2024年のサイバーウィークの傾向
Adobeの発表レポートによりますと、今年のサイバーウィーク(感謝祭からサイバーマンデーまでの5日間)でのオンライン売上は、下表にあるとおり、前年比8.2パーセント増の411億ドル(日本円換算で6兆円超)となり、過去最高を記録しました。また、オンライン売上が1年で最も高いと言われるサイバーマンデーでは、前年比7.3パーセント増の133億ドルでした。このうち、全体の57パーセントがモバイルデバイス経由ということで、こちらも過去最高となっております。
11月28日 感謝祭 |
11月29日 (ブラックフライデー) |
11月30日 | 12月1日 | 12月2日 (サイバーマンデー) |
5日間合計 サイバーウィーク |
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売上 (1ドル=150円) |
61億ドル (9,150億円) |
108億ドル (1兆6,200億円) |
109億ドル(1兆6,350億円) | 133億ドル (1兆9,950億円) |
411億ドル (6兆1.650億円) |
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前年度売上 | 56億ドル 8.9%増 |
98億ドル | 103億ドル | 24億ドル | 380億ドル | |
前年比 | 10.2%増 | 10.2%増 | 5.8%増 | 7.3%増 | 8.2%増 |
サイバーマンデーにおける割引率は、電子機器が定価の30.1パーセントと最大で、次いで玩具26.1パーセント、衣料品 23.2パーセント、テレビ 21.8パーセント、コンピューター 21.5パーセントとなっており、 各カテゴリーでかなりの割引が行われていました。サイバーウィークの後は、割引率はピークからは下がりますが、それでも今後数週間はセールが続くと予想されています。これにより、2024年11月1日から12月31日までのホリデーシーズン全体のEコマース売上高は、前年比8.4パーセント増の2,408億ドルに達すると予想されています。
レポートの中で興味深いのが、生成AI搭載のチャットボットによりサイバーマンデーの小売サイトへのトラフィックが前年比1,950パーセントも増加したということで、これは消費者がお買い得品を見つけたり、商品をすばやく見つけたりするためのショッピングアシスタントとしてチャットボットが果たす価値を示していると言えそうです。また、ソーシャルインフルエンサーの影響も高く、ソーシャルメディアのインフルエンサーを含むアフィリエイトとパートナーのサイバーマンデーにおける収益シェアは前年比6.8パーセント増の20.3パーセントとなっており、インフルエンサーおよびそのコンテンツの重要性を感じます。
今まで何度かご紹介したことがありますBNPL(今すぐ購入して後で支払う)の利用は引き続き増加しており、サイバーマンデーでのBNPLによる売上は前年比5.5パーセント増の9億9,120万ドルに達し、過去最高を記録しました。BNPL取引の大部分はモバイルデバイスで行われ、サイバーマンデーでのシェアは75.2パーセントだったそうです。
ところで、サイバーマンデーは引き続き今シーズン最大のオンラインショッピングデーではありますが、前年比の成長を見ると、感謝祭とブラックフライデーの方が上回っております。これは、ショップ側が早期から高い割引率を提供したことにより、消費者を十分に惹きつけた結果と思われます。
Adobe Analyticsデータに基づくこのレポートは、アメリカの小売サイトへの1兆回以上の訪問、1億のSKU、18の製品カテゴリーを網羅しており、アメリカにおけるEコマースに関する包括的な見解を得られます。

JECCICA客員講師 渡辺泰宏
カリフォルニア在中チーフエグゼキュティブ、戦略ビジネスコンサルタント。日米の顧客に対し、新規ビシネス戦略立案および解約、新規パートナー開拓、コーポレートマーケティング、オンライン、ソーシャルメディア、モバイルマーケティングの戦略立案、EC市場動向分析及び商会等の戦略的コンサルティング。