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「時間をクリエイトして」ECに付加価値を

ECが身近になったからこそ一段上の価値を
これからECは「時間をクリエイトしていく」ことで更なる高みを見ることができると思っています。勿論、ECはごく日常に多くの人に馴染んで、今の使い方でも十分、お客様を満足させているでしょう。
でも、それだけ市民権を得たからこそ、多くの商品が入ってくることになり、熾烈なバトルが続くことにも繋がります。だから、そこで勝ち抜く上で、僕は「時間をクリエイトする」という発想が大事だと思うようになりました。

そもそも、その着想が生まれる発端は、僕のメディアのコミュニティでのことでした。そのオフ会ではECサイトの店長が、同じくコミュニティの仲間が見守る中で、ライブコマースにチャレンジしました。それこそスマホ一台で、「フューチャーショップ」のオプション機能を使えば、専門機材なしで、それができてしまいます。

ただ、それを踏まえて一段高いところで、ECの可能性を実感させる出来事が起こりました。「ところてんの伊豆河童」の店長 栗原康浩さんの協力で、ライブコマースで販売する商品を、事前にヤマト運輸の倉庫に入れておき、その販売に、とある趣向を凝らして、お客様を驚かせたいと考えていたのです。

ライブ配信だからこそ生まれる体験価値
驚かせる?どういうことでしょう。実は、その裏側で「ところてんとあんみつのセット」に関しては、その配信終了の「19時までに注文すれば翌日に届く」ことをアピールしたのです。

実は、この企画は、ヤマト運輸からの提案がきっかけになりました。ヤマト運輸いわく、コロナ禍に、茨城県のメロン農園が、オンラインマルシェ「Komerco(コメルコ)」で、「収穫体験を販売した」というのです。
つまり、「収穫体験」として、4500円を参加費用として回収し、その金額にメロン2玉と送料を含ませていたのです。だから、視聴者は、農園をライブ配信し、農家の人と共に歩いている感覚で、「それ、欲しい!」とリアルタイムでお客様が言えば、選んだメロンが届くわけです。ここで、ヤマト運輸が絡んでいる理由は、「朝に注文して、夜には届く」ことを形にしたからです。

どうでしょう。その場に行ったかのような体験に感じられませんか。メロンではなく体験ごと「販売」したわけです。この臨場感は自宅と農園をライブコマースで繋ぎ、配送品質を活かすことによって実現したわけです。それに近い取り組みができないか。その声がきっかけで、やってみたのが、僕らのメディアでのオフ会企画でした。

本当に心から驚くお客様
流石に朝一は難しい。ただ、それらの「ところてんとあんみつ」のセットは、19時までに注文を促し、「翌日にその味を堪能しよう!」そう呼びかけることにしました。そして「伊豆河童」の受注担当は、19時半までにヤマト運輸にデータを渡すように連携。それさえできれば、翌日の早い段階には届く配送環境が、ヤマト運輸には整っています。

幸いにして、常時100人以上が視聴し、いいね数は約5000も得られて、その日は無事、完売。ほっと肩を撫で下ろしたのも束の間、翌日のXのとある投稿に目が止まり、僕は鳥肌が立ちます。その投稿は、お客様のもの。試食をしてくれたアイドル柊木まあやさんのファンが、美味しそうな姿に見とれ購入したようです。ただ、その内容は、届いた時間の速さに対しての驚きでした。投稿には、こう書いてありました。

「大変だよ!まあやさん、もう届いたよ!爆速で、驚いた」。

投稿時間は朝10時23分。繰り返しますが、前日の19時までに注文した商品が、翌朝、目覚めたら、もう届いているわけです。ヤマト運輸によれば、最短で朝8時くらいに届いているだろうとのことでまた、驚く。
 「注文して、就寝して、インターホンのベルで目が覚めたら、その商品のお届けだったら、ドラマですよね」。ヤマト運輸の中西優さんと重光翔太さんは、そう配送の可能性を想い、その結果を満足げに顔を見合わせました。

いかにコストだと思える要素を付加価値に変えるか
その後、トランスコスモス・デジタル・テクノロジー社長の所年雄さんとその振り返りをした時には「それこそが、これから店舗が意識すべき、ECのあり方」とも言われました。要するに、商品と配送は、最初から切り離して考えられがちな現状にあります。けれど「商品」と「届ける」という行為をセットにして、サービスのように商品訴求していくと、もはやそこで配送代が云々と言わなくなる。なぜなら、配送が体験の付加価値となっているからです。

そこに所さんが価値を見出す理由は、語弊を恐れず言えば、トランスコスモスのメイン事業であるコールセンターも、配送と同様に、コストセンターと捉えられがちだからです。日々、どう付加価値をつけるか考えている。だからこそ、この事例はやっぱりそれが正しいと気づかせるもので、我々も本腰入れて、何かすべきだと語っていました。

つまり、これらは、目に見えない「時間をクリエイトしていく」ことで生まれるビジネスチャンスで、ECだからこそ、生まれるワクワク体験です。
ECは多様性を持たせて、複合的に体験価値を向上させることで、よりボーダレスに直感的に、商品にたどり着けるようになります。それは、お店とお客様との関係性もより特別なものにする要素になりうるものです。ECが当たり前になったからこそ、これからできることがある。今まで以上にECは目的ではなく、手段へと変わっていくでしょう。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 石郷 学

(株)team145 代表取締役


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