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EC市場規模 vs その他の小売市場規模

25年にはEC市場規模がスーパーの市場規模を上回る可能性
経済産業省発表の2022年の国内物販系B2C-EC市場規模は13兆9,997億円です。同調査の元責任者としての私の予想ですが、諸々のリソースから2023年は14.7兆円程度と見ています。しかし具体的な数値を言われても、イマイチ規模感がピンとこないのではないでしょうか。ということで、今回のコラムは他の小売カテゴリーの市場規模を紹介し、それらとの比較をもってEC市場規模の大きさを実感して頂ければと思います。尚、他の小売カテゴリーの市場規模は全て経済産業省の商業動態統計調査に基づく2023年の数値です。

スーパーマーケット:15.65兆円
スーパーマーケットの2023年の市場規模は15,65兆円です。2013年は13.06兆円であり、この10年間でわずか2.5兆円、19.8%しか上昇していません。恐らくEC市場規模は2024年には15兆円に到達するでしょう。EC、スーパーマーケットの市場規模拡大ペースがそれぞれこのままだとの仮定を置けば、2025年にはEC市場規模はスーパーを上回る可能性が考えられます。

同市場の内訳をみると、食品が市場規模に占める比率は79.8%と高く、逆にアパレルは5.3%と低いです。前者は年々比率が上昇し後者は減少傾向にあります。数字を見る限りアパレル分野は苦戦を強いられており、今後食品へのシフトがより鮮明になるのではないでしょうか。

コンビニエンスストア:12.73兆円
コンビニの2023年の市場規模は12.73兆円です。コロナ前まではずっと右肩上がりで市場規模が拡大していましたが、コロナにより2020年は初の前年割れとなりました。2023年はコロナ前の水準に戻りましたが、コンビニ店舗は全国的に飽和状態となっていることから、市場規模が拡大するためには店舗あたりの売上を伸ばすことが必要となります。人口が減少していますので、来店客数を伸ばすことは容易ではありません。したがって、商品単価の上昇がカギになるかもしれません。

ドラッグストア:8.34兆円
ドラッグストアの2023年の市場規模は8.34兆円です。同市場規模はいまでも右肩上がりで上昇を続けています。5年前の2018年が6.36兆円ですので、5年で31%も増加しています。ドラッグストアはコロナ禍でも市場規模は前年割れしておらず、堅調に推移しています。

同市場の内訳をみると、食品の伸びが大きいことが分かっています。ドラッグストアの店頭に安価な食品が並んでいるケースをよく見かけますが、食品を安く店頭で販売することで消費者を店内に呼び込み、その後に化粧品や医薬品、日用品を購入してもらおうとの意図でしょう。ドラッグストア業界は企業間の激しい競争が繰り広げられており、消費者の関心を高める工夫などがさらに展開されれば、まだ市場規模は伸びると思われます。

百貨店:5.96兆円
百貨店の2023年の市場規模は5.96兆円です。百貨店はコロナでの打撃が大きかった業界であり、2020年は4.69兆円でした。ですがコロナが去って消費者がリアルチャネルに回帰しており、加えてインバウンド消費の増加によって市場規模が回復しつつあります。

しかしながら2000年の同市場規模は10兆円であり、23年間で6割程度に落ち込んだことになります。長期トレンドから百貨店は厳しい経営環境に置かれていることが分ります。今後の巻き返しに向けて様々な取り組みがなされるものと予想します。

家電量販店:4.63兆円
家電量販店の2023年の市場規模は4.63兆円です。家電量販店の市場規模はこの10年間大きな変化はありません。商品分野別に見てみると、生活家電が10年前と比較し約20%増加しているのに対し、PC関連、AV機器系、スマホ系については、いずれも大きな変化は見られません。一方でカメラについてはこの10年間で半減しているといった状況です。

家電・AV機器・PC等については、2022年のEC化率が42.01%と高く、同カテゴリーはECとの親和性が高いと言えます。市場規模全体が頭打ちであれば、ECが伸びる分リアルチャネルは減少します。しかしながらEC化率は既に42.01%と高いため、これ以上のECの伸びは簡単ではないでしょう。したがって、当面この先も家電量販店の市場規模は横ばいではないかと考えられます。

ホームセンター:3.34兆円
ホームセンターの2023年の市場規模は3.34兆円です。他の小売カテゴリーよりもやや市場規模は小さいです。ホームセンターもまた家電量販店同様に市場規模に大きな変化が見られません。家庭用品・日用品、DIY、ペット関連、園芸品、カー用品などどれもほぼ横ばいです。この様子から、この先の市場規模も横ばいに推移するのではないでしょうか。

JECCICA客員講師

JECCICA客員講師 本谷 知彦

株式会社デジタルコマース総合研究所 代表取締役


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