Pinterestユーザーは「自分教育好き」。
オンライン英会話サービスを利用して、様々な国の人達に質問を投げかけ、ディスカッションすることを今年は試みています。質問は1つ、「What is your favorite web service or product?」(あなたが気に入っているWebサービスや商品は何ですか?)。そして画面共有で、どのようにそのWebサイトを利用するのか見せていただき、何が楽しいのか、どう使っているのかなど質問します。国内EC市場が飽和していく中、人が持つ根本的な感情である”楽しい”について、さまざまな角度から深く理解することが目的です。
その中で、Pinterestユーザーに多く出会います。私は正直なところ、日本人でPinterestをSNSのメインで使っている人を知りません。Pinterestと言うと、4、5年前に聞いたことはあるけれど・・・画像SNSで、Instagramと何が違うのかな?という印象が、国内では多いのではないかと思います。今回は改めて、このPinterestについて考えてみます。
各SNSのユーザー数を調べると下記のとおり。Pinterestの国内ユーザー数は不明でした。
■SNSユーザー数
グローバル | 8億人(2017.9) | 20.7億人(2017.9) | 3.2億(2017.7) | 1.7億人(2017.5) |
国内 | 1,706万人(2017.8) | 2,800万人(2017.9) | 4500万人(2017.10) | ? |
参考) Instagram blog、nielsen、Facebook:PR、Twitter:Q2 2017、Twitter Japan、The Verge、ITmedia、Pinterest:Business
■InstagramとPinterestの違い
InstagramもPinterestも女性ユーザーが多いSNSです。Instagramでは68%、Pinterestでは80%が女性ユーザーで、年齢層としては、Instagramは9割が35歳以下(日本の場合20代以下も多い)、Pinterestでは約半数のユーザーが35-54歳となっています。(参考:Shoutlet)。
両者間で異なるのは、Pinterestには「キュレーション」機能があることが大きいでしょう。Instagramと異なり、ボードと呼ばれるフォルダのようなものを作成し、そこに、他人が投稿した写真をストックし、共有することができます。つまり、自分が投稿をしなくても、画像を集めて他のユーザーと共有することができます。ボードはウィジェットとしてWebサイトに組み込むこともできます。
■Pinterestの楽しみ方
Pinterestの特長はキュレーションですが、楽しんでいるユーザーは、単に可愛い画像や美しい風景を収集しているだけではありません。私が感じるのは、「学び・教育」の意識です。
ある女性は、Pinterestを使って「Learn Korean」(韓国語を学ぶ)と検索しましたし、他の女性は「How to toenail」(ペディキュアの方法)と検索していました。検索語としては、Do it yourself…(自分で作る)、How to make…(作り方)、How to learn…(学び方) などと組み合わせてさまざまな情報を探します。
以下は、私のPinterestのトップ画面です。各フォルダ(ボード)の中に、集めた画像が入っています。テーマは、パッケージデザイン、Eコマースの知識、色に関する知識、商品アイデアなどです。
実際に使ってみるとよく分かるのですが、自分がボードを作って画像を収集しはじめると、その関連画像が次々と現れてきます。その関連度を決定するアルゴリズムが、これは私の感覚でしかありませんが、とても優れていると感じます。
そして、Pinterestユーザーの心理としては、キュレーションのテーマは「趣味(hobby)」よりも「教育(education)」なのです。
「作る人」と「買う人」はユーザーとして違う人種だから、ビジネスが相手にしないといけないのは「買う人」である、というのは一般論ですが、ユーザーを「趣味で作る人」という見方から「自分への学びや知識を得ることに願望のある人」と捉えてみると、全く別のユーザー層として見えてきます。
■Pinterestにはノウハウ画像がたくさんある
実際に学び系のキーワードで検索すると表示されるのは、ノウハウをビジュアルで分かりやすく解説した画像や動画です。美しい写真だけではありません。Instagramと異なり縦長の画像がアップロードできますので、フローチャートや手順を紹介することができます。
さらに、Instagramと異なりWebサイトへのリンクを貼ることができます。ユーザーはキュレーションしはじめると次々関連情報を受け取ることができ、画像でサマリーを見て、さらに深く知りたいときはWebサイトを訪問する。このような流れを設計することができます。ビジネスアカウントであれば、インプレッションやクリック数などの統計を見る機能もあります。
「教育を熱望する人達に向けて、ノウハウを提供してWebサイトへ誘導する」実験のために作成した画像の一部がこちらです。当社はお鍋の製造販売会社です。Pinterestユーザー向けに、無水料理、無油料理、豆の煮炊きなどの調理方法を伝え、「健康料理を作る鍋」としてアプローチします。結果は数値が揃ったらまたレポートしたいと思います。
SNSに限らず、どのようなマインドのユーザーに対して、何をベネフィットとして絞り込み発信するか考えることはとても重要です。Pinterestユーザーを「自分への教育好きユーザー」として捉えると、これまでと異なる商品の切り口の想像が膨らみませんか?