地方の小売店におけるEC売上と実店舗売上の関係
地方の小売店において、ECと実店舗の売上の関係は、業種やビジネスモデルによって大きく異なります。以下に、いくつかの代表的な業種について、EC売上と実店舗売上の関係を詳しく説明します。
アパレル業界
アパレル業界では皆さんご存じの通りECの普及が顕著です。特に、ZOZOTOWNやユニクロなどの大手ブランドは、ECサイトを通じて全国的に商品を販売していますが、地方の小売店でもニッチな商材展開をEC活用することでメリットも生み出せます。実店舗では、顧客が実際に商品を手に取って試着できるため、購買意欲を高める効果があります。また、実店舗での接客を通じてブランドのファンを増やすことも可能です。
自然が豊富なエリアでは、アウトドア用品や登山用品を専門で扱うショップがあり、お店ごとに非常にこだわりを持ったアイテムの販売が行われています。またそのようなアイテムやショップオリジナル商品などはECの流通に乗ることが少なく、時間をかけて実店舗に足を運び、実際に手に取って使用感を確かめて購入し、その後ヘビーユーザー化するマニアが多い事も特徴です。
食品業界
食品業界では、ECの普及がかなり進んでいるものの、実店舗の売上が依然として重要な役割を果たしています。特に、生鮮食品や日配品などは、消費者が直接手に取って品質を確認したいというニーズが強いため、実店舗での購買が主流です。また、その地方ならではのご当地商材も人気であり、実店舗でしか流通しないものも多く見受けます。
実店舗展開の利点としては、生活時間の中に食材の購入が必須であることと、生鮮食品や日配品は消費者が直接手に取って品質を確認できるため、実店舗での購買が主流です。また、地元の顧客との信頼関係を築くことができるため、リピーターを増やす効果があります。
地方に多い特産品販売について詳しく触れてみます。
特産品のEC売上と実店舗売上の相互補完が可能であることが特徴となります。特産品の販売においては、EC売上と実店舗売上が相互に補完し合う関係にあります。例えば、実店舗で購入した顧客が、帰宅後にECサイトで追加購入するケースも多く見られます。また、ECサイトで特産品を知った顧客が、実店舗を訪れて直接購入することもあります。
地方の小売店における特産品のEC売上と実店舗売上の関係は、相互に補完し合う関係にあります。ECを活用することで広範囲な顧客層にアプローチし、地域の魅力を広めることができます。一方で、実店舗では顧客との直接的な接触や地域コミュニティとの連携を強化することができます。特産品の販売においては、ECと実店舗の両方を効果的に活用することで、売上を最大化し、地域の活性化にも貢献することができます。
家電業界
地方でローカル展開を行っている家電業界では、ECと実店舗の売上が相互に補完し合う関係にあります。特に、高額な家電製品は、消費者が実際に商品を確認してから購入することが多いため、実店舗での売上が重要です。 実店舗の利点として実際に商品を手に取って確認できるため、消費者の購買意欲を高める効果があります。また、修理等での持ち込みやすさや実店舗での接客を通じて、消費者に対する手厚いアフターサービスやサポートを提供することができます。壊れた家電や買い替えが必要なものの処分においてもスムーズに行いやすいというメリットもあります。
書籍・文具業界
書籍・文具業界では、ECの普及が進んでいますが、実店舗の売上も依然として重要です。特に、書籍や文具は実際に手に取って内容を確認したいというニーズが強いため、実店舗での購買が主流です。実店舗の利点としては、実際に書籍を手に取って内容を確認できるため、消費者の購買意欲を高める効果があります。また、文具に関しても、実際に手に取って使い心地を確認できるため、実店舗での購買が主流です。
ドラッグストア業界
地方に展開するローカル形式のドラッグストア業界では、ECと実店舗の売上が相互に補完し合う関係にあります。特に、医薬品や化粧品などは、消費者が実際に商品を確認してから購入することが多いため、実店舗での売上が重要です。実店舗の利点としては実際に商品を手に取って確認できるため、消費者の購買意欲を高める効果があります。また、実店舗のメリットとしてすぐにスタッフに質問ができるため、接客時間の獲得も容易に可能である点もあります。
最後に大きなポイントとして実店舗運営とEC運営の売上構成比においては、しっかりと計画を立てる必要があります。ECは現在複数店舗展開を行っている中での1店舗として考える、ある程度の売上規模になるまでは自社配送を行い、実店舗在庫を活用する。モールなどの販売手数料を抑えるための実店舗売上計画の再構築を行う等々、自社の特性や強みを十分に考慮した戦略を立て、ECと実店舗の売上をバランスよく活用することで、地方の小売店でも広範囲で顧客層にアプローチし、事業の成長を図ることができます。
理事【小林厚士のプロフィール】
地方型Eコマース経営・運営総合的アドバイザー
主な経歴
1996年:建設業にてCADとの出会いによりPCへの可能性に目覚め転職を決意
1997〜99年11月:自作PC制作、販売、環境構築、法人向けトレーナー
サービスを展開
1999〜05年3月:ネット販売会社設立 2箇所の海外支店をハブに、最大7店舗のネットショップ運営展開を行う
2005年4月〜:アイズモーションウェブコンサルティング設立
2007年6月:株式会社アイズモーション設立
2013年:WEB・EC及び経営コンサルティング支援を行い現在に至る
・99年より楽天市場出店を期に、最大7チャネルのECサイトを運営
楽天店舗では02年楽天ショップオブザイヤースーパーオークション賞受賞
・長野県・新潟県・富山県・山梨県登録専門家(IT部門)
長野商工会議所経営革新支援アドバイザーセンター 登録専門家
経済産業省中小企業支援ネットワーク強化事業 認定専門家
物販で培ったマーケティングノウハウを活かし、経営視点かつ現場最優先の実践的なコンサルティングを得意とする。