Walmartにおける返品サービスの向上
Walmartでは、お客様の返品に関する煩わしさを解消するために、さまざまなサービスを提供しています。例えば、店内やオンラインなど商品を購入した場所に関係なく、WalmartアプリまたはWalmart.comを介してオンラインで返品プロセスを開始できるようになりました。これにより、商品が店舗に持ち込まれた後のプロセスをスピードアップできることに加え、店内での返品の際に列に並ぶ時間を節約することができます。また、返品の際は通常レシートの提示が求められますが、店頭でクレジットカードやデビッドカードを使って購入した場合は、そのカードからレジでの購入トランザクションを調べることができ、レシートがなくても返品可能となっております。
以前もご紹介したことがありますが、WalmartはFedExとの戦略的提携により、商品を店舗に持っていかなくても最寄りのFedExにて返品も可能です。この際は、WalmartアプリまたはWalmart.comでの返品リクエストの際に、返品方法として”FedExでのドロップオフ”を選択、QRコードを取得して梱包した返品をFedExOfficeに持って行きます。QRコードの利用により、自宅で返品ラベル印刷をする必要もなくなりました。
さらに、昨年末に発表された新しいサービスとして、無料で自宅まで返品商品を受け取りに来てくれることができるようになりました。”Carrier Pickup by FedEx”と呼ばれるこのサービスは、Walmartからオンラインで購入した商品の返品に関して、自宅での受け取りスケジュールを設定し、商品の返品ラベルを印刷することで、最小限の手間で返品できる仕組みになっています。新型コロナウィルスのパンデミックにより、極力外出が制限されている中、オンラインでの購入が急増しておりますが、この新しい返品自宅受け取りサービスはまさに消費者にとって朗報です。
また、返品に合わせて返金プロセスも改善され、商品の返品がどのような場合でも返金までの期間が短縮されています。現在では、店舗での返品の場合は同日、オンラインによる返品プロセスでの返品の場合は翌日に返金されます。
(イメージは、Walmartのウェブサイトより抜粋)
Walmartの話になりますと、当然Amazonでの返品、返金はどうなっていのるかと思われるでしょう。AmazonでもWalmart同様のサービスを提供しており、家でのピックアップサービスもUPSとの提携によりかなり以前から提供していました。一歩先を行っていたAmazonに、Walmartは今回の発表でようやく追いついたという感じです。ただAmazonでは、商品や返品理由によっては倉庫に戻すためのリストッキングフィーを徴収されます。一方、Walmartではほとんどの商品においてリストッキングフィーは発生しないようです。
では、私をはじめ皆さん気になると思われるのが、リストッキングフィーを徴収しないWalmartでは、返品された商品をどのようにしているのでしょうか。Walmartによりますと、返品された商品は捨ずに、ドネーションに加え、多数のリサイクルプログラムを通じて再生プラスチック樹脂を製造するために利用されているようです。昨年だけで、約86万kgの再生プラスチック樹脂が返品商品から製造され、これらは新たに店舗で販売される920万個以上の商品の製造に再利用されるそうです。
JECCICA客員講師 渡辺泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。