JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

最新セミナー・イベント情報
お申込みはこちら

楽しく誰にも分かるマーケティング:Vol.73 ジェンダーレスの次は「エイジレス」

「消齢化社会」とは何か?
博報堂生活総合研究所は、昨年「消齢化社会: 年齢による違いが消えていく!生き方、社会、ビジネスの未来予測」という書籍を発売し「消齢化社会」という考え方を発信しています。
これまでマーケティングで市場やターゲットを定義付ける時、年代や世代で決めるアプローチが一般的でした。しかし、実は年代・世代で意識や価値観に違いがなくなってきている現象を発見し「消齢化」と名付けたのです。このような現象は、必然的にビジネスやマーケティング、そして社会に大きな変化を及ぼします。

「Z世代」は昭和好き?
1990年半ばから2000年代生まれの世代を「Z世代」と呼んでいます。現在の年齢で「15歳から20代後半」くらいの若者世代です。最近テレビを見ると「令和と昭和」を比較したバラエティ番組を良く見かけますし、Z世代が昭和歌謡曲をカラオケで歌ったり、アナログレコードに人気が集まっています。
一方では60代になっても、若い頃に流行ったディスコに通う人もいれば、70代や80代のインスタグラマーも珍しくはありません。
先ほどの書籍では、こうした社会の変化が、ここ数年どころではなく30年という長期的なスパンで実際にデータ上に現れていたことを紹介しています。

気持ちの若い高齢者が世代間格差を無くす?
ことしから日本人の人口は「50歳以上過半数社会」になることや、昭和30年から43年あたりの高度経済成長期に生まれ、若い頃にバブル景気を体験した世代を「ABS世代(アクティブ・バブル・シニア)」とお伝えしました。世代間格差がなくなってきた要因の一つに、昭和の時代に比べて今の高齢者が若いことがあると思います。

私は昭和35年生まれで今年64歳になりますが、昭和35年は高度経済成長期元年であり、その後、日本の経済や社会は大きく成長し変化しました。私が物心をついた時にはテレビがあり、新しい家電製品や自家用車がどんどん普及した時代です。そして若者カルチャーが広く浸透した頃に青春時代を過ごした世代も、65歳(前期高齢者)を超えてきています。
そんな時代に生まれ育った私ですが、主観年齢は40代くらいに感じています。

高齢者市場は「趣味と旅行、孫のプレゼントに終活と介護」という考えは、固定観念からくる弊害だと思っています。

「自分らしくありたい!」という人々の「ニーズ」を捉える!
日本が成熟市場と言われて久しいですが、日本人の意識も成熟して「自分らしくありたい!」と感じている人は多いと思います。「自分らしく」という意識や価値観は、自分がハッピーで有り続けるために、周囲を気にせず自分の考えで行動することを意味します。

周囲を気にしない訳ですから「年齢相応」という意識はありません。このような人たちが増えれば、必然的に「消齢化社会」になるはずです。ターゲットを属性で単純に決められたのは昭和の、高度経済成長期の話です。生まれてから約20年勉強し、約40年働き、その後は余生があるといった画一的社会は、経済の伸長と所得の増加に伴い、あらゆる「モノ」が普及したので、属性でターゲットを単純に決めることが出来ました。

今のターゲティングの第一歩は、年齢や性別に関係ない、人間の「ニーズ=欲求」にあります。悩みや不の字を抱える「顕在ニーズ」発見と、従来にはない新たな価値の提案でワクワクを提供する「潜在ニーズ」発掘の双方があります。

市場を見た時に顧客ニーズを満たし、競合が取り込んでいない、自社が勝てる「同じニーズを持つ顧客集団」を発見することが、ターゲティングの一番重要なポイントで、その顧客集団に比較的多い属性という二次的情報として、年齢や性別といった属性を加えます。

「消齢化社会」は、性別に加えて年代も関係なく、同様のニーズを満たすモノやコトが受け入れられる時代です。

少子高齢化は「ネガティブ」ではない!
私の主観年齢は40代くらいとお伝えしましたが、人間の年齢には「実年齢」と「主観年齢(気持ち年齢)」があります。
私が関わった50代~60代に対するアンケート調査で、実年齢と主観年齢の違いを見たところ、実年齢相応に認識しているグループと、実年齢より主観年齢が10歳から20歳若いと感じているグループに二極化していました。後者は年齢を単なる数字としか思っていません。

また若い世代にとって、昭和カルチャーに人気があるのが、戦後の一番元気な時代、人間が人間を喜ばせるため、皆で知恵を出し合い、面白いモノやコトを追求した。そんなアナログな「熱量」と、当時第一線で仕事をしていた戦争体験者の「愛」に、自然と惹かれているのではないでしょうか。

少子高齢化がネガティブに感じるのは「若さが正義」で「年をとることは先細る」といった年齢に対する固定観念です。

新しい時代は、そんな固定観念を捨て去り、人間の本質を知った上で、人間の「ニーズ(欲求)」を自らの体験と考えから導き、ユニークな「コンセプト=価値」を提案する時代だと確信しています。

JECCICA客員講師 鈴木 準

株式会社ジェイ・ビーム マーケティングコンサルタント


 - JECCICA記事, お知らせ, その他, コラム, ニュース

JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会

Copyright© JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 , 2024 All Rights Reserved.s