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2023年 年頭所感 笹本克

本年が皆さまの飛躍の年になります様に。
あけましておめでとうございます。旧年中は多くの皆様にご高配を賜り、心から御礼を申し上げます。

2022年度のEC関連の統計が経済産業省から正式に発表されるのは、暑さが厳しくなる季節になりますので現段階においては肌感覚でしか申し上げられないのですが、新型コロナウィルスの影響を勘案したとしても「ECの伸長率が鈍化している」様に思えます。新型コロナウィルスの影響で「巣ごもり需要」に対応する形で物販が伸びる一方で、旅行や外食などのサービス分野のECは大幅な減少となるのは誰でも予想できる事象かと思います。行動制限は既に“解除”されていますが、世間の人々のマインドとしては新型コロナウィルス流行前にまでは戻っていません。今後感染者数の減少や新薬の登場などに伴って世間の人々のマインドが変化して行動が活発になればサービス分野のECもさらに回復するでしょうし、物販分野もリアル店舗での売り上げ比率が伸びることは明白です。海外からの旅行者数が回復すればインバウンド需要も回復することも容易に予想できることかと思います。

これらの容易に予想できることは「既に」将来展望には「織り込み済み」の事象であるべきで、かつ、外的要因(=環境)に左右されての成長(?)であり衰退でもあるわけです。EC業界に携わる者たちが自らの経験や知見から生み出した新たな手法やツールあるいはマーケットなどにおける成長とは異なるモノとして明確に区別して認識しておく必要があるのではないでしょうか。
もちろん昨今においてもEC業界にはメタバースやNFT、O2O関連、あるいはライバーや etc.etc…などの新規テーマが存在しているのですが、笹本の肌感覚だけで主観的に申し上げてしまうならば、現段階においては今一つユーザーがついてきておらずECプレイヤーだけで盛り上がっている感が否めません。近い将来使えそうな様々なツールやフィールドについては十分にアンテナを張っておくことを「大前提」として、あえて申し上げれば【現状においては】開拓者とならずとも「最速の2番手」にはなれるレベルまでの“勉強”がバランスのとれた対応であるようにも思えます。
消極的だというご指摘があるであろうことは承知の上で申し上げると、いつの時代においても変化や成長は必須ですが、ビジネスフィールドの成長期と成熟期では最善の対応が異なってくると思うのです。成長期には“先行者利益“や”拙速遅行なら拙速を選ぶ“が金言だと思うのですが、成長期から成熟期に差し掛かる時期はこれらの金言も変わってくるのではないでしょうか。例えば先行者利益というコトバと最先端は少数派(=まだ採算の取れる規模にはなっていない)というコトバは、いずれも”正“であり、現在の事業の立ち位置によって重要度の比重が異なってくるのだと思います。

仮に“主流“となりそうな新規テーマが「近々には」見当たらないと判断した時期にとるべき最善の策は、凡事徹底と横展開であると笹本は思っています。たとえば受注から発送までのバックヤードのシクミを整えたのは何年前でしょうか。さらに便利で安全なシステムや社内のシクミはないのであろうか などの考察は、成長期には「今はとりあえず問題なく回っている」ので”後回し“の課題になりがちです。広告などの費用対効果の確認や使いまわし続けた商品画像やコピーのブラッシュアップなども含め、凡事徹底は大きなソリューションに変わる可能性があります。
リアルの事業においては、長年に渡って売り上げの主力となっているロングヒット商品においてもパッケージデザインやキャッチコピーをアップデートするなどの例のごとく、「既存のソリューション」を細部の細部まで突き詰めてさらにその価値を高める手法がアタリマエになっています。凡事徹底=今できることを徹底的に行うという”手法“は成熟期を過ぎ飽和マーケットと言われる段階においても効果があるものです。ECは今まではまだその必要を感じる段階に達していなかったとも思うのですが、そろそろこの辺りにも注目する時期に近づいている様にも思えるのですが、皆様の肌感覚としてはいかがでしょうか。

また使い古された言葉のごとくの「横展開」ですが、様々な業種における「事業拡張のほとんど」は横展開です。A町で成功した店が新たな商圏を求めてB町に出店する際に、一義的にはA町の商材そのままで店を立ち上げることができます。「現在手元にあるソルーション=蓄積された強み」を活かして新なマーケットや商品開発を行うことが横展開だとすれば、成功する確率も高いはずでこれを行わない手はないと思うのですが、なぜかアマゾン楽天ヤフーと自社ドメインショップ 以上。・・・で発想自体が留まってしまっている感があります。
仮に、練り上げたコンセプトとコピーに訴求力の高い商品というソリューションが手元にあるならば、その他のモールへの出店や紙媒体やTVを含む動画媒体やラジオ通販、さらにはリアル店舗への展開なども横展開に含まれるはずです。もちろん「その他のモール」には中国系のほかShopeeやQoo10経由eBayなども視野に入れておいてほしいと思います。当然商品を並べただけで売れるわけはなく、それぞれのフィールドで努力と工夫が必要ですが、出店出品をしない限りそのフィールドで受注できる可能性はゼロであることも事実です。ざっくり申し上げれば新型コロナ禍ではありますが、それでも日本発の越境ECは1割程度は伸びていると考えて頂ければと思います。これも皆さまができるハズの「横展開のごく一部」です。問い合わせなどに外国語力が必要になってくるなどの心配ごとは、受注した後でも良いのではないでしょうか。
さらなる飛躍の年にするためにこそ、まずは「凡事徹底」を行い、とりあえず“既存”の範囲でできそうなことをやってみる。これが飛躍の第一歩ではないかと思います。
本年が皆様のさらなる発展とご健勝の年となることを心よりお祈り申し上げます。

JECCICA客員講師

JECCICA特別講師 笹本 克

全国各地で有名ネットショップを輩出。自治体・関連団体にもEC関連の講演や講師を務め、DeNA、Yahoo!Japanショッピング事業部へのレクチャー、ドリームゲート起業講座の他、コンサルサイトの累計約600社、多業種でのコンサル実績も豊富。


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