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ネットショップにおける「資金繰り」

JECCICA客員講師 渡辺 太志

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資金繰りについて

いよいよ重要な部分でもある、「資金繰り」に関して書きたいと思います。

ここでは、銀行の考え方に触れたいと思います。

ネットショップの資金繰りですが、まずは銀行が融資を実行するかどうかの審査について考えてみましょう。

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銀行が融資を実行する際に、常に意識しているのはこの3つです。

 

〈1〉 その資金を何に使うか

例えば、運転資金・設備資金 (これは内容を細かに聞かれます)

〈2〉 返済する資金をどうやって調達するか?

例えば、運転資金の場合は、売上金の回収による返済となります。

ネットショップの場合は、代金引換やクレジットカード決済が多いので、最長でも売上金は30日程度で回収できるものと思われます。

 

〈3〉 もし、何かあったらどうするか?

これは、運営しているネットショップが万が一の場合、返済不能になるかどうかを銀行は見極めているのです。

 

 

一番重視しているのは、「何に使うか」ということです。

 

何に使うかがわかった時点で、どこから返済資金を調達するかが決まり、本当に返済可能なのかが分かるからです。

それが確実であれば、銀行は納得するのです。

 

ネットショップの場合は、商品の調達用途がほとんどなので、運転資金となります。

しかし、もし融資が実行されて、資金用途が銀行に伝えているのと違う場合は、そのネットショップは一気に銀行の信用を失います。

場合によっては、融資の一括返済を求められる場合もあるのです。

 

 

ここだけの話、資金用途ですが、運転資金として融資を実行してもらって、実際は設備投資に使用しても、銀行には分かりにくいのです。

しかし、逆の設備投資で融資を実行してもらい、実際は運転資金に流用するとすぐにバレます。

 

 

金利の良い融資制度はやはり設備投資なのですが、これを運転資金に使用しては絶対いけません。

正々堂々、「運転資金に使います」と宣言してください。

 

ただし、御存知の通り「運転資金」は、使用用途があいまいですよね。

つまり、融資実行かどうかの審査は、融資金額相応に厳しいと認識してください。

 

もうひとつ、知恵をつけるなら、「融資金額」の根拠を説明出来るようにしましょう。

設備資金の場合は、導入する設備の金額なので明確ですよね。

 

ところが、運転資金になると 「うちはすぐに300万円必要である」 「うちはとりあえず1000万円必要である」といったいい加減な数値を出してくるネットショップが多いのです。

また、銀行は資金がショートしたら、ホイホイと融資をしてくれませんよね。

これは、それなりに、資金が必要になった根拠がなくてはいけません。

仕入・人件費・売上回収までのショップ運営費など、必要な固定費、経費を明確にしなくてはいけないのです。

つまり、事業計画書から算出された数値と、実際の運営で発生したギャップをしっかり計測する必要があるのです。

 

そのためには、ギャップを図る基本線である「事業計画書」は絶対必要なのです。

また、ネットショップ運営に行き詰まり、その場しのぎで融資を受けてもきっと近いうちに資金は底を尽きてしまいます。

 

これではダメです。

 

 

資金繰りを考える上で、今後約1年間の必要資金を逆算する必要があります。

そのためには、事業計画書の根拠となる「損益計算書」から実際の「資金繰り表」を 作成する必要があります。

ネットショップの場合、資金繰り表の作成は比較的簡単なのです。

なぜなら、売上金の回収サイトは最長で30日である場合が殆どなのです。

 

売上金の発生月の翌月までには、売上金+消費税が入金されるからなのです。 勿論、売上金が発生した月に、売上金が回収されるケースも大いに有ります。

 

しかし、ここではいかなるケースも想定して、「売上金回収は30日」という ルールを設定して、資金繰り表を作成していただきたいのです。

安全のためです。

 

資金繰り表が完成したら、いつ、いくらの資金ショートが発生するか分かります。

この根拠を銀行に説明できるかどうかで、融資審査通過に一歩近づきます。

また、融資資金用途で、審査が通りにくいのが「後ろ向き資金」です。

 

文字通り、これは売掛金が不良債権化した時に発生します。

ネットショップでは、このケースは比較的少ないのですが、注意が必要です。

 

もし、代金未回収で資金繰りがおかしくなっても、決して「代金未回収のため」や「売掛金が引っかかったため」といって融資申請しては絶対いけません。

あくまで、「運転資金が必要になった」と言って、借入申請をすべきなのです。

 

 

ネットショップは、売掛金が発生しないケースが多いです。

発生しても30日以内です。

 

しかし、ある程度の在庫がなくては、業種によっては勝負になりません。

売上が伸びると、在庫も多くなって運転資金の需要が発生します。

しかし、それ以外で融資が必要になるのは「赤字を補填するため」です。

 

倍々ゲームで売上が伸びているのであれば、どうしても運転資金が必要であると銀行は認識しますが、売上が横這いで融資が必要になるということは、運営が赤字基調である証拠です。

融資を受ける前に改善策が必要です。

 

しかし、どちらも「運転資金」なのです。

ネットショップには「運転資金」という言葉は全てに使えます。 大いに上手に活用出来るようにしましょう!

 

 

JECCICA客員講師 渡辺 太志

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コンサルタントとして企業の経営戦略から組織開発までトータル支援が可能。SNSを活用した集客・販促により宣伝広告費の圧縮を行い、経営改善に繋げるシステム作りのコーディネートを得意とする。

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