楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol㉒ 「1億総スティーブ・ジョブズ化計画」、人間の感性がより重要視される時代に!
【私がいまだに本を書店で購入する理由】
実は私はいまだに本をわざわざ書店で買っています。理由は簡単で、書店で「立ち読み」が好きだからです。雑誌も新刊書籍も、時間が空くと書店に立ち寄り、気に入った雑誌や書籍を購入します。但し最近は好きな書店がどんどん少なくなりましたが・・(笑)
書店に寄ると人気書籍や推薦書籍が平積みされていますが、最近のビジネス書や自己啓発系の書籍を見てみると、「コミュニケーション力」と「発想力・右脳力」の書籍が目立ちます。これは今の世の中の課題を浮き彫りにしていると思います。
【平成の30年で日本人は論理的思考が高まった】
私は、平成の約30年間で日本のビジネスパーソンはとても「論理的」に物事を考えるようになったと思います。かく言う私自身がマーケティングコンサルタントであり、ロジカルな「左脳」優先でビジネスを行い、様々なプロジェクトに関わってきました。
その一方で最近とても思うのですが、「右脳」をビジネスで活かす場面が減っているのではないか・・?と。
それは何を意味するかというと、「私はこう考える」とか「私はこう思う」という、人間の感覚的・直感で思うことを、安易に言葉にしなくなっていると思うのです。その理由は根拠が明確でないことが、気軽に発言出来なくなっている職場環境にありそうで、皮肉にも論理的思考やマーケティング、そしてデータの分析が普及したため、発言に対して「〇〇さん、何故?そう言えるんですか?why so」といわれると、返す言葉がなくなるからです。
【勘と、度胸と、経験の意味とは?】
ロジカルなマーケティングの対局は「勘と、度胸と、経験」と伝えて、それだけでビジネスの意思決定することは大きなリスクを伴うと、これまで再三クライアントや研修セミナー等で伝えて来ましたが、経験値が増してベテランになるほど、この3つはとても研ぎ澄まされていき、成功する確率は高まると改めて感じています。
考えて見れば、私たちは日常のプライベートの多くは「右脳」で行動しています。何か意思決定する際に、よほどのことでない限りロジカルに物事を考えず、感覚的に行動しています。そうした経験を積むことで勘も働くようになり、これまでやったことがないことでも、まずトライして失敗から学び、成功する確率を高めています。日常生活では「感性や感情」が大きく働いているのです。
【これから求められるビジネススキルは「右脳」から推察する仮説力】
ロジカルなビジネスでは、調査結果やデータの数字を重要視します。それを踏まえたマーケティングやビジネスが行われていますが、成熟市場・飽和市場で、特に「欲しいモノ・コトがない・・」とか、人類未体験の「人生100年時代」に、健康長寿社会でどんなモノ・コトが人間を豊かにするのか?こうした未知・未来の領域は、調査結果からなかなか読み解けません。
こう考えると、ライフシフト時代のビジネスやマーケティングは「右脳を優先した感性や感情」を使い、「仮説力」を研ぎ澄ますしかないと私は確信しています。
【デジタル社会だからこそ、好奇心あるアナログ感覚が大切】
では「仮説力」を研ぎ澄ます術とは何か?答えはいたって簡単です。それは世の中の動きや流行りを体験し、好奇心を持って自ら出かけて人間観察を行い、「この商品はこんなところが人をハッピーにさせるんだ」とか、自分軸で良いので「こんなコトがあれば楽しい」、「こんな所があれば行ってみたい」というように、自分のアナログな感性や感情から仮説を構築するのです。
マーケティングのフレームワークはあくまで「型」であり「方程式」です。その方程式に自分の仮説を当てはめないと、ユニークな結果、つまり新規のビジネスやモノ・コトは生まれません。
【AI時代に人間の仕事は奪われない、だれでもジョブズになれる!】
私は今まで、アップルの創業者「スティーブ・ジョブズ」は、発想の天才だと思っていましたが、最近その考え方を改めました。彼は「こんなモノがあれば面白い」と思ったことを大胆に意思決定して実現した、その実行力がすごいと思うのです。
私は39歳で若い頃に好きだったディスコ通いを復活させて、気が付けば何と20年通い続け、現場の空気感を肌で感じて、さまざまな人と話をしました。言ってみれば自然と20年間の定点観測を行っていた訳で、フォーマルなインタビュー調査ではなかなか出てこない、人間の本音を多くの人から聞いたことで、私なりの「ライフシフト時代の回答」を導き出したのです。
この経験から感じることは、私は誰でもジョブズになれると思うのです。そのためには、「自分で世の中を見て、楽しい・面白いことを日々考える」、「人との無駄話はアイデアの宝庫であることを認識し、プライベートで体験した、あるいは考えた楽しいコト・面白いコトをビジネスに生かす」ことです。こうした人間の仮説とマーケティングのフレームワーク、そして様々なデータが重なることで化学反応が起き、ユニークなビジネスやモノ・コトが生まれるのです。
AI(人工知能)時代に臆することはまったくありません。「コミュニケーション力」と「発想力・右脳力」を活かし、自分の感性や感情を優先したクリエイティブなビジネスを構築・発信し、人間を「ドキドキ・ワクワク」させる、そんな新たな時代に突入したと思う今日この頃です。
JECCICA客員講師 鈴木 準
株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント