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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.80 【50歳以上過半数社会と「新たな大人市場」の到来③】

「新たな大人市場」に向けた成功事例
現在50代半ばから60代である、昭和30年から43年頃までに生まれた「ABS世代(アクティブ・バブル・シニア)」は、前回お伝えしたように「戦後日本が一番元気だった時代」に生まれ育ち、今では「普通にスマホを使うデジタル世代」です。従来のシニアのターゲット像とは激変した「新たな大人世代」向けビジネス、3つのポイントを「リアリティ」「コト体験=コミュニティとエンタメ」「デジタルとイノベーション」とお伝えしましたが、今回は幾つか事例をご紹介しましょう。

事例①
心のトキメキが得られるサプリメント「サントリーセサミンEX」
サントリーセサミンEXは、今では知名度も高く、利用者も数多いサプリメントの代表商品です。従来から、三浦雄一郎さん、加山雄三さんを起用したクリエイティブで、主に70代中心の、健康でありたい人に向けて「生涯現役で居られるサプリメント」とうコンセプトで訴求を行っていました。70代は何らかの健康に対する「不具合=不満・不調・不安」を抱える、健康が目的化した「顕在ニーズ」層です。

一方で、次の年代層である50代に向けた新たなクリエイティブが、俳優の上川隆也さん54歳を起用し、35年振りに街角で再会した同窓生に「ハッ!とした思いを抱く」大胆なビジュアル。年齢に関係なく若々しく居たい人に向けて「心のトキメキが得られるサプリメント」というコンセプトを訴求しました。

50代は、まだ健康に対する「不具合」はそれほどありませんが、そんな50代に向けてセサミンEXを今から飲むと、若々しく居られて、心のトキメキがある出来事があるかも・・という「潜在ニーズ」層を喚起した、ワクワク感あるクリエイティブの世界観が琴線を捉えた好事例です。同じセサミンEXとう商品でも、クリエイティブのコンセプトを変えただけで、こんなに大きく見え方と価値が変わる好事例です。

事例②
青春時代の「浮かれた生活」への再チャレンジ「パラマウントベッド」
パラマウントベッドは、電動ベッドのジャンルで「病院・介護施設」や「介護レンタル」領域でシェアが高いメーカーです。そのパラマウントベッドは「電動ベッド=介護ベッド」の印象を払拭して、広くマーケットのすそ野を拡大するため、「INTIME」というブランドで、主に60代に向けたプロモーションを行いました。

そのCMは、60歳くらいの男性女性が主役で、昔いろいろな遊びでワクワクしていた、つまり良い意味で「浮かれた生活」を体験した、当時シティボーイ・POPEYE少年とか、JJガールと言われたターゲット層に向けて、再び当時の好奇心を思い出して人生を楽しみましょう。そのために、質の良い睡眠をお届けする電動ベッドが「INTIME」とうコンセプトを訴求したクリエイティブです。

主役の男女が、オープンカーでドライブしたり、サーフィンをしたり、そしてBGMは当時のドライブデート定番でもある、大瀧詠一さんの「君は天然色」が起用され、まさに過去と今、そして未来をシンクロさせる表現でアテンションを引くCMです。そして最後のコピーは「人生にチカラをくれる電動ベッド」。1980年代のキャッチコピーが流行語になった時代、コピー(口説き文句)を重視したアプローチも、このターゲット層のインサイトを良く理解している秀逸なクリエイティブです。

事例③
SNSで同じニーズを持つコミュニティを形成「ディスコ」
ABS世代にとって、若い頃の代表的な大衆カルチャーはディスコです。1978年7月18日に日本でも公開された映画「サタデー・ナイト・フィーバー」は、全世界的なディスコブームを巻き起こし、当時は東京や大阪など大都市のみならず、地方都市にもディスコがある時代でした。

その後ディスコはバブル崩壊後に衰退しますが、2000年頃からリバイバルします。ちょうど当時40歳だった私もその波に乗り、ディスコイベントに繰り出し、今ではディスコはすっかり大人のエンターテインメントとして定着。東京・六本木には復活した「マハラジャ」が賑わい、地方各地でもディスコイベントは大人気です。

その復活ディスコの仕掛け人は、フリーアナウンサーの先駆けでもあった、押阪忍さんの息子さん「DJ OSSHY」こと押阪雅彦さんです。
DJ OSSHYは、ラジオ3本とBSテレビ1本のレギュラーを持ち、ディスコカルチャーやイベント情報を発信。そしてファンは「SNS」を介したオンラインのコミュニティで繋がり、イベント情報や体験を写真や動画で共有。オンライン&オフラインのコミュニティが形成されています。今までのシニア世代では、とても考えられないライフスタイルと消費行動と言えます。

事例④
共通体験のエンターテインメントがエクササイズへ進化「ディスコ」
そしてDJ OSSHYがターゲットのすそ野を拡大したのが、「ディスコ」と言う若い頃の共通体験だったエンターテインメントのコンテンツを、「エクササイズ」にアレンジしたことです。その名も「シルバーディスコ」。当初は高齢者施設に出向いて行っていたイベントを広く開放し、今では誰でも参加出来るディスコエクササイズとして大人気を博しています。

また、ダンサーのSAMさんも「ダレデモDANCE」と題して、理学療法士と共同開発したダンスエクササイズを考案し、イベント実施やDVD販売が好評を得ています。

そして、私の友人で、DJでディスコイベントオーガナイザーのAYANOさんも「DOHAS~Dancestyles Of Health And Sustainability」と題して、主に1970年代のソウルミュージックのステップダンスを一緒に踊るエクササイズを開催。定期的にステップダンスのお披露目を、ディスコイベントのショーケースで行って「仲間意識と継続意識」の向上を図っていますし、同じくディスコダンサーのJINさんも、東京・狛江に「ジンダンスファクトリー」を開設し、カルチャーセンターや行政とも連携して「ディスコ」という、皆が体験したことがあるエンターテインメントをアレンジして、新しいエクササイズを仕掛けています。

エクササイズは、なかなか続けることが難しいと言われていますが、そうした「不満=顕在ニーズ」を解消するため、ディスコのエンターテインメント要素を上手く利用し、皆でワクワクしてダンスを継続することで、結果的に健康増進にも繋がる、一石二鳥の秀逸な企画だと思います。

次回も引き続き、成功事例をご紹介します。

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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