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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.91 【マーケティング・ジェロントロジーで「健康寿命」は延ばすことができる!】

ジェロントロジーをマーケティングに生かす意義
前回のコラムでお伝えしたように、ジェロントロジーとは、人間が発育成長を終えた20歳前後から始まる「加齢(老化=機能不全)」の科学であり、人間が年齢とともにどのように成熟していくかを、学際的(複数分野を横断して研究すること)に解き明かす学問です。私はこの知見をマーケティングに活用し、「人がワクワクする」モノやサービスの製品開発やプロモーション企画の提言、そして現場での実務に携わっています。これらは結果的に「健康寿命延伸」に繋がっていきます。
人生100年時代と言われていますが、かつて人類が経験したことのない社会であり、未知への不安から、現在の健康情報は「不安解消」に偏りがちです。不安解消も必要ですが、それ以上に、人間が本来もつ力、「好奇心、人や社会とのつながり、役割意識」を引き出すことこそ、健康的でQOL(生活の質)向上につながります。ジェロントロジーの学びは、私にとって「人生のOSをアップデート」したように、多くの人の考えや行動を変える可能性があります。

「固定観念」を拭うと、人は自由になり健康につながる
私がジェロントロジーで学んだ最大の教訓は「固定観念の払拭」です。人間は年齢を重ねて経験が増すと、表裏一体で「これはこういうものなんだ!」という思い込み、つまり固定観念が増えます。そして年齢に関して「もう年だから」「挑戦することは若い人のもの」といった固定観念は、身体機能よりも先に「心の衰え」を招きます。私自身、60歳手前でジェロントロジーに出会い、まるで古いパソコンを再インストールしたかのように思考が軽くなりました。「年齢を重ねるとは、機能低下ではなく“質が深まること”だ」と理解できてから、物事の見え方が大きく変わったのです。こうした認識の変化は、実は心身の健康にも影響します。年齢を重ねることをポジティブに捉えられる人は、寿命が7.5年長いという研究もあります(米国イェール大学やオレゴン州立大学の研究)。
つまり、健康寿命を伸ばす第一歩は、「ものの見方を変える」ことです。

人間の本質を理解すると、健康であり続ける行動が自然に生まれる
加齢科学の知見をマーケティング視点で読み解くと、人間が本来備えている「健康を維持する力」が見えてきます。例えば一例をご紹介すると…
人を笑顔にすると、自分も元気になる
オキシトシンやセロトニンなど「幸福ホルモン」は、他者との思いやりのつながりから分泌されます。「誰かのために役立つ行動をする」「人を笑顔にする」ことは、脳と身体を同時に若返らせる行動です。これは製品開発でも重要なヒントになります。「コミュニティを形成し、人を笑顔にする仕組み」は、それだけで健康効果をもたらす価値になるのです。
好奇心は脳の若さを保つ「内部エンジン」
ジェロントロジーでは、認知機能維持の重要項目として「新たな体験」が挙げられます。人と知り合う、恋愛をする、新たな学び、旅やエンタメなど非日常体験、新しい趣味を始めるなど、好奇心の火種を絶やさない生き方は、ワクワクだけでなく脳の健康にも寄与します。マーケティング視点では、「好奇心が持続する仕組み」が製品価値の本質となります。
50代は「人生第二幕」のリスタート期
50代になると、女性だけでなく男性にもホルモンバランス(更年期)による身体的変化、子育ての終了、定年退職、親の介護問題など、役割や価値観の大きな変化が訪れます。この変化を「年齢からくる衰え」と捉えるか、「新しい自分のスタート」と捉えるかで、健康寿命の伸び方は大きく変わります。マーケティングはここに寄り添うべきであり、「50代からのリスタートをデザインするモノやサービス」は巨大市場であり、社会課題の解決にもつながります。

マーケティング・ジェロントロジーが生み出す「生きがい消費」
健康長寿社会を形成するために本当に必要なのは、「不安を減らす消費」ではなく、「生きがいを増やす消費」です。ワクワクする体験、心が満たされるコミュニティ、好奇心を刺激する学びなど、これらはすべて健康寿命と直結します。そこで私は「マーケティング・ジェロントロジー」を、次のように定義しています。ジェロントロジーの科学的知見を基盤に、人間の本質を理解し、ワクワクするモノ・サービス・体験を企画・提供するマーケティング実践学。マーケティングは「欲望を刺激する技術」から「人を元気にする技術」にアップデートすることが可能です。そして、その先にあるのは、年齢を重ねるほど人生が面白くなる社会です。

健康寿命は「日々の小さなワクワク」から延びていく
日本では「健康寿命=医療と運動の問題、高齢者を対象とした問題」と政策的に語られがちですが、ジェロントロジーでは、老若男女すべてを対象にした、身近で親しみやすい提言が示されています。
好奇心がある/誰かに必要とされている/役割がある/ワクワクしている/笑顔が絶えない、これらはいずれも心と体、更には外見にも良い影響をもたらし、日々の行動を増やし、コミュニティ参加を促すことで、人間の生きがいを育てます。つまり、時代が変わっても絶対変わらない「人間の本質」に、加齢科学である「ジェロントロジー」を活かすマーケティングは、そのまま「健康寿命延伸プログラム」となります。

ジェロントロジーは「高齢者」だけの話ではない
日本では「加齢学・老齢学」と訳され、高齢者福祉や介護の領域で、「お年寄りを元気にする学問」と狭義に理解されがちですが、欧米ではもっと広義に解釈され、多くの若者が大学でも学んでいます。
従って「マーケティング・ジェロントロジー」は、単にシニア市場攻略法ではありません。人間が本来持つ力を引き出し、日々の行動を変え、人生の深まりを価値にする、未来をつくる新しい実践学です。
健康寿命は、ワクワクし、生きがいを感じることで延びます。その企画を立案するマーケターが求められていると、私は感じています。

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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