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あるレンタル用品サイトに学ぶ、収益の上がるECサイト運営とは。

ケーススタディです。最近、あるサイトを利用しました。悪いところがこれでもかというくらい続くサイトですが、でも売上は上がっている、その秘訣は・・・そんなサイトです。どちらの面も参考になると思いますので、その経験についてお話しします。

通常の販売ではなくて、レンタル専門のサイトです。海外から視察のお客様があり、歓迎用の国旗をそのサイトで手配しました。

そのサイトの受注の流れは、次のようになっています。

1. (客)買い物かごではなく「無料見積り依頼」ボタンがあり、そのフォームから日程や配送先など必要事項を送信
2. (店)「見積書兼発注書」をメール送信
3. (客)プリントアウトして署名捺印の上、FAX、またはスキャンしてメール添付で返送
4. (店)受け取った時点で商品を確保し、振込依頼をメールで案内
5. (客)指定の銀行口座に振り込み
6. (店)指定日に宅配便で商品配送
7. (客)使用後に商品返送

面倒な流れですね。時間もかかるから急いでいるときにはトラブルも起こりそう。改善の余地がたくさんありそうですが、商品の性質上、注文受けて送るだけの通販よりも手間がかかるのは仕方ないところもあります。

そして実際には、もっとすんなりいきません。

 送料がわからない。まったく記述がないので目安すらわからない。準備する人は、まずは予算を立てるためにある程度の目安はつかみたいと思うんだけど…
 尋ねてみよう。AIチャットのウィンドウが「チャット受付中!」と表示されていたので質問してみたけど、反応はない。
 AIが「メッセージ受付中」となりメールアドレスや質問内容を聞かれたので入力して送ってみたが、けっきょく最後まで回答メールはこなかった。
 その後、一週間ほどが過ぎ、日程や納品場所など詳細が決まったのでフォームから「無料見積り依頼」したけれど、そのフォーム、URLがhttpsになっているだけでSSLにはなってないやん!
 メールで「見積書兼発注書」が送られてきたけど、担当者のメールアドレスから。そして、別アドレスのinfo@~へ送ってくれと書いてある。そりゃそうでしょう、担当者アドレスなら担当者が休んでいたら処理してもらえないもの。じゃあそもそも、返信で送れるようにinfo@~から送信してくるべきではないのか?
 そしてしかも、わざわざinfo@~へ送ったのに、24時間過ぎても返事が来ない。不安だし振り込みもできないし。
 info@~だけでなく担当者アドレスにも催促のメールを送ったら、担当者アドレスからすぐに返事がきた。なんやねん、そっちのアドレスがよかったんかい!

そして、振り込みをして、何とかレンタルできました。イライラさせられても途中でやめなかったのは、このサイトに興味があったからです。この会社は本当に規模が大きくなっています。Webマーケティングに取り組み始めた10年前は従業員は数名でしたが今は100名を超えていて、地方の中小企業なのに今年も新卒を数十名も採用しています。

しかも、業績を大きく伸ばしたのは、サイトでの受注を始めてからです。今では年商十数億円のほとんど全てがWebからの受注。でもサイト自体は使いにくく、セキュリティ面も配慮はなく、オペレーションも効率的ではない。売れ過ぎ続けているために、システム化などの整備ができていないのかもしれません。サイトも、ヘタにリニューアルしてしまうのもこわいので古いままなのかと思います。

ではなぜ儲かっているのでしょうか? 抜きん出て優れた点もいっぱいあるのです。実は、サイトは一つではありません。受注用サイトが20ほど、さらに集客用ブログサイトが50以上。どれもデザインはきれいだとはいえません(笑)。でも情報量は圧倒的です。また、Webで売上を伸ばし続けていることや利用者も多いことから、好循環が生まれて検索結果は素晴らしい。また、YouTubeには動画が800本ほどアップされています。会社の強みを訴える動画や商品紹介の動画など、ここからも受注につながる濃いお客様の流入が相当数ありそうです。

バックヤードがどうなっているのか、システムがあるのかなどは知りませんが、たぶん整ってはいないと思います。整備すれば人件費を削ることができるかもしれません。しかし、そんなことより、収益の伸びが圧倒的ならば人海戦術で何とかなってしまいます。
(実は、このサイトには商品画像や説明にも不備があって納品時に備品不足のトラブルがありましたが、担当者が片道一時間かけて持ってきてくれました)

危うさもあります。例えば、80近いサイトは、どれも常時SSL化されていないので、近々大幅に検索順位を下げられる可能性もあるでしょう。でもこの会社のバイタリティだったら何でも乗り越えていけそうにも感じます。

足元も大事ですが、守りに入りすぎているかなという方は、もう一度、売上を上げることにとことんこだわって攻めてみるのもよいかもしれません。一流は現場を見てもいいところしか目に入らない、ともいいます。ええ、私こそついつい悪いところに目がいきがちですので、ブレーキはほどほどにして売上アップを最優先したいと思います。

JECCICA客員講師 芦澤 実

(有)芦澤商会 代表取締役


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