイトを離脱してしまうことを、業界用語で「カゴ落ち」と言います。
「カゴ落ち」が発生する要因は様々ですが、今日は私がこれまでEコマースサイト運営に携わってきた中で、ちょっと意外に思ってしまった「カゴ落ちするお客様のキモチ」をいくつか紹介します。
①予期していなかった費用が提示され「高い」と感じた
商品をじっくり吟味して「よし買おう!」とカートに入れたものの、購入手続きに進み、そこで初めて送料が発生することに気が付いたお客様の中には、商品代金以外に費用がかかることに対して「え!高い!」と感じて購入をためらってしまう方がいらっしゃるようです。
理想的なのは、もちろん最初から送料などの費用を含めた商品価格で販売すること。
その場合は、送料無料を分かりやすくアピールしておくと、お客様を安心させるだけでなく、購買意欲を促進する効果もあります。
もし送料が有料であっても、事前に送料が必要になるこを伝え、購入手続き時に「想定外の費用が発生した」と感じる人を減らせるようにしたいですね。
②「購入手続きが面倒だ」と感じた
初めてこの意見を聞いた時には、「そんな理由で買い物を諦めてしまう人もいるのか」と驚きを感じてしまいましたが、その後、オンラインショッピングの利用者に直にインタビューをする機会を重ねていくと、結構な割合でこの意見を聞くことがありました。
ここでポイントになるのは、実際に手続き(必要情報の入力)をする前の段階で、面倒くさいと感じて離脱してしまう人がいるということです。
購入完了までの手続きをできるだけ簡単にし、「完了までに何の作業が必要なのか」、「あとどれくらいで終わるのか」を分かりやすく表現することはもちろんのこと、購入手続きが「難しくなさそう」、「手間がかからなそう」といった印象をお客様に与えることも必要なのです。
③「クレジットカード情報を登録するのが面倒だ」と感じた
クレジットカードを持っているけど、オンラインショッピングで使わないという人は、情報漏洩による不正利用の心配よりも、実はこちらの面倒くさいからという理由の人も結構いるのでは、と私は考えています。
対応としては、代引き、コンビニ払いなどクレジットカード払い以外の決済手段を提供する。
さらに、携帯キャリア決済や楽天ID決済などの選択肢もあると良いでしょう。
ただし、複数の決済手段を提供するときには、その複数の選択肢の羅列が「複雑感」を醸し出さないようにする注意してください。
あくまでも「難しくなさそう」、「面倒くさくなさそう」な印象を与えることが肝心です。
実に難しく、面倒くさいですね。笑
ところで、実は私は「Eコマースサイトで送料も代引き手数料も発生するのは当たり前。会員登録やクレジットカード登録をしないと買い物が不便だ。」という考えを持っています。
だからこそ、前述の意見を初めて聞いたときに意外だと感じたのです。
しかし、視点を変えて考えてみれば、日常生活のリアル店舗での買い物において、会員情報やクレジットカード情報の記入を求められることはまれであり、もし要求されたら面倒くささを感じてしまいます。
レストランで食事をして、予期していないサービス料が追加されることに気がついたら、「え!高い!」と感じることもあるでしょう。
ですので、オンラインショッピングをするお客様が、このようなキモチを感じて買い物をやめてしまうことは、珍しいことではないのです。
サービスを提供している側にいる期間が長いと、いつのまにか提供側の理論、都合でサービスを考え、提供するようになっていることがあります。
特にWEBサービスは対面での接客ではないため、お客様の直の意見を聞くことが少なく、データだけで判断しがちなのでなおさらです。
もちろん、WEBサービスの改善、向上を行うには、客観的なデータによる分析が不可欠です。
ABテストによるユーザビリティの改善、作業効率の追求、費用対効果の向上など、全てデータによる判断が必要です。
しかし、努力しているつもりなのに成果(利益)が出ないとき、もしかするとその原因は、お客様のキモチを理解できていないことにあるかもしれません。
WEBサイトの向こう側には、必ずリアルな「人」が存在しています。
Eコマースサイトの運営においても、サービスを提供している自分のお客様を可能な限りリアルに想像し、お客様のキモチを理解することに努め、そして接客をする。という考えを常に忘れないようにしましょう。 それでは!
ミューズコー株式会社
サービス企画本部 プロモーショングループ部長 小野 雅之