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みなさん、Postmaster Tools使ってますか?

Postmaster Tools はGAと同じようにGoogleの提供するツールですが、GAについては各所で活用セミナーが開かれているのに、Postmaster Toolsについては、使い方や活かし方を教えてくれるセミナーやブログがなかなかないですよね。

今年2月から始動したGoogleのメール送信規定「メール送信者のガイドライン」のなかで、”Postmaster Toolsを利用して、迷惑メール率を0.1%未満に維持し0.3%以上にならないようにせよ”という指示があるため、今年から使い始めた方は多いと思いますが、実際に利用し始めた方々から、想定外の問題が出ているという悩みをお聞きすることが増えています。

実際のGoogleの思惑とは乖離しているところもあるかもしれませんが、今までヒアリングした事案から見えてきたところをまとめましたので、皆様のPostmaster Tools利用のお役に立てれば幸いです。

Postmaster Toolsへの悩み 4大問題点
<問題点1> 情報の反映が遅い
<問題点2> コンプライアンス ステータス ダッシュボードの表示が不明
<問題点3> 認証情報が正しく出ない
<問題点4> 迷惑メール率の見方がわからない

<問題点1> 情報の反映が遅い
もともとPostmaster Tools の迷惑メール率は約3日以前の迷惑メール申告情報を見られる仕様になっています。

メール送信者のガイドラインでは上述のとおり、Postmaster Toolsの迷惑メール率をこまめにチェックするよう指示があり、「迷惑メール率が高い状態が続くと、迷惑メールへの分類が増加します。改善された迷惑メール率が迷惑メールへの分類に反映されるまでには、時間がかかることがあります。」という記載もあるため、例えば、デイリーでメルマガを送信している企業の場合、前日一斉送信したメールがどれくらい迷惑メールとして判定されているかが心配になるのではないでしょうか。

しかしながらPostmaster Tools で迷惑メール率を見ることができるようになるには数日かかるため、”昨日の迷惑メール判定を活かして、今日のメルマガ送信内容を決めよう”という即時性のある運用ができないのが実態です。

<問題点2> コンプライアンス ステータス ダッシュボードの表示が不明
メール送信者の負荷を減らすことを意図してか、Postmaster Tools はV2がリリースされており、「コンプライアンス ステータス ダッシュボード」というガイドライン規定の各要件を正しく対応できている(=準拠)・対応できてない(=要対応)状況を一目で確認できるようになっています。

しかしながらこのダッシュボードの判定の表現方法や判定結果が急に変わり、現在の自身の判定状況が不明となる例が複数発生しています。

▽6月末の時点では「遵守」として判定されていたものが、急に「近日提供予定」という記載(「要対応」ではない)に変わった例


原因は不明ですが、まだPostmaster Toolsが開発途中であるからでは?という説や、日々ブラッシュアップされる判定基準にPostmaster Toolsのデータ吸い上げが追い付いていないからでは?という説など複数の見立てが出ており、今後の答え合わせが楽しみです。

<問題点3> 認証情報が正しく出ない
Postmaster Toolsの認証ダッシュボードで、認証の合格率が急に0%になった、あるいは最初からずっと0%のままで上がらないという声も複数聞かれます。

実際にテストメールを送ってもらうと、SPF認証もDKIM認証もどちらも問題なく、ヘッダーFROMとエンベロープFROMは同一アドレスであったため認証設定は問題ないように見受けられ、またエラー率も低い状態であることから受信側の認証チェックも問題なく通過できているようなのですが、なぜか認証ダッシュボード上、認証率が0%になっている例が発生しているようです。

▽SPF認証成功率が0%になってしまった例

<問題点4> 迷惑メール率の見方がわからない
Postmaster Toolsの迷惑メール率は重要な指標として扱うべきなのですが、複数のサブドメインで用途を分けてメールを送信している場合、どのようにカウントすべきか詳細な説明が現在のところないようです。

たとえば、用途別に複数のサブドメインを発行してメール送信に利用し、そのサブドメインごとの迷惑メール率に差があるような場合です。迷惑メール率の影響範囲が明確ではないため、新たなサービス用のメールアドレスを用意したいと考えた時、新ドメインを取得するべきか、追加サブドメインで進めるべきか、悩まれているお話を何回かお聞きしました。

例:各サブドメインで迷惑メール率に差があるケース
①a.sample.com 迷惑メール率 0.3%
②b.sample.com 迷惑メール率 3.0%
③c. sample.com 迷惑メール率 0.1%

新サービス(X)用の新たなメール用ドメインを用意する場合
A案:①②の悪い影響を受けるのであれば新ドメインを取得すべき?(例x-sample.jp)
B案:③のように①②の影響を受けないならサブドメインがよい?(例x. sample.com)

以上の4大問題点以外にもPostmaster Toolsに関する質問はよくいただくのですが、そういった場合、私たちの回答としては「GoogleのことはGoogleにしかわからない」ということは大前提としつつ、以下の重要な項目を確認していただくようにお伝えしています。

1.メール送信者のガイドラインの規定はすべて対応しているか
2.送信サーバのIPアドレスや送信ドメインがブラックリストに載っていないか
3.メール文面内含まれるURLにブラックリスト対象がないか
4.メールサーバの設定が変わっていないか。必要な設定は全て正しく設定されているか
※実際にあった例
●Message-IDが採番されない仕様になっていた
●エンベロープfromアドレスがテスト時のままになっていた
5.知らない間にDNSの設定が変わっていないか
※実際にあった例
●SPFレコードが知らない間に無効となっていた(二行記載、DNS参照数超過 等)
●MXレコードやAレコードが消えていた
●プライマリDNSとセカンダリDNS間の転送に失敗していた

等々・・

なお、Postmaster Toolsの運用に関する心配が大きい方と会話していると、Google対策のみに目がいってしまい、本当に重要な「自分が攻撃手にならないようにする」「自分のドメインをきれいに保つ」という本来の目的が見えなくなっていることが多いのが気になります。

Postmaster Tools はあくまでこれらの目的を達成するためのツールの1つであり、インターネットを利用して事業を行う以上、これらの目的が達成され続けることが何よりも大切ですので、基本ルールに立ち返ることも重要だとアドバイス差し上げています。

JECCICA客員講師 酒井 愛子

JECCICA客員講師 酒井 愛子

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