2026年はミラノ・コルティナ冬季オリンピック、そしてサッカーワールドカップという大きなスポーツイベントが開催されます。また野球では、ドジャースの大谷翔平選手の活躍からも目が離せません。
スポーツ中継はテレビ局や配信事業者だけでなく、ネット業界にとっても大きな経済効果をもたらすコンテンツです。今回は、日本におけるスポーツ中継の歴史をJリーグを通して振り返ってみたいと思います。
地上波時代(1993〜2006年)
Jリーグは1993年5月15日に開幕しました。開幕戦はヴェルディ川崎対横浜マリノス。懐かしい顔合わせです。
この試合は地上波で全国中継され、多くの人が「プロ野球に続く新たな人気コンテンツの誕生」を感じたのではないでしょうか。
Jリーグ発足当初は「Jリーグブーム」と呼ばれる社会現象となり、多くの試合が地上波テレビで放送されました。ブームに乗って地上波各局も積極的に中継を行い、ゴールデンタイムに試合が放送されることも珍しくありませんでした。
カズ、ラモス、ジーコといったスター選手が人気を集め、視聴率も高水準を記録しました。
スカパー時代(2007〜2016年)
1990年代後半になるとJリーグブームは落ち着き、全試合を地上波で放送することは難しくなりました。そこで重要な役割を果たしたのがCS放送のスカパーです。
「Jリーグを見るならスカパー」という時代が到来し、地上波は注目カード中心、熱心なファンはCS放送という棲み分けが進みました。
我が家でもマンションのベランダにパラボラアンテナを設置してスカパーを受信していたことを思い出します。
スカパーは2007年からJリーグのオフィシャルブロードキャスティングパートナーとなり、J1・J2のほぼ全試合を生中継するようになりました。
当時はJ1が18クラブ、J2が13クラブの合計31クラブ。毎節15〜16試合を中継する必要がありました。多チャンネルを誇るスカパーであっても、すべての試合を同時に放送するのは容易ではありませんでした。
そのため試合は数日に分散開催され、中継の都合から集客面では不利な平日のナイトゲームが組まれることもありました。
ネット配信時代(2017年〜)
そして2017年からはDAZNが放映権の中心となり、Jリーグはインターネット配信の時代へと移行します。
DAZNは2017シーズン開幕からJ1・J2・J3のリーグ戦全試合の配信を開始しました。これに伴い、長年Jリーグ中継を担ってきたスカパー中心の体制からDAZN中心の体制へと大きく転換しました。
JリーグはDAZNと約2,100億円・10年という大型契約を締結し、その後も契約を更新しています。これによりクラブへの分配金が増加し、リーグ全体の経営基盤強化が進みました。
近年、日本代表やJリーグクラブの競争力が向上している背景には、こうした財政基盤の強化も少なからず寄与しているのではないかと思います。
また、配信ではチャンネル数の制約がほぼありません。そのため、スカパー時代のように中継枠の都合で試合日程が左右されることも少なくなりました。
Jリーグは、それまでプロ野球が中心だったスポーツ中継の世界に地上波のスターコンテンツとして登場し、その後はCS放送の成長を支え、さらにインターネット配信時代の主力コンテンツへと発展してきました。
まさに日本のスポーツ中継の変化を象徴する存在といえるでしょう。
アメリカでは
アメリカでは1979年に開局したスポーツ専門チャンネルESPNがスポーツ中継の世界を一変させました。
ケーブルテレビが発達していたアメリカで、24時間365日スポーツを放送する「スポーツ専門チャンネル」という新しいビジネスモデルが誕生したのです。
そのESPNも現在ではストリーミング配信へと軸足を移しつつあります。
一方、日本では長らく地上波放送が中心でした。1989年にNHKがBS本放送を開始し、1991年にはWOWOWが開局。その後、CS放送のスカパーが登場し、現在はDAZNなどのネット配信へと主役が移っています。
こうして振り返ると、日本のスポーツ中継はアメリカの後を追うように発展してきたことがわかります。おおむね30年ほどの時間差をもって、同じような進化の道を歩んでいるようにも見えます。
ワールドカップ独占中継で有料会員もどーんと増えたことでしょうから、ぜひこれからはオリンピックの時にしか注目されないようなマイナーなスポーツにも中継のスポットライトを当ててほしいものです。