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楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.79 【50歳以上過半数社会と「新たな大人市場」の到来②】

一昔前と劇的に変化したシニア世代!
前回のコラムで、現在50代半ばから60代である、昭和30年から43年頃までに生まれた「ABS世代(アクティブ・バブル・シニア)」の特徴をお話ししました。ABS世代は「戦後日本社会と経済が一番輝いていた時代」、言い換えれば「戦後劇的に社会が変化した時代」を駆け抜けた世代です。50代半ばから60代は、従来から「シニア世代」と捉えられていますが、この10年で社会動向と技術動向の変化で「ターゲット像は激変」しています。普通にスマホを使ってインターネットで情報をキャッチし、SNSで自身の投稿を発信し、普段からECサイトで買い物をする。そんな「新しい大人世代」向けビジネス、3つのポイントをお話ししましょう。
※図①、②、③参照



ポイント①~リアリティ
シニアに対する「固定観念」を捨てて、リアルを知るABS世代の当事者とともに「ポジティブ」な世界観を創ることが基本です。
●実年齢より「マイナス10歳」くらいをペルソナのイメージターゲットにして、製品のデザインやネーミング・パッケージ、そして広告コピーやビジュアルなど「クリエイティブの世界観」はとても大切です。実際に調査結果でも、実年齢より主観年齢は平均で7歳くらい若く、更には二極化しています。いくら製品が良くても、印象やコミュニケーションの伝え方が従来のシニアイメージだと台無しです。
特にABS世代が若かった1970年代から80年代は、広告の「キャッチコピー」に影響された世代であり、「口説き文句」はとても大切です。

●そして若い頃のカルチャー描写(音楽と表現)は、アテンション(注意喚起)を引き、気持ちがワクワクします。過去を思い出すことで、今とこれからに好奇心を持たせる「やる気スイッチ」が入るわけですね。復活ディスコで楽しむ人達も、過去を懐かしんでいる訳ではなく、若い時に体験したことがある「ディスコの非日常空間」が、新しい一歩を踏み出す「トリガー(きっかけ)」になります。つまり「過去」と「現在」、そして「これから」を、うまくシンクロさせる訳です。

●また、人生100年時代のロールモデルとなる人が周囲にいることは大切です。自分よりも年齢が上で、何歳になっても自分らしく生きている「心豊かでカッコ良い大人」は好感度が高く、大きな影響を受けます。
従来だと、イメージキャラクターと称して若々しく見える芸能人がそれを語りましたが、等身大の身近な人の方が当然のことながら共感されて「自分にも出来そう!模倣出来そう!」と感じます。
今の50~60代には、人生100年時代を「自分で考え、実践し、発信している」人が、特に女性はたくさんいます。広告などコミュニケーションに加え、製品開発の企画段階から、こうした一般の方のキャスティングも大きな影響を与えます。

ポイント②~コト体験=コミュニティとエンタメ
戦後の高度経済成長期を経て、1970年代後半から80年代にかけての成熟期「モノからコト」消費と言われた第一世代がABS世代です。これからの新しい人生における「コト体験」を提供するキーワードは「コミュニティとエンタメ性」です。

●年齢を重ねると断捨離と言われ、モノは要らなくなる傾向がありますが、一方では人生での「コト体験」は、以前にも増して欲しいと感じます。また、コト体験が出来る「ハレの舞台」があれば、新しい服を着て化粧をして行きたい、あるいはカッコいいクルマで出かけたい。若い頃はそんなTPOに合わせて消費を楽しんでいた世代でもあるので、「コト体験」の提供を入口に、周辺のモノ消費へも拡がりが期待出来そうです。

逆の言い方をすれば、「モノ」に対価を支払うことで、どんなハッピーな「コト体験」があるのか、つまり「近未来(潜在ニーズ)」を提示してニーズを喚起する訳です。その際のポイントは、あらゆるカルチャー体験があるABS世代ですので「エンターテインメント性」を価値として訴求することは大切です。

●ファン創りには、人間本来が持つ「帰属欲求⇒承認欲求⇒自己実現欲求」を満たす「コミュニティ」形成と活用が重要です。
特に女性は積極的。女性の「イノベーター・アーリーアダプター層」は、人生100年時代のライフスタイルの体現者です。女性からスパークさせて男性を惹きつける。昔のDISCOも女性を無料でお店に招くと、男性が後から付いてきた。それと一緒ですね。「男女雇用機会第一世代」とはいえ、やりたかった仕事を諦めた女性も多数います。彼女たちのお楽しみはこれからです。

またウエルネス関連ビジネスは「エンターテインメント」要素と「コミュニティ」要素を連動させて、継続しやすい仕組み作りが大切。同じニーズを持つ仲間と一緒に続けることが面白い、楽しいと感じることが継続へと繋がります。

●そして「信頼出来る人」からの推奨や口コミは、大きな影響力があります。口コミはリアルもさることながら、一昔前のシニアとは異なり、SNS上で信頼出来るインフルエンサーからの影響を受けます。こうしたインフルエンサーになりうる、イノベーターやアーリーアダプター層であるほど、マスメディアの広告に影響を受けにくい傾向が顕著です。

ポイント③~デジタルとイノベーション
「デジタル」が使えるか、否かは、これからの時代に「QOL:Quality of life(生活の質)」に大きな差が出ますし、事業者側はアナログ時代に比べて「コストと時間」の節約に繋がり、より「顧客接触機会」が増大して、ファンの育成に効果的です。

●デジタルが使えることは、これまでのシニア世代と大きく異なる特徴です。デジタルツールは、シニア3大不安「健康・お金・孤立」を解決出来ると言われています。それはSNSを始め、コミュニティへの参加やECでのお買い物、そして将来的に足が悪くなっても、仮想空間でのエンタメ参加などが可能で、健康寿命の延伸が期待出来るからです。※図④参照

一方で事業者側は若者向けと同様に、デジタルのオウンドメディアが生かせます。今までのような「紙」のコミュニケーションツールは不用となり、大幅な時間短縮とコスト削減効果があります。
アナログメディアや「体験(イベント)」など、様々なプロモーションとSNSの組み合わせは、様々なコト体験の可能性を広めます。

●そして今後は、あらゆるテクノロジーを用いた新たな「価値(CONCEPT)」がある、従来には無いPRODUCT(製品)が可能となります。テクノロジーの進化は「夢を形」にする時代と言えます。ABS世代が子供の頃に、ウルトラマンや鉄腕アトムで見た世界が現実になりつつあり、イノベーションが起こります。
その恩恵を受けやすくする為にも、デジタルツールを使うリテラシーがあった方がQOLの高い人生を送ることが可能となりそうです。

次回のコラムでは、3つのポイントを踏まえた実例を、私の体験も踏まえてご紹介します。

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


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