新たな脅威によって得るものと失うものを考える ~良貨は悪貨を駆逐する~
まだ充分に安心・安全とは言えないまでも何とか終息しつつある感じの新型コロナウイルスです。
終息自体はちょっとなし崩しの感は否めませんし、当初の予想どおりまだ当分の間withコロナでしょうし、リバウンドも含めAfterコロナのほうが何かと重要な事柄が多いかと思います。個人的な感想ですが世界が少しだけきれいになった気はしています。
2011年3月の東日本大震災から約9年での新型コロナウイルス感染症の流行はまぎれもなく大きな脅威でありたくさんの大切なものを失いました。しかし脅威を乗り越えてきたことが私たちの進化・進歩の歴史であり、また得るものもたくさんあったのだと思います。
コロナ禍で得たものと失ったもの
オンラインミーティングやオンラインセミナーが増え、リモートワークの体制や仕組みが進んだことは大きな効用でした。ただその一方で対面でのコミュニケーション不足や人の管理の難しさを露呈した部分もあったように思います。
コロナ禍の総括は他に譲りますが、私自身も残念ながらこの数年は得たものよりも失ったもののほうが多かったように思います。その証拠に世の中が落ち着きを取り戻すとともにやはり外出が増え、人と会う機会が増えています。当然お誘いいただく機会も増えているのですが、自らがオンラインよりもリアルを望んでいるからに違いありません。やはりそれが好きなのです。
突然のChatGPT
昨年末に突然登場したChatGPTには正直驚きました。その後も大きな話題となりMicrosoftやGoogleの追随もあって今やちょっとしたAIブームです。私もちょっとした調べ物からレポートの作成等でかなり便利に使わせていただいています。
AI(人工知能)の起源は1950年の「計算機械と知性」ですが、その後何度かの小さな盛りあがりを経て、今回一気に普及しました。
その一方でAIにとって代わられる職業とか業務なども話題になり、一部のベテランビジネスマンの方たちの『コロナの次はAIかぁ…』という溜息まじりの声も聞こえてきています。現代ビジネスマンに次々と襲いかかる脅威!さて今度はAIで私たちは何を失ってしまうのでしょうか。
実はインプットが大事
何を失うのかを心配していないで、ChatGPTでもGoogle BardでもAIチャットサービスに話しかけてみることです。AIツールが回答する内容ばかりが注目されますが、実はインプットが重要です。当たり前ですがより正確で有益な情報を取得するためには適切な質問事項を揃える必要があります。
従来のGoogle検索やYahoo!検索がとても上手なかたがいますが、必要な情報を検索する際に入力するキーワードの選択が上手なのです。AIでもまさに同様のことが言えます。
経験豊富なプロジェクトマネージャーの最新技術スキル不足を補う可能性
適切な質問事項を揃えるということは、要件を洗い出し整理し定義し提示することです。それはヒアリングテクニックと業務知識に長けたベテランプロジェクトマネージャーの得意分野ではないでしょうか。最新技術や最新技術情報まではなかなかキャッチアップできていないですが、そこはAIを使えばよい。場合によってはプログラミングコードまで書いてもらうなど。経験値はインプットで差がでます。意外に経験者にこそマッチするツールなのかもしれません。
始まりはいつも突然
ベルリンの壁が突然崩れたように…
インターネット、ブラウザ、Windowや携帯電話の登場も今思えばある種突然でした。登場から普及までの圧倒的なスピード感と変革。新しい技術や商品が大きなインパクトとともに登場し、一部の富裕層や研究者や技術者のものだけではなく、誰にでも手の届くものになることが脅威を感じさせるのでしょう。最初は自分にはあまり関係ないと思っていたのに、あっという間に身近なものになってくる、そして何かを脅かされるかもしれないという不安になるのでしょう。
良貨は悪貨を駆逐する
始まりはいつも突然ですが、結果として発明と技術革新は私たちにより便利と効率を与えてくれるものだと信じています。今でも様々な分野で活用されていますが、今後もAIの技術は進歩し、私たちの生活に大きな影響を与えていくことになるでしょう。それだけによりよい方向に使っていきたいと思います。
例えばスマートフォンの悪い点として、使い過ぎて依存症になる、仕事や勉強に集中できなくなる、対人関係に悪影響を及ぼす、個人情報流出や盗聴の可能性、健康への悪影響、睡眠不足、目の疲れや頭痛などが挙げられています。今となっては私たちの生活に欠かせないものであり、便利なものです。要は使い方です。
いつも言っていることなのですが、新しいものにいたずらに悪い先入観を持たないこと、まず学び使ってみること、良いことを伝え広め、悪いことには注意をし、見過ごさないという基本的なモラルが大切だと思っています。
『悪貨は良貨を駆逐する』のではなく『良貨は悪貨を駆逐する』のです。
最先端の情報と技術から学び、自ら実践し正しい利用技術とモラルを伝えていきます。
今までも、そしてこれからも。
JECCICA客員講師 和田 務
株式会社シーズファクト代表取締役社長 クライアントサイドに立ったITコンサルティングを経営、業務改善、物流といった幅広い視点から行い、企画から運用・保守まで全てのフェーズでのプロジェクト支援が可能。複数のITベンチャー企業の設立・経営に参画し、幅広い人脈を生かしての新規ビジネスの企画、アライアンス提案も行う。