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ECで一番キモだと思う物流のお話

去年末からはじめている本コラム。初回はECについて思うこと、2回目は統計から読み解くECの未来可能性、3回目は人にまつわることについて書かせていただきました。そして、4回目の今回は物流です。今月のコラムの中で一番大きい枠をいただいたのでこの題目にしました。
実務の詳細は業界の方々の方が100倍詳しいので、僕はECを運営してきた側から物流業界に関してこう感じているというお話しができればと思います。物流に携わる方のコメントも少し載せているので、これからECを始める方も既に始められている方も、なんらかの参考になれば幸いです。

ECに関わらず商売の根底にあるのはモノ・コト・ヒトですが、
ECにおける三種の神器はサーバー・ペイメント・物流です。

サーバーがなければモノを売ることができない、支払いがされ受け取ることができなければ企業として売上が立たない、モノを送れなければせっかく買ってくれても届けられない。

当たり前のことを言ってますが、この再認識は結構重要かと思います。しっかりしたサーバー、利便性が高いペイメント、安心して送れる物流。それぞれどこを選ぶかは事業フェーズによって変わるからです。あらためてこの三種を認識することで”その時”に合ったベストな提携が収益的にも大切になってくると思います。

その中で、この物流領域が一番大切だと僕は思っています。
なぜかと言うと、物流は「自分たちがどう頑張ってもできないから」。

とある社長が僕に言いました。
「我々は昔はあくまで下に見られてました。ただモノをトラックで運べばよかったからです。誰にでも出来るでしょ、という感じで。しかしECが発展した現在、それでは立ち行きません。ECは送るだけでは完結しません。」

フルフィルメントがあったりどこに送るかは今や国内だけではありません。

これはEC運営サイドでは絶対に出来ません。そこに挑戦する巨額な資金も経験もないからです。だからこそ3PLといわれる、荷主企業に代わって最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、それを包括的に受託する物流サービスがどんどん求められています。

そうした状況の中、数年前から言われているDXという言葉があります。

正式名称は”Digital Transformation”。なぜXなのかというと、英語圏においてtrans〜は交差点を意味するXと置き換えられ、「Digital X formation」と省略することができ、それがさらにDXと呼ばれるようになったからです。Transformationは変化・変形・変容を指すので、「デジタル化により社会や生活の形・スタイルが変わること」そして「既存のビジネスの枠組みをDXによってより良いものに変えていくことで、人々の生活を豊かにすること」を意味しています。

この言葉が誕生したのは、実は2004年。スウェーデンの大学教授による提唱なのですが、最近の新型コロナの感染拡大で一気に注目が集まり、経営のキーワードにすらなりました。

余談ですが、似た言葉で”IT化”がありますが、IT化は”業務の効率”、DXは”業務の改革”、と大きく分けることができます。

私は様々な業界の中で
物流業界が一番DX化が早かったと思っています。

え??ってなります?
それとも、なるほど!ってなります?

物流におけるDXって何よと思われるかもしれませんが、先に答えを言ってしまうとそれは、可視化です。

ECの物流で一番大切なこと=可視化

僕はそう思います。

現在の日本の物流はいつどこにあるかを見える化=可視化しています。ユーザー側としても安心、必要になってきたからです。特に、外資系物流企業は早い段階からココをとても大切にしてきました。実は日本の見える化は世界より遅れてました。

諸外国の可視化が日本より早かったのは、海外は国土が広いからいつどこにあるかの”見えること”が必要だったのです。日本の物流は国土が狭いこともあり翌日とまではいかないものの基本はすぐ届いていました。結果、可視化が遅れた。これは日本のEC化率の成長鈍化の理由の一つになっているとも言われています。

物流の可視化ができたこと。これは全てにおいてデータベース化ができたって意味です。昔はそれができなかった。物流は安心ではなかったのです。はたして物が届くのか?見えなければそれがわからない。

それがテクノロジーの進化によって見えるようになった。だから世界中でECが増加しました。

現在、海外の物流企業のほとんどは発送時だけでなく、倉庫内の状況も可視化できていて、どの倉庫で誰がいつ何の作業をしてるかまでわかります。ということは、リードを管理されてるということになるので購入者の手元に届くまでの時間短縮や安心にも貢献することになります。

実は、他は昔とあまり変わっていないそうです。この可視化だけが変わった。しかしこの変化は物流業界のイノベーションになりました。とても懇意にしている外資系物流企業の社長が言います。

「物流業界ってそんなにイノベーションは起きていないんです。そもそも変えちゃいけないことも多いですし、基本はモノを届ける職業ですから。ただ、オペレーションの見える化。この早期対応は物流の世界を変えました。50年前と変わってるのはあえて言うとココだけです。買った後にすぐ発送するのが物流です。その可視化がDX。その対応がどの業界よりも早かった。」

変えないところ、そして変えるところ。そこがはっきりしている業界はすごいなとこの言葉で思いました。

物流業界もコロナ前とは世界が変わりました。SLAというサービス品質補償制度も導入され始めてきました。物流側とサービス側双方で協力し合いながら、更に買いやすい送りやすい世界を創っていくことが我々にとって大切なことだと思います。

「倉庫、一番大事」
僕はいつか物流企業に就職したいと思っているほどシンプルにこう思っています。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 恩蔵 優(おんぞう まさる)

得意分野 / 大中小規模コマース運営、事業創造、越境EC、グローバル物流、HRBP人事
1976年生まれ、日本大学法学部卒業。 起業やIPOを複数経験し、スタートアップから大企業まで第一線で戦い抜いてきながら小規模ながら個人投資家としての側面も持ち合わせる。
(株)ネットプライスをきっかけに2005年からEC界に入り、ITに物販の知識を組み込み、バイヤー及びマーチャンダイザーとして注目される。
その後広告代理店・アパレル・EC・グローバルSNS企業等のMGR・CxOを歴任。
オンライン・オフライン関わらず20年以上モノに関わり、国内仕入れから越境ECまで熟知するマルチプレイヤー。


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