2021年 年頭所感 川連一豊

新年を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。旧年中は格別のご厚情に預かり、心より御礼申し上げます。

2020年は本当に大変な一年になりました。昨年1月から始まったコロナ禍はすでに1年を経過しようとしています。あっという間の1年だったと感じています。毎年正月に行うJECCICA Eコマース大予測でも、ウィルスの話をほんの少しお話したのですが、ここまでの状態になるとは思いもよりませんでした。このコロナ禍でデジタルの環境は一気に進みました。テレワークやオンラインのセミナーや各種イベントが行われると、テレワーク用のソフトはもちろん周辺機器も一気に揃い、改善もされました。昔子供の頃に本で見たテレワーク中心のビジネス風景が一気に行われた感じを受けます。また、マスクやアルコールといったウィルス対策品や、ティッシュやトイレットペーパーといった日用品や保存が効く食料品も店頭からもEC上も在庫が一気になくなり、非常に高い金額で販売されるという非常識な状態も発生しました。
一方、今までこだわり商品を丁寧に販売してきた店舗さんや安心安全だけどちょっとだけ高い商品を作ってきたメーカーのECショップなど多くのECがほぼバブルのような売上を上げました。月商100倍になった店舗さんもあります。プラットフォーム側も非常に高いトラッフィクになり、サーバだけでなくネットワークの強化を余儀なくされ、一部ではクラウドのメモリやCPU追加が通常ならあっという間にできるにも関わらず、多くのサイトが落ちたり非常に遅くなってしまうことがありました。私もドキドキの瞬間が何回もありました。
また、ほとんどのECショップが新規のお客様を確保できました。今までネットで購入したことが無いユーザーへの対応も多くなり、サポートも今までにないいろんな問い合わせに苦労しています。落ち着いた従来の成長くらいなら普段の実務でこなせますが、一気にお客様が来られるとやはりパンク気味になってしまいます。ネット通販のベテランユーザーもこぞっていろんなECショップで購入していたりして、「こんな変わった商品がある」とか、「このECサイトのInstagram良いよね。」みたいな会話をされています。店舗さんにとってはこの新規顧客をリピーターにしていくか、ロイヤリティの高いお客様に育てていくかが今後の勝負どころではないかと私は考えています。

2021年のEコマース予測も大変難しく感じます。現状のコロナ禍がどうなるか、それに対応する各国政府の対応、ワクチンや対応する薬の開発から日本経済だけでなく、海外の経済状況など複雑に入り組んでくると思います。
一方、比較的近くの環境で考えれば、今年同様、おうち時間をいかに大切にするか、テレワークやオンラインイベントなどのデジタル環境の整備が間違いなく進むと思われます。この時、我々EC業界はどのようにすべきかは、自ずと見えてくると思います。私がECを始めてから言い続けてきた「ネットのおもてなし」がまさに重要なファクターになるでしょう。私は、OMO （Online Merges with Offline）の「おも」はおもてなしのOMOと言っていますが、リアルで大切にされてきたおもてなしが、ネットでも「おもてなし」が大事であり、OMOのマージされた中においてさらに重要視されることになります。このOMOを進めるにあたり、カスタマージャーニーの最初から最後までのユーザー情報を取得することで商品化からサイトの構成デザインといったタッチポイント、CRMなどの個別戦略にD2C（Direct to Consumer）という考えが非常に役に立つと考えています。今は、中途半端なD2Cが多いのですがこの戦略を間違いなく取ることができれば企業や店舗はこのコロナ禍においても今後のデジタル化が急激に進む中でも生き残って行くでしょう。2021年は大きな岐路になるはずです。EC業界はその最前線を走っています。負けない日本経済を作っていくことは我々JECCICAの理念でもありますので、2021年も火の鳥のように熱く燃えて邁進して参ります。

引き続き、皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
最後に本年が皆様にとって素晴らしい一年となりますことを祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

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