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日本のAI市場の現在地

生成AIへの急激な注目
2022年11月に米国OpenAI社よりChatGPTがリリースされて以降、世界中で生成AIが話題をさらっていることは既知の通りです。日本でも生成AI(主にChatGPT)をビジネスに活用した事例が日に日に多くなっています。どれくらい注目を集めているのか定量的に把握したく、日経新聞(朝刊・夕刊)、朝日新聞、読売新聞において「生成AI」が登場した記事本数を以下の通り調べてみました。なお、比較対象として「メタバース」も同様に記事本数を調べてみたところ、興味深い結果が出ています。メタバースは2022年初から増え始め2023年1~3月には206本の記事本数でしたが4~6月には118本にダウン。一方生成AIは2023年に入り急激に記事本数が増え始め、4~6月は754本もの記事が掲載されています。このことから生成AIへの注目度の高さを知ることができます。

「生成AI」の単語が登場した記事本数(メタバースとの比較)
対象:日経新聞(朝刊・夕刊)、朝日新聞、読売新聞

2021年 2022年 2023年
 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-5
生成AI 1 0 0 1 1 10 61 754
※メタバース 5 73 154 165 149 186 206 118

出所:日経テレコンを使用して筆者検索により記事本数をカウント

日本のAI市場規模は3,675億円
生成AIの登場以前からAIはもちろん存在していました。日本国内での2022年のAIシステム市場規模は3,576億とされています(出所:IDC ※Statista経由での取得)。またその市場規模は2026年には8,121億円にまで増加すると予測されています。この間の年平均成長率を計算すると22.8%。実際にはそれ以上の規模にまで拡大するかもしれませんし、逆に予測よりは少なくなるかもしれません。ですがいずれにせよ経済・社会においてAI、特に生成AIは今後ホットなテーマの一つであることには違いないでしょう。世界的にはAIが経済・社会で存在感を増すことについて警戒感が強い傾向も見られますが、日本政府は内閣府内にAI戦略会議という会議体を設置するほど本腰を入れています。この点からもAIの活用は不可逆的と思われます。

世界との比較では小さい日本のAI市場規模
一方世界のAI市場規模ですが、2022年は1,423億USドルとのデータがあります(出所:Next Move Strategy Consulting ※Statista経由で取得)。1ドル140円で計算すると19兆9,220億円となります。その規模は2026年には5,829億USドル(81兆6,060億円)にまで増加すると予測されており、年平均成長率は42.3%となります。世界全体ですので膨大な規模感ですが、2022年基準で世界のAI市場規模における日本のシェアを計算すると3,576億円÷19兆9,220億円=1.80%となります。さてこの1.8%という日本のシェアですが、大きいのか小さいのかGDPを用いた手法で検証してみましょう。2022年の世界のGDPは100兆 2,184億USドル、一方で日本のGDPは4兆 2,335億USドルです(出所:IMF)。日本のシェアを計算すると4.22%となります。GDPは4.22%ですがAI市場規模は1.80%にしかすぎません。つまりGDPをベースとした比較では日本のAI市場規模は世界と比較し小さいということになります。仮にGDPでのシェアを使用して本来あるべきAI市場規模を算出すると、8,407億円となります。実際には3,576億円ですので、大きな開きがあります。

日本国内のAI市場規模(単位:億円)

出所:IDC(2022年5月時点)※Statista経由で取得

特許数でも劣後する日本
AIに関する特許数も見てみましょう。2022年時点で中国のバイドゥとテンセントはそれぞれ13,993個、13,187個のAIに関する特許を保有しています。また米国ではIBMが9,497個、マイクロソフトが6,356個保有しています。やはり中国と米国の企業がAIに強いことを示しています。またサムスンも8,690個保有しています(出所:LexisNexis PatentSight ※Statista経由で取得)。一方日本はというと富士通が970個、NTTが831個、日立が693個と米国、中国企業と比較すると1ケタ異なっています。この点からも日本は劣後していると言わざるを得ません(出所:日本国特許庁 ※Statista経由で取得)。

ECビジネスとAIとは親和性が高いと考えられています。これから先EC業界がさらなる発展を遂げるためにもAIの積極活用が望まれますが、EC業界に限らず日本の経済・産業全般においてAIを積極的に活用していくムーブメントを醸成していくことが必要でしょう。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 本谷 知彦

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役


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