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2021年 年頭所感 雨宮雄一

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2020年は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に翻弄された1年でした。
世界的にも日本国内でもマクロ経済としては厳しい状況に陥る一方で、EC業界はバブル景気とも言える環境だったと思います。

経産省の「電子商取引に関する市場調査」における「物販系分野のBtoC-EC市場」は、この数年、成長率が10%を下回っていました。
2020年に関しては、これまでのEC関連企業の公表データ等を見ると20%を超える成長率になる可能性があります。
消費者のデジタルリテラシーが著しく向上し、リアル店舗に買い物に行く機会も減ったことからEC活用が一気に増えているのでしょう。

様々な専門機関の予測や大企業が想定するシナリオを見る限り、2021年もCOVID-19の影響が相当残るとされ、EC業界にとっては引き続き追い風が吹くと考えられます。

私は、リアル店舗も持つクライアントが多いので、リアル店舗とECとの連動という視点で2021年に予測される動向を3つ挙げたいと思います。

1つ目は、閉鎖するリアル店舗からECへの送客、これに伴うECでのサービス充実です。
百貨店やショッピングモールに入居するテナントなどを中心に、2021年の2月~3月頃、あるいは8月~9月頃に大量の閉店が予想されます。
従来はリアル店舗を閉鎖する際は、基本的には近隣店舗に誘導していたのですが、今後は近隣店舗も含めて閉鎖する可能性が高いため、ECに誘導する流れが増すでしょう。
しかし、店舗顧客のECへの送客は苦戦します。
理由は店舗で受けているサービス、例えば、接客、試着、現物の確認、イベントなどをECでそのまま受けることが難しいからです。
そこで、何とか顧客をECに取り込みたい事業者は、店舗スタッフによるオンライン接客、返品サービス、オフラインイベントの強化などに取り組むはずです。
2021年はECでの「おもてなし」サービスが一気に充実すると考えています。

2つ目は、店舗のショールーミング化が進むことです。
COVID-19の影響で2021年もリアル店舗は集客に苦しむことが予想されます。
そうなると、店舗では来店した顧客にいかに販売するか、どうやって顧客との関係を継続するか、を考えなければなりません。
もはや店舗の在庫を売る、とか、ウチの店舗のお客さんだ、とは言っていられなくなります。
結果として、店舗にない在庫を販売したり、店舗でECの会員登録を促す、等の施策が出て来ると思っています。
店舗全体がショールーミング化されるケースは稀でしょうが、店舗でECサービスを体験する、という流れは加速するでしょう。

3つ目は、顧客データを活用した商品企画が増加することです。
オムニチャネルと言われて久しいですが、店舗とECとで顧客データを一元化したことで顧客データを蓄積した事業者が増えてきました。
まだ、そのデータを有効活用出来ているとは言い難いですが、店舗、ECのチャネルごとの顧客属性、購買データ、行動データが見える化されてきました。
次は、商品部門を巻き込みながら、顧客タイプごとの行動特性、商品動向、価格や買上パターンなどを分析し、新たな商品を企画・開発する取り組みが出て来るでしょう。

これらの動向は全て、ECが大きく進化することを意味しています。
COVID-19をきっかけに、リアル店舗事業者が本気でECを強化を図っているので、EC専業者はサービスを大幅に進化させないとバブル後には淘汰されるリスクすらあります。

以下は、毎年唱えている呪文ですが、、、

このような時代だからこそ、「基本を磨く」ことと「進化をする」ことに邁進しなければなりません。また、ショップを支えるサービス提供者側は、ショップの「本質的課題」を解決する一手を提案する必要があります。

JECCIAとしては、「基本」を大切にしながらも「進化」出来るEコマース人材を育成していくべく、引き続き努力していく所存です。

最後になりましたが、皆様方におかれましては、この一年が希望に満ちた躍進の年になりますよう心からお祈り申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

雨宮雄一プロフィール写真

専務理事 雨宮雄一

フォーセンス・パートナーズ(株)代表取締役
パートナー 公認会計士
元HMVジャパン代表取締役社長
元ローソンHMVエンタテイメント取締役
大手監査法人・外資系コンサルティングファームを経て2006年、経営コンサルティング会社 フォーセンス・パートナーズ設立。現場まで入り込み指導するハンズオン型サービスをモットーに、多数の大手流通企業の経営改革を支援。

2008年から3年間、HMVジャパン(現ローソンHMVエンタテイメント)の代表取締役社長を務め、同社の Eコマースシフトを主導。また、ローソンHMVエンタテイメントでは取締役としてEC・CRM・IT部門を統括。

ネットとリアルを融合させた大規模ECの運営に精通。加えて、EC事業のM&Aにも当事者・アドバイザーとして多数関与。EC領域では戦略から運営まで一貫してアドバイス出来る数少ないコンサルタント。

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