販売戦略のヒント
JECCICA専務理事・講師 江藤 政親
EDLPという言葉をご存知でしょうか?
「エブリデイ・ロープライス」
ウォルマートの販売戦略として有名ですが、このキーワードだけを見ると、「なんだ、安売り合戦か」と思われる方が多いかもしれません。
実は価格の安売りという事実だけを見るとそう思ってしまうと思いますが、ここに販売戦略で重要な消費者感情を見出すことができます。
以上の事を踏まえて、既存の実店舗の販売戦略をおさらいしてみましょう。
EDLP
期間限定特売などを行わず、毎日低価格で商品を販売する戦略。
消費者の長期的な信頼を勝ち取り価格を変動させないため店舗の繁閑を平準化して人件費・広告費・管理費などのコストを削減できますが、商品を大量に仕入れ、単価を引き下げる体力が必要です。
最近は、アパレルや食料品も扱っていはじめたamazonなどがこの戦略に大枠ハマると思います。
High & Low
単発的な「お買い得価格」で集客する戦略。
日替わりや週替わりなど企画により、来店動機を喚起します目玉商品は赤字覚悟で安売りしますがつられて店舗に来た顧客が目玉商品以外の商品を買えば利益を出せるという考えです。
楽天市場の戦略に似ていますね。このように実店舗販売の販売戦略を冷静に見ていくと、楽天市場とamazonの販売戦略が見えてきます。
実際、楽天市場やamazonたちはECモール型です。
出店店舗側の価格と商品に対する企業努力が不可欠ですので一概には全く同じとは言えませんが、販売戦略を構築するにあたって価格と商品に関して、消費者感情を考慮した企画作成という点では同じだと考えています。
安くないと買わない人と安くなくても買う人の違い
①安いから買う
- 安いからといって無駄な買い物は避けたい。
- 過去失敗している。
- 少しでも得じゃない物は購入対象に入らない。
- 価格、品質に妥当性があれば、購入の検討に入る。
②安くても買わない
- 欲しいからといってタイミングではない。
- 過去安いものを購入して失敗している。
③安くなくても買う人
- そこにしか売ってないもの。
- 期限付きで今しかない。
- 面倒くさいからいつものところで。
- 納得できるサービスが受けられる。
などのような事が挙げられます。また、価格以外の購買動機としては、
④プレゼント(喜ばせたい、習慣)
⑤今まるものがなくなったから、無くなりそうだから(無くなると困る)
⑥自分へのご褒美、投資(自己成長)
⑦計画性をもって(人生で1つだけ、貯金をしつつローンも検討)
⑧こだわり(趣味、嗜好)
などが挙げられると思います。
以上の8つが、消費者感情の基本であり、①〜③の項目を含んだ価格キャンペーンと④〜⑧の商品特性を含んだ販売促進企画を考えて、露出媒体と期間と検討して販売戦略を立案する事が王道になります。
企画手法の細部は省きますが、5W2Hがきちんと明確にするところまで落としこんでください。追記しますと、既存店舗には以下の戦略もあります。
PB戦略
独自の価値のある商品を製造・販売する事で販売価格が自由に設定できる戦略。
顧客の声を反映した商品の仕様の変更や、独自商品が開発できるが、商品ブランド認知がないため売りづらいし、製造管理業務の負荷がかかります。
PB戦略の一番のポイントはブランドを作るために商品価値とマスコミに露出する事です。
今ある通常の商品を特徴を掲載するだけはあまり売れません。
新商品やシーズナル商品を販売促進連動企画と一緒に告知し認知してもらうから、爆発的なヒットを生み出すのです。
これは、製造メーカーが直販する場合だけではなく、仕入れを行っていたり、卸を行って消費者に販売する方法も十分可能だと考えています。
メーカーは自社開発で済みます。
小売店や卸会社は、コンセプト・ブランドに基づく目利きのある商品展開で可能になります。
メディア掲載されるためのコツは省きますが、プレスリリースをマメに出すことがとても重要なポイントになります。
このように、既存小売の販売戦略は、ある程度ネット販売戦略にもスライドさせることができます。
また先述の通り、販売戦略は商品と価格と消費者感情が密接な関係を持ちますので、商品の仕入れ術、企画、開発製造は販売戦略と連結して考えていくべきだと考えております。
商品と広告などと枠組みを分けて捉えるのではなく、個々の項目を横串にさして一連の流れで捉える大きな枠組みでの販売戦略を経営状況と連動させていかに早く動いていくかが、現状、ECショップが抱えている価格争いに巻き込まれずに生き残り、勝ち残っていく方法だと思います。
JECCICA専務理事・講師 江藤 政親
1999年よりEC運営に携わり2001年には月商4500万円達成。2002年には指導店舗で17億円の売上。1999〜2001年SOY総合3位。支援した店舗は1000社を超え、新聞、雑誌にコラムや著書4冊がある。