2018年のホリデーシーズンとEコマース総括

毎年11月、12月のホリデーシーズンは、小売業にとってもっとも忙しい2ヶ月間となります。特に11月は、第4木曜日のThanksgiving、翌日のBlack Friday、翌週月曜日のCyber Mondayといったイベントが続き、それらに合わせた大幅なセールが行われます。2018年の11月1日から12月24日までの実店舗とEコマースの売上は、Mastercardのレポートによりますと、対前年比5.1パーセント増の8,500億ドル超となっています。National Retail Federationによる予測値が4.3 – 4.8パーセント増であったことから、その予測を上回り、過去6年間でもっとも売上が高かった年となったようです。それを牽引しているのがEコマースと言え、同じくMastercardによりますと、Eコマースでの売上は2017年より19.1パーセント増加し、総売上高の13パーセント以上を占めました。実店舗での売上が伸び悩むデパートでも、オンラインでの売上は10.2パーセント増加したようです。

下グラフは、昨年のThanksgiving (11月22日)からCyber Monday (11月26日)までの5日間”Cyber 5”のEコマース売上を表したものですが、Cyber Mondayの79億ドルを筆頭に、単日だけでも売上が30億ドルを超えた日が続きました。

Cyber5各単日のEコマース売上高と対前年比

昨年のホリデーシーズンを通して感じたこととしまして、1) セール期間の長さ、2) Eメールマーケティングの最活用、の2点があります。

1) セール期間の長さ
大手小売業者がThanksgivingに先んじてHalloween直後からホリデープロモーションを開始したことにより、11月の最初の9日間におけるEコマースの売上高は、前年同期比で13.3パーセントも増加しております。11月1日からCybr Mondayの26日までのオンライン売上高は585億2,000万ドルとなり、2017年同期の501億ドルから16.8パーセント増加しました。また、Cyber Monday後でもCyber WeekとかCyber Monday Extendedと称して、火曜日以降もセールを継続しているブランドが数多かったこと、小売業以外でも航空会社、レンタカー、ホテルなどサービス業でもセールを行っていたことも特徴として感じます。実店舗でも、Black Fridayセールを前日のThnaksgivingの夕方から始めるところもあり、年々セール開始時間が早まっている感があります。

(イメージは、各ニュースレターより抜粋)

2) Eメールマーケティングの最活用
昨年のホリデーシーズンではとにかく多くのEメールを日々受け取った印象が強いです。11月21日から27日までの1週間で、実際に私がNordstrom、Neiman Marcus、Bloomingdale’sの各デパートから受信したニュースレターの数は次のグラフのとおりです。Neiman MarcusのEメール量が抜きん出ているのがよくわかります。

また、下記にまとめたとおり、Grouponは、11月22日から24日までをGroupon BlackFriday、25日から27日までをGroupon Cyber MondayとSenderを使い分けて、通常のEメールと区別しニュースレターを配信していました。多い日は1日に5通も配信しています。

最後に全体的なもう一つの特徴として、モバイルコマースの対前年比の高さがあります。Adobeによりますと、モバイル売上は対前年比 11.6パーセント増、スマートフォンはウェブ訪問の48.3パーセント、売上の27.2パーセントを占めたということです。タブレットはウェブ訪問の8.8パーセント、売上の9.6パーセントを占めており、モバイルデバイスで見ますとウェブ訪問の半数以上を占めたことになります。画面サイズの大型化、モバイルデバイスでのページ最適化やアプリの改善、チェックアウトの合理化などにより、利便性が大幅に向上したことが要因と考えられます。