2022年 年頭所感 松本順士
皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。
旧年中は、JECCICA一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会への格別のお引き立てを賜わり誠に有難うございました。皆様のご支援のもと、無事に新春を迎えることができ心から感謝申しあげます。
コロナ禍では、これまでの常識や週間が覆され、ビジネスを取り巻く環境が激変。その大きく変化した環境に、うまく適合し新しい戦略を立てることができた事業者と、適応できなかった事業者との明暗がはっきりしている。
両者の分かれ道は、以前からECに重きを置いて専門の担当部署があったか、あるいはDXの推進をすでに行って会社全体に浸透していたか。例えばアパレル業でDXが進んでいた企業では、新型コロナウイルスの流行が始まった3・4月の早期に働き方をリモートワークに移行し、政府から外出自粛を要開された5・6月のセール時期にはECを活用した打ち手をスムーズに講じ、現在では上流から下流、部署間の垣根がなく売上が上がっている企業も増えている。一方で現在でもDXによる企業内の体制整備も進んでいない企業も多い。
このような状況から、EC業界にもDX推進の必要性が明白となり、推進するべく部長クラスのデジタルへの理解度の低さが、事業者が抱える大きな課題であり、過去の常織・習慣は通用せず、日々変わる状況に対し「解決と創造」する力が必要である。
EC業界におけるこれまでの常織・習慣とはどのようなものだったのか。代表的なところでは、店舗とオンラインを持つ場合の多くは、"店舗優位のバワーバランス"であったことが挙げられる。店頭での売り上げの方が多かったりリアルで来店する顧客との関係性も構築しやすく顧客グリップが強かったり、顧客情報をたくさん持っているため、商品企画や価格決定の場でイニシアチブを取るのはどうしても店頭側。EC事業部は蚊帳の外にされてしまう傾向があり、EC推進を鈍らせる要因に。
しかし繰り返される自粛や不安が長期化し売り上げが下がり店舗が閉店に追い込まれたことで、この形勢が崩れ、マーケティング予算を抑えながらもECに注力せざるを得ない状況へ。通常であればECの新規顧客を増やすためには、店舗顧客をECに送客することが、もっとも投資対効果が高いはずだが、戦略的な店舗での施策ができていない企業は顧客の取りこぼしをしている。その中でまず私が行ったことは、短期的な戦略を立ること。店舗施策を見直し、閉店する店舗があればリストアップして顧客を洗い出し、アプリやLINEを案内してつなぎ止め、今後はECで買い物をしてもらえるようすぐに実践。また同時に、その戦略をすぐに実施できる体制づくリも行い、店舗スタッフとECスタッフに「どういう企画をすれば店舗とEC間で相互送客できるのか」テーマにしたセミナーを数多く行った。また自社、他社の売れている商品のデータをまとめ、事業部関係なくデザイナー・企画・MD部署に連携することも取り組んだ。
ブランド・メーカーの自社EC販売の加速
店舗の相次ぐ閉店や時短営菜などによる売り上げ減少は、店舗担当とEC担当間のパワーパランスに影響を与えたほかにも、これまで習慣として常織だったビジネスのあり方に大きな変化をもたらした。その際たるものが、“卸売業への配慮”の薄れ。
例えば家電業界を例にすると、量販店の販売網が強く、これまでだったら「自社ECで販売します」というと、営業担当をはじめ社内・社外から大きな反発が起きていた。そのため家電メーカーでは、自社ECやモールでの販売は習慣として自主的に控えていた。こういった卸売業への配慮が大手メーカー、特に家電業界でD2C化が遅れた要因である。しかし、店頭での販売が"絶対"ではなくなった今、その配慮は無用のものになったと言え、他に頼っていたら生き残れないのだ。そのため、自社サイトでしっかりと商品を売っていこうという方向性に変えることができた業種が、現在自社ECでの販売を強化している。これまでできなかった、自社サイトで顧客の囲い込みを行い、顧客データを活用しながら戦略を立てる事業者が増えたことは、ひとつの大きな潮流に。
今後も未曾有の事態に対する先行きは見通しづらい状況が継続するものと思われます。そのような状況の今だからこそ、過去の常織・習慣にとらわれず、日々変わる状況に対し柔軟に対応する。我々ジャパンイーコマースコンサルタント協会としては、Eコマースを支える人材育成、ECコンサルタントを養成し、EC運営に必要なノウハウを体系的に学べることを提供してまいります。
本年も皆様方の益々のご隆盛とご健勝を心からお祈り申し上げます。
理事 松本順士
1980年4月28日 大阪出身
【経歴】
1997年 17歳の時に当時BBSを使いネットでアパレルの販売を開始。
2004年 EC運営会社 アートデコ株式会社を設立
2007年 レディースアパレルブランド 「GRL グレイル」を立ち上げ
2008年 初年度売上4億円を突破
2011年 年商30億突破
2011年4月 アートデコ株式会社を売却
2011年6月 WEB・EC業界を変えるため、コンサルティング業を開始する。
2013年1月 コンサルティング流通額 60億を突破
レディースアパレルブランド 「GRL グレイル」の元代表取締役
GRL グレイルを4年で30億の売上を上げたノウハウでWEB・ECコンサルティングを行っている。
・ウレル運営代行
・ウレルサイト制作
・ウレルプロモーション
・人材育成から、システム設計
WEB・ECで物を売るためのことをすべてコンサルティング