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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol㉚ ロックダウンのニューヨークで見た新たな社会とは?

【人生100年時代とコロナ禍に共通すること】
今年はTOKYO2020の年であり、私は「ABS元年」と提唱していました。それは高度経済成長期に生まれ育ち、バブルの影響を受けた昭和30年代生まれが、今年から順次65歳になり、ライフシフト時代で世の中が大きく変化すると感じていたからです。

しかし、よもやのコロナ禍で、私たちの暮らしは別の意味で大きく変化せざるを得ない状況に追い詰められ、私も緊急事態宣言発令時は戸惑いを隠せませんでした。
しかし、シンプルに考えると、ライフシフトもコロナも共通しているのは、人類未体験の現実に、経験値がないことからくる「先が読めない不安」です。
「ニーズは不の字に隠されている」とお伝えして来ましたが、ピンチをチャンスに変えるには、固定観念を外した大胆な発想で、人間の「不の字」を解決し、「ワクワクさせる」ビジネスを提案することにあると感じています。

【モノやコトに理念や哲学があるか?】
そんな中で、親交の深いニューヨーク在住のワタナベカツアさんと、ライフシフト時代のビジネス企画で、頻繁にZoomミーティングしています。
カツアさんは、1980年代にパリのイヴ・サンローランでデザインを行った後、クリエイティブの範囲をファッション&ビューティーに広げ、現在クリエイティブ・ディレクターとしてライフスタイル提案のビジネスを行っています。

ロックダウンのニューヨークで、ウィズコロナ社会を経験するカツアさんによると、これからのビジネスは、人間の感性や右脳のセンサーを生かし、人々の未来と幸せに役立ち、社会にとって有益な「モノ・コト」しか必要とされなくなるということです。企業理念を掲げるように、ビジネスもクリエイティブも、崇高な理念と哲学によって導き出す必要があるといいます。

【「あつ森」が大ヒットした分かりやすい理由】
欧米のロックダウンや日本の緊急事態宣言と同時期に発売され、大人気の任天堂ゲームソフト、「あつまれどうぶつの森」のヒットをカツアさんと私で洞察すると、ステイホームの「巣ごもり消費」にマッチしたという理由もありますが、それ以上に人間の基本欲求を満たす要素が面白く提案されているところにあります。

それは「帰属欲求(コミュニティに属する)」、「承認欲求(誰かの役にたち笑顔で認められる)」、「自己実現欲求(唯一無二の自分らしさを発見して確信する)」が、あの「無人島」で満たされるからです。現実社会は様々な要因でこうした欲求を十分満たせない現代人の「不の字」を、ゲームという架空の世界でユートピアを創造することで、ワクワクした時間を過ごせるところに大ヒットの要因があります。ゲーム中の「アバター」は、本来の「理想とする自分自身」を描写しているようです。

この「帰属欲求⇒承認欲求⇒自己実現欲求」を満たすところに、人間の幸せがあります。昨今のマーケティングキーワード、「トキ消費」、「体験消費」、「応援消費」など、すべて人間の本質的欲求を満たす価値です。

【夢を形にするために!】
これからの社会は、「あつ森」で満たされるような欲求が、架空ではなく本当に満たされる、そんなビジネスやモノ・コトが望まれています。そうすることで、「競争社会」から「共存繁栄社会」に進化します。

こうした「イノベーション」を可能にするため、幸いにも今の私たちには、「マーケティングマネジメント・ビッグデータ・IT(情報技術)・AI(人工知能)」といった、「人間に従う優秀な家来」がいます。
家来を有効活用するには、人間自らが「面白い・楽しい・ワクワクする」ことをアイデア出しして、「世の中をこうしたい!こんなモノ・コトを社会に提案したい!」という熱い想いがスタートのポイントです。
スティーブ・ジョブズやイーロン・マスクのように。日本人で言えば、ABS世代に馴染み深い、手塚治虫が鉄腕アトムで描いた未来や、円谷英二がゴジラやウルトラマンで空想した特撮映画の世界のように、人間自らが考えて家来を使い、誰でも「夢を形にしてワクワクする時代」がやって来たのです。
(ABS世代 昭和30(1955)年から43(68)年生まれで現在51歳から65歳の、若者時代にバブルを謳歌した世代。)

えとき:人間の感性がますます生きる時代にシフト

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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