2021年 年頭所感 飯野勝弘
新年あけましておめでとうございます。
旧年中は、一般社団法人ジャパンイーコマースコンサルタント協会(JECCICA)への格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。
さて、今回の年頭所感については、昨年からの「コロナ」について、避けてはお話しできないと思います。皆さま方もご健康で、新年を迎えられていれば、まずは幸いでございます。今年こそ「コロナ」が地球上から無くなることを祈るばかりでございます。昨年は、私達の生活が様変わりいたしました。日本全国で大変な痛手を受けています。その逆にインターネット業界は、概ね追い風だったかと思います。たった1年で様々なサービスが登場しました。この流れは今年も同様かと思っています。当協会も苦渋の選択で、対面セミナーからネットに移行させていただきました。その結果は、まだ道半ばではございますが、「良かった点」「反省する点」も少しずつ見えてきた気がいたします。EC業界の皆さまのために、今年はどのようなご支援ができるのか?皆さまからの助言もいただきながらしっかり運営していきたいと考えております。
ここからは、私の昨年のECサイトにおける「小さな発見」を述べたいと思います。仕事柄、日々様々なECサイトを拝見させていただいております。私が不勉強なだけで、皆さまにはすでにご承知のこともあるかもしれませんが、ご了承ください。
①メールアドレスをもっていないユーザー(特に若い世代)が一定数存在する。
SNSが主流のコミュニケーションである若い世代では、メールアドレスをそもそももっていないユーザーがいます。昨年末、あるECクライアントの50代の部長様とお会いすることがあり、教えていただきました。自分の息子(23歳)から、「オヤジ、まだメルアド使っているのか?(驚)」と聞かれたそうです。部長様も驚いていましたが、息子さんに言わせると、メールアドレス(G-mail含む)が無くて困ることはほとんど無いとのことでした。ECサイト業者にとって、個人情報入力時にメールアドレス入力欄は「必須項目」かと思いますが、今後彼ら世代が主流になるにつれ、入力情報項目も変わってくるかもしれません。
②メールアドレス同様に「電話(固定+ケータイ含む)番号」をもっていないユーザーも一定数存在する。
これは何年も前から言われていることなので、ご承知の方々もいると思いますが、通話料金という固定費用を毎月除くと、各段にケータイ月額料金は安くなります。実質ゼロ円の可能性も。しかし昨年からはLINEもケータイ番号必須でのみしか新規登録できないようになりましたし、最近は、セキュリティーの観点から、SMS(ショートメッセージ)での個人認証も多くなってきた感じがします。また、いざ「緊急時(警察や救急車など)」は電話番号が無いと困ります。賛否両論あると思いますが、ECサイトにおいては、彼らは、適当な番号を「電話番号入力欄」に記載して商品を購入している、という話も聞きました。たしかにECサイトで購入しても「電話」がないと困ることはあまり私も感じておりません。将来は「必須項目」でなくなるかもしれません。
③商品の「配送」を具体的に指定できるサイトが出てきた。
現在は、「日にちと時間指定」までは、出来るサイトが多いように思いますが、最近は、「置き配」や「宅配ボックスの指定」なども選択できるようになってきています。これは物流会社の業績に寄るところが大きいかと思いますが、私としては、どんどん発展していただきたいと思っています。
④シニア世代の「生年月日 登録」には、「和暦」が常識。
70代、80代世代の方々には、当たり前なのかもしれません。昨年、ある健康食品ECサイトの方々と会議をしていましたところ、商品を購入する際に「生年月日」を入れる必須項目があり、それを「西暦入力」から、「和暦入力」にしただけで、入力ページの離脱が減ったので、早速モニターアンケート調査をしたところ、シニア世代の方々には、「西暦」を聞かれてもすぐに出てこない方が大変多く存在していたとのことでした。私も早速モニター調査をするべく、母親(80歳)に電話で聞いたところ、「西暦を今聞かれてもすぐにはわからない」と言われてしまいました(笑)。そんな母親も今年は「楽天」デビューすると意気込んでおりました。
⑤次も入力項目のお話で、恐縮ですが、最近になり、たまに見かけるようになってきたのが、「性別 選択項目」に「その他」や「無回答」といった選択肢がでてきたことです。「ジェンダーレス」「ジェンダーフリー」などのワードを見かけることが多くなってきました。定義が定まっているわけではないので、私も勉強中ですが、ECサイトにおいては、例えばアパレル業界において「ユニセックス」の商品一覧は、男性女性問わずに販売されている商品のことを指します。「性別」を聞くために「その他」という単語を表記していること自体、まだまだ日本は遅れているのかもしれません。そもそもECサイトにおいて「性別(必須)」があること自体問われる時代が来ると思います。
⑥次は「動画」についてです。動画コマースは数年前から言われてきておりますが、この2021年からは、急激に増えてくるものと思っています。その背景に「全国どこでもWifiの普及」「5Gの普及」が挙げられます。ECサイト様におかれましては、TOPページの最初の表示画面(ファーストビュー)に、静止画を数枚設置されている企業も多いですが、これがスライドショー的な30秒程度の動画になると、より離脱率が下がることが傾向に出てきています。アマゾンなども活用されていますが、商品に「商品写真」だけでなく「商品動画」も入れることで、購入率が高くなることも実証されてきています。
この2年程度で、圧倒的なインターネットスピード環境が整備されます。もうスマホの表示スピードにイライラしないで買い物が出来るようになります。
以上、私の小さな発見でした。(恐縮です)
私自身も日々勉強中の身でございますので、今年もJECCICAの会員様たちとワイワイガヤガヤしながら、Eコマースの発展に尽力していくつもりです。
皆様、どうぞ本年もJECCICAをよろしくお願いいたします。
そして脱コロナに向けて一緒にがんばりましょう!
JECCICA 理事 飯野勝弘
トランスコスモス株式会社 理事
1990年 日本IBM株式会社にて、法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、
2000年 株式会社エムティーアイ(東証一部)執行役員 モバイルコンテンツ事業本部長として、公式サイト500サイト以上の立ち上げを経験。
2000年 株式会社モバイルコマース 代表取締役として、全国の通販企業のサイト改善
コンサルティング・制作・開発・運用を一気通貫で行う。
クライアントの8割は、大手通販企業、指名発注が多い。
同時に、新聞・雑誌11年間連続執筆、各地のECセミナー講演多数
主業務に「売上が確実に上がるスマホサイトUI改善」を得意とする。
2017年 会社を売却。
トランスコスモス株式会社 理事に就任。
全国EC企業に対し、「スマホサイト改善」を提供している。
現在まで200社以上のECスマホ改善を実施。
ほぼ100%、売上を2割~5割にアップさせている。
1サイトを5分見れば、どのくらい改善が見込めるか、即答できるのが強み。